
※ 画像は記事の内容をもとにしたイメージです。必ずしも現実を反映しているわけではありませんのでご注意ください。
■事実
## AMDの発表内容(Computex 2026)
AMDはComputex 2026にて、AM5ソケットのサポートを2029年まで延長すると正式に表明しました。
発言者はAMD副社長兼Ryzen CPU・Radeonグラフィクス部門GMのDavid McAfee(ラウンドテーブルセッション)です。
AM5上で今後も「新製品」および「全く新しいアーキテクチャ」を投入し続けると確認しています。
AM5上に投入される新アーキテクチャは少なくともZen 6とZen 7の2世代が確定(コメント:最低限として)しています。
Zen 5ベースの新モデルなど既存アーキテクチャの派生製品(リフレッシュ)も並行してAM5向けに提供されます。
### AM5プラットフォームの現状
AM5は2022年にZen 4(Ryzen 7000シリーズ)向けとして登場。現在はZen 5(Ryzen 9000シリーズ)まで対応済みです。
当初AMDは「2027年以上」のサポートを約束していたが、今回Computexでさらに2029年まで延長したことを明示しています。
AM5の採用規格:DDR5専用、PCIe 5.0対応です。
当初AMDは内部的に「DDR6移行は2027〜2028年頃」と見込んでいたが、メモリ市場の混乱を受けて計画を見直しされています。
### 次世代アーキテクチャのロードマップ
Zen 6(コードネーム「Olympic Ridge」)はAM5対応デスクトップ版は2027年投入見込み。サーバー向けはEPYC Venice(2026年)が先行しています。む
Zen 7(コードネーム「Prometheus」)は2028年頃の投入と予測(一部リーク情報)されています。
Zen 6はTSMCの2nmプロセス(N2)を採用する見通しです。
Zen 6のCCDは12コア構成(Zen 5の8コアから増加)、最大24コア・48スレッドのフラッグシップが想定されています。
AM6ソケット(次世代)はZen 8(コードネーム「Penelope」)とZen 9(コードネーム「Nemesis」)から採用とリーク。時期は2029〜2030年以降です。
### 次世代ソケット移行の条件(David McAfeeの発言より)
AMDが新ソケット移行を判断する3要素:
- ① 業界標準の転換点(次の候補:DDR6とPCIe Gen 6)
- ② その新規格がエンドユーザーに差別化・実益をもたらすか
- ③ ゲーマー・自作ユーザーの「実際のニーズ」が変化しているか(NVMeドライブ数、スロット構成、電力供給など)
「新ソケットは基板全体の再設計を要するディスラプティブ(破壊的)な変更」であり、MCAfeeはこの判断を「非常に重い決断」と表現しています。
DDR6・PCIe 6.0は理論値では大幅な進化だが、マザーボードコスト増(信号完全性のための高価な誘電体材料、リドライバ、リタイマなど)を伴います。
PCIe 4→5移行がすでにマザーボードコストを大幅に押し上げた実例を引用しています。
### DDR5価格危機とAM4の関係(周辺文脈)
現在DDR5メモリは異常な高騰状態でDDR5-6000 32GBキットが日本で約6.5〜8.5万円(正常化時の数倍)です。
AIデータセンター向けHBM需要がDRAM供給を圧迫しており、アナリストは価格正常化を2027年後半以降と予測しています。
この状況でAMDはAM4をリフレッシュしており、Ryzen 7 5800X3D 10周年記念版(DDR4、AM4 400/500系マザー対応)を6月25日発売予定です。
AM4は2016年開始から10年以上、現在もZen 3世代のCPUを発売中(AM4はZen 1〜Zen 3の5世代をカバー)です。
### X3D・シングルDIMM戦略
AMD X3D(3D V-Cache)搭載CPUはシングルDIMM構成でもゲーム性能差が0.5%以内(30タイトル検証)としています。
つまりDDR5を1枚挿しで始め、余裕ができたら2枚目を追加するという段階的な投資が可能です。
McAfeeはこれを「厳しいメモリ市場での実質的な救済策」と表現していまする
### オーバークロック方針の転換
AMDはこれまでCPUの製品化時点でOC余裕を出来る限り出荷クロックに織り込んでいたが、今後は意図的にOC余裕を残す方針に転換しています。
アンダーボルトで性能向上を図るユーザーの傾向を受けて、OC・UV両方向のヘッドルームを意識した設計となります。
### Intel比較
AM5発表以降、Intelはすでに2世代のソケット変更(LGA1700→LGA1851→LGA1954)を行っています。
LGA1700は3世代(12th〜14th Gen)をカバー。LGA1851は1世代限りの見込みです。
AM5は少なくとも4世代(Zen 4・5・6・7)をカバーする見通しで、長寿命ソケットとしてAM4の再現を目指しています。
McAfeeはIntelの最近の「ソケット長寿命化」方針転換を「理解できる、理にかなった動き」と評価しています。
AM5 対応世代ロードマップ(確定・予定)
| アーキテクチャ | コードネーム | 世代 | 投入時期 | プロセス |
|---|---|---|---|---|
| Zen 4 | Raphael(Granite Ridge) | Ryzen 7000 | 2022年 | TSMC 5nm |
| Zen 5 | Granite Ridge(Ryzen 9000) | Ryzen 9000 | 2024年 | TSMC 4nm |
| Zen 6 | Olympic Ridge | Ryzen 10000(予定) | 2027年(予定) | TSMC 2nm |
| Zen 7 | Prometheus | 未発表 | 2028年頃(予測) | 未発表 |
ソケット世代比較(AMD vs Intel)
| AMD AM4 | AMD AM5 | Intel LGA1700 | Intel LGA1851 | |
|---|---|---|---|---|
| 開始年 | 2016年 | 2022年 | 2021年 | 2024年 |
| 終了(予定) | 2026年以降継続 | 2029年以降 | 2023年 | 2025年(見込み) |
| 対応世代数 | 5世代(Zen 1〜Zen 3等) | 4世代以上(Zen 4〜7) | 3世代(12〜14th Gen) | 1世代(予測) |
| メモリ規格 | DDR4 | DDR5 | DDR4/DDR5両対応 | DDR5 |
解説
AM5が2029年まで延長というのは、要するに「Zen 6もZen 7も今のマザーボードで使えます(たぶん)」という話だ。
"たぶん"と書いたのには理由がある:BIOSサポートは全マザーに保証されるわけではなく、既存の800系が全機種Zen 7に対応するかは今後のメーカー判断次第だ。
本質的には「DDR6が安くなるまでソケット変えたくない」というのが正直なところ。DDR5が今まだ異常に高い中でDDR6を新たにユーザーに買わせるのは、さすがに無理だという判断だ。
「DDR6とPCIe 6.0が意味を持つとき移行する」という言い方は格好いいが、本音を訳せば「DDR6が庶民でも買える値段になったら考えます」だと思う。
AMDがよく持ち出す「PCIe 5.0 SSDはスペック上すごいがゲームのロードは変わらない」論は、移行を遅らせるための正当化ロジックとして機能している。とはいえ事実としては正しい。
AM4が10年続いたのは「AMDが頑張ったから」という面もあるが、最終的にはDDR5移行のコストがユーザーを足止めしたという側面も大きい。AM5でも同じパターンが繰り返されている。
Intel比較はAMDにとって「見せ場」だが、LGA1851が1世代で終わるという状況はIntel的にも意図した戦略とは言いにくい部分がある。
X3DのシングルDIMM提案は現実的で良い落としどころ。「とりあえず1枚で始めてメモリ安くなったら足す」はDIY入門者にとってはありがたいメッセージだ。
自作PCユーザーにとってソケットの長寿命化は純粋に良いニュースだが、「2029年まで使えます」と「2029年まで最新CPUが使えます」は別の話なので、期待値の管理は必要だ。