
シノプシスは、モバイルメモリ分野における画期的な開発成果を発表しました。TSMCのN2PノードをベースとしたLPDDR6 IPのシリコンブリングアップです。
シノプシスのLPDDR6 IPブロック、N2Pの性能により、驚異的な帯域幅を実現
ご存知ない方のために説明すると、シリコンブリングアップとは、新しいチップ、特にIPブロックの最初の電源投入を指します。
これには、ハードウェアチェック、電源シーケンスなど、複数の段階にわたる製品テストが含まれます。
シノプシスは、ライセンス供与可能なLPDDR6テクノロジのビルディングブロックの開発に成功したようです。
このビルディングブロックは、最大86GB/秒の帯域幅を誇り、JEDEC規格とほぼ同等の性能を誇ります。JEDEC規格については後ほど詳しく説明します。
We’ve successfully achieved silicon bring up of our LPDDR6 IP on TSMC N2P, delivering up to 86GB/s bandwidth. Power next-gen mobile, AI, and edge systems with efficient LPDDR SDRAMs. Learn more: https://t.co/x7MVWMFzyb pic.twitter.com/23tR9jeaTJ
— Synopsys (@Synopsys) October 16, 2025
メモリの観点から見ると、これはTSMCのN2PプロセスをLPDDR6 IPブロックに統合した初の事例の一つとなります。
このIPは、主にコントローラとオンボードPHYインターフェースという2つの主要コンポーネントで構成されています。
コントローラは、JEDECプロトコルエンジン、タイミング制御、低消費電力ステートに重点を置きます。TSMCのN2Pがどのように機能するのかご興味をお持ちの方は、このノードにはPHYアナログおよびI/O回路が組み込まれており、N2PメタルスタックとN2P I/Oライブラリが搭載されていることをご承知おきください。
具体的には、LPDDR6コントローラは、より厳格なタイミングクロージャを実現するために高密度と高速化が求められますが、N2Pプロセスは優れたPPA値を備えていることから、この分野で最高のプロセスであることが分かっています。
これにより、メモリのビットあたりの消費電力とフットプリントが低減され、最終的にはメーカーがオンデバイスAIや省電力プラットフォームなどの分野でこの技術を活用できるようになります。

速度について少し触れると、シノプシス社は、このスタックが86GB/秒の帯域幅を実現すると主張しています。これはJEDECのピンあたりレート(約10.667Gbps)とほぼ同等です。
理論上の最高速度はピンあたり約14.4GB/秒に設定されており、帯域幅は115GB/秒に相当します。
つまり、LPDDR5と比較した場合、LPDDR6規格はTSMCのN2Pテクノロジーによる改善によって大幅な世代交代を遂げることになります。
LPDDR6は来年までに主流となり、新たな業界標準を確立すると予想されています。
ソース:wccftech -
解説:
シノプシス社は電子系設計ソフトウェア の開発企業で、それらはEDAと呼ばれています。
EDA開発企業ははシノプシスのほか、ケイデンスとシーメンスがあり、この3社で世界シェアの75%を占めているのでビッグ3と呼ばれています。
最新のTSMC2nmでLPDDR6のIPブロックの電源投入を達成したようです。
最新のプロセスノードでモバイル向けメモリが最初に来る当たり時代を感じますね。
ゲーミングPCが流行りとは言っても、やはり世の中の需要の大半はモバイルなわけですから、最新の技術が投入されるのもまたモバイル、特にハイエンドモバイルということになります。
(LP)DDR6はデスクトップに降りてくるのはまだ先だと思いますが、基本的にすべてのデバイスがハメ殺しのモバイルに関して言えば採用の事例は早いと思います。
モバイルはほぼすべてがOEMですから、一つの製品で数がそれなりに出て、スケールメリットが享受しやすいということになります。
ただしこうした最新の規格が使われるのはハイエンドのみでしょう。
例えばAppleのMシリーズやAシリーズはメモリの拡張など行えず基本最初にオーダーしたままずっと使われます。
こういう世界だとあまり規格の普及を考える必要がありません。
もちろん普及してなければ個別の部品の価格は上がりますが、自作のマザーボードなどと違ってメモリモジュールの普及を待つ必要はないです。
そのうえで採用製品が数もそれなりに出ることが期待出来て、ブランド力があって高価格を正当化できます。
例えばMacも全体のシェアで言えば小さいですが、一つのメーカーが作る製品として見ると、異例なまでにシェアが高いです。
Windows全体でみるとシェアはもちろん高いですが、生産はメーカー個別になりますのでメーカー単位でみるとAppleの持つアドバンテージは大きいです。
それがわかっているのでマイクロソフトもAppleを意識した製品戦略をとっています。
最新・最先端の製品はこういうところに真っ先に使われていくということです。