その他 CPU

伝説のチップZ80が50周年、オープンソース互換版は目標50MHzで試作に成功

投稿日:

DIP40パッケージのビンテージ8ビットマイクロプロセッサのマクロ撮影。緑の基板上に配置され、ノスタルジックな暖色系の光で撮影されたイメージ

■事実

Zilog Z80は1976年7月に発売された8ビットマイクロプロセッサです。Federico Faggin氏率いるチームが設計し、Intel 8080の命令セットを拡張しつつ、8080が必要とした複数電源レールを不要にしてコストを下げました。

生産期間は48年間続き、現在Littelfuseの子会社であるZilogが2024年6月に最終受注を終了、正式に生産終了となりました。

日本の8ビットパソコン市場でほぼ独占的な地位を確立していました。NEC PC-8001、PC-8801、シャープMZ-80など、1980年代の日本製8ビット機の大半がZ80を採用しています。

1983年に提唱された統一規格「MSX」も、複数メーカーが乱立していた8ビットPCのハードウェア構成を統一し、ソフトウェア互換性を確保する形でZ80を採用しました。

ゲーム機・アーケード基板でも広く使われ、ZX Spectrum、Amstrad CPC、セガ・マスターシステム、ゲームギア、そして任天堂ゲームボーイ(シャープ製の改良版Z80「LR35902」搭載、全世界累計1億1800万台以上販売)などに搭載されました。

Zilogの生産終了予告直後、Renaldas Zioma氏が「FOSS Z80」というオープンソース互換チッププロジェクトを開始しています。

設計のベースはGuy Hutchison氏が開発したVerilog製のTV80コアです。

初版はSkyWaterの130nmプロセスを用い、Tiny Tapeout 7経由でダイ面積0.064mm²というごく小さいチップとして試作、GitHubリポジトリ上で動作確認済みと報告されました。

その後、全40ピンを露出させたQFN64版がEfabless CI2406シャトルで、さらにIHPの130nmプロセスで2回の試作が行われました。

現行の試作ロットは、GlobalFoundriesの180nm(GF180MCU)プロセスを用い、Wafer.Space経由のチップ・オン・ボード方式で、往年のDIP40パッケージ形状を再現することを目標としています。

130nmプロセスでの実装は最大50MHzのクロック動作をサポートするとされています。(オリジナルのNMOS版は4MHz)

最終目標は、ZX SpectrumやRC2014キットなど実機にそのまま挿せる「ドロップイン互換」チップとしての量産です。

 

解説

半導体製品で48年間生産が続くのは異例中の異例。「現役続投」という言葉がこれほど似合うチップも珍しい。

人間なら定年退職している歳の50歳だが、当のチップ自身は「まだまだ現役でいたい」とばかりにオープンソースで生まれ変わろうとしている、という擬人化ネタだ。

Z80が日本市場でここまで普及した背景には、Zilogがセカンドソース契約を積極的に結び、シャープ・NECなど複数メーカーが自社生産できた点も大きい。オープン戦略の先駆けとも言える。

生産終了→オープンソース互換品というこの流れは、レトロコンピューティング・ゲーム機修理コミュニティが盛り上がっている今の空気とリンクしている。供給が絶たれた瞬間にコミュニティが自分たちで代替品を作り始める、という構造は最近のGPU・メモリ不足の議論とも重なる部分がある。

ただし「50MHz対応」という数字は、あくまで現代の微細プロセス(130nm)で作り直したことによる副産物であり、Z80というアーキテクチャ自体が速くなったわけではない。オリジナル比12倍以上のクロックだが、当時のシステム側(周辺回路やメモリタイミング)がそのまま追従できるかは別問題だ。

最先端は2nmだ3nmだと言われる時代に、あえて130nm・180nmという「一世代前どころではない」プロセスで往年の8ビットチップを再現する、という取り組み自体に業界の面白さがある。最先端だけが半導体業界ではない、ということを再認識させられる。

RC2014のような自作レトロPCキットや、ZX Spectrumの実機修理需要を考えると、この「ドロップイン互換」という物理的な互換性へのこだわりは非常に実用的。エミュレーションでは代替できない「本物の部品」への需要がまだ根強いことを示している。

「半導体の世界も結局、なくなって初めてありがたみがわかる」という、今のDRAM高騰にも通じる教訓。

Z80は日本ではゼッパチとも呼ばれ、親しまれてきた。懐かしいと感じる方もいるのでは?

ただしゲーム機のCPUとしてはあまり振るわなかった。ファミコンはMOS6502のカスタムが採用されている。

ゲーム機ではセガマークIIIなどに採用されている。パソコンでは広く採用された。

 

DIP40パッケージのビンテージ8ビットマイクロプロセッサのマクロ撮影。緑の基板上に配置され、ノスタルジックな暖色系の光で撮影されたイメージ(参照用)

 

-その他, CPU
-

Copyright© 自作ユーザーが解説するゲーミングPCガイド , 2026 All Rights Reserved.