■事実
発売時期の変更
当初の予定ではNova Lake-S デスクトップ版は2026年後半に発売される見込みでした。
Computex 2026での情報で、複数の業界関係者から「Q1 2027(2027年第1四半期)へ延期」との情報が入りました。(Wccftech・Computex現地リポート)
正式発表はCES 2027(2027年1月)、その後数週間以内にリテール販売開始の予定です。
量産(volume production)はまだ開始されていません。
Arrow Lake(Core Ultra 200Sシリーズ)の不振・発売延期と同様、メモリ・部品価格の高騰がズレ込みの背景にあります。
AMD Zen 6(Olympic Ridge)デスクトップ版も同じく2027年とされており、Intel・AMDともに次世代がほぼ同時期に激突する状況です。
ラインナップ構成と段階的な発売
- 第1波(CES 2027):28コア単一コンピュートタイル構成のみ
- 構成:P-Core × 8 + E-Core × 16 + LP-E Core × 4 = 合計28コア
- bLLCキャッシュ:最大144MB
- 第2波(Computex 2027頃):52コア・44コアのデュアルタイル上位モデル
- 第1波から2〜3カ月後
- 構成:P-Core × 16 + E-Core × 32 + LP-E Core × 4 = 合計52コア
- bLLCキャッシュ:最大288MB(2タイル分)
全体では52コア・44コア・28コア・24コアの4フレーバー構成です。
アーキテクチャと仕様
- ブランド名:Core Ultra Series 4 / Core Ultra 400シリーズ
- P-Core:Coyote Coveアーキテクチャ(Lion Coveの後継)
- E-Core:Arctic Wolfアーキテクチャ(Skymontの後継)
- 製造プロセス:TSMC N2P(IntelのプロセスではなくTSMC製)
- 内蔵GPU:Xe3 / Xe3Pのミックス構成
- ソケット:LGA 1954(新設計。LGA 1851からの移行必須)
- 対応メモリ:DDR5、CUDIMMサポート(最大DDR5-8000 MT/s)
- PCIe 5.0レーン数:最大36レーン(PCIe 4.0は別途16レーン)
bLLC(Big Last Level Cache)について
IntelがAMDの3D V-Cacheに対抗する独自キャッシュ技術です。
3D V-Cacheと異なり「垂直積層」ではなく、コンピュートタイル下のベースダイに搭載(水平配置)しています。
シングルタイルで、最大144MB、デュアルタイルは最大288MBです。
現行AMD Ryzen 9950X3D2(3D V-Cacheは非対称配置)と比べてキャッシュの対称性で優位とされます。
bLLC搭載はアンロック(K)モデルのみ(非K型番にはなし)です。
電力・発熱
28コア単一タイル:PL1約125〜150W、PL4約350W前後です。
52コアデュアルタイル:PL1 175W(現行比40%増)、PL2 300〜400W、PL4は700Wに達する見込みです。
放熱設計:新型2L-ILM(デュアルレバー式)ソケット+フラット型IHSに変更でヒートスプレッダの密着性が向上します。
52コアモデルはエントリーワークステーション・コンテンツクリエイター向けの位置づけで、AMDエントリーThreadripperへの対抗意識があります。
オーバークロック新機能
「Multi-Core OC」機能を搭載予定:コアごとに個別クロックを設定できる新OC機能
アンロックモデル(高コア数K系)限定で提供
SMT(Hyper-Threading相当機能)のデスクトップ版復活も計画中(Arrow Lakeで廃止→Nova Lakeで復活予定)。ただしデータセンター向けCoral Rapidsが先行(2028年)
マザーボード(900シリーズ)
- Z990・Z970マザーボードがComputex 2026でパートナー間でひそかに展示確認済み(Wccftech独自情報)
- Z990:CPU用8ピン×2本+PCIeランド用追加8ピン×1本の計3本構成
- Z990設計:M.2・PCIeスロットはすべてGen5対応(少なくともZ990設計では)
- I/O:Thunderbolt 5搭載
現時点では「最終プロトタイプ段階」。変更の可能性があります。
現行Arrow Lakeとの比較(参考)
| 比較軸 | Arrow Lake(Core Ultra 9 285K) | Nova Lake(Core Ultra 9フラッグシップ) |
|---|---|---|
| コア数 | 24(8P+16E、SMTなし) | 52(16P+32E+4LP-E、SMT復活予定) |
| ソケット | LGA 1851 | LGA 1954 |
| キャッシュ | L2+L3で最大40MB | bLLC含む最大320MB以上 |
| 最大TDP | 125W(PL1)/ 253W(PL2) | 175W(PL1)/ 700W超(PL4) |
| 製造プロセス | TSMC 3nm+Intel 6nm | TSMC N2P |
| 発売時期 | 2024年10月 | 2027年(予定) |
解説
「52コアのデスクトップCPU」という数字だけ見ると驚くが、最初に手に入るのは28コアというのがポイント。発売日を「CES 2027に52コアが出る」と誤解しないよう注意が必要だ。
52コアは実質的にはエントリーワークステーション的な位置づけ。フラグシップゲーマーが買うモデルではなく、コンテンツ制作・多コア処理用途がターゲットだ。
700WというPL4はギャグではなく本当の数字。空冷どころか、それなりの水冷でないと制御できない。「ゲーミングPC」と呼べる領域を完全に逸脱している。
700Wというのは、電子レンジの「温め直し」モードとほぼ同じ出力。CPUが「料理」を始めた。
bLLCはAMDの3D V-Cacheへの正面回答として期待されるが、現時点では実ゲーム性能のデータがなく評価不能。理論値は印象的だが、Arrow Lakeも発売前は期待値が高かったことを忘れてはいけない。
Arrow Lakeのゲーム性能はフラッグシップにもかかわらず、下位グレードや前世代に劣るシーンが多く、Intelにとって「失敗の一手」だった。Nova Lakeはその汚名返上の一戦でもある。
SMT(ハイパースレッディング)の復活は、Arrow Lakeで失って批判された機能が戻るという意味で歓迎されるが、「なぜ一度廃止したのか」という疑問は残る。
LGA 1954への移行は必然だが、LGA 1851が1世代で終わる(Arrow Lakeのみ)という事実はユーザーへの不誠実さとして記憶されるべき。AMDがAM5の長寿命を強調するたびに、この対比が引き合いに出される構図
AMD Zen 6との同時期激突は、2027年を「CPU乗り換えどきの年」にする可能性がある。両方揃って比較できる状況になるまで急いで買う必要はない。
「CES 2027を楽しみにしてください」というのが今言える最も正直な結論。今は待つ時間を有効活用しよう。
Intelだけでなく、AMDも延期というのは本当にやむを得ない理由なのだろう。そう判断されるほど最近のIntelはトラブル続きだった。
AMD製品を超えると噂されるNovaLakeは噂通りの実力ならシェアを奪還できるほどの性能になるはずだ。
何事もなく発売されるのを願っている。
