
■事実
Microsoftは2026年5月26日、Windows 11向けオプションプレビュー更新「KB5089573」をリリースしました。
対象バージョンはWindows 11 24H2(ビルド26100.8524)と25H2です。(ビルド26200.8524)
この更新に含まれる新機能が「Low Latency Profile(低遅延プロファイル)」で、内部的には「Windows K2イニシアチブ」の一環です。
Microsoftの公式リリースノートでは機能名は明かされず、「[General Performance] スタートメニュー・検索・アクションセンターなどのアプリ起動とコアシェル体験を高速化」とのみ記述です。
動作の仕組み:スタートメニュー・コンテキストメニュー・フライアウト・アクションセンターなど、ユーザーが行うレイテンシ感度の高い操作を検知した際に、CPUを最大ブースト周波数まで一時的に引き上げました。
このCPUブーストの持続時間は約1〜3秒で、その後は通常動作に戻りました。
効果が及ぶのはWindowsシェルおよびMicrosoft純正アプリに限定される。ゲームやサードパーティ製アプリには直接適用されません。
Windows Latestのテストでは、スタートメニュー起動時にCPU使用率の急上昇を確認し、アクションセンター開放時には使用率が100%に達するケースも報告されています。
同テストでスタートメニューのマイクロスタッター(微細なカクつき)が解消されたことを確認されています。
速度改善の参考値:インボックスアプリの起動最大40%高速化、スタートメニュー等のシェルUIは最大70%高速化との報告があります。(Windows Central情報)
オプション更新のためデフォルトでは自動インストールされません。設定→Windows Update→詳細オプション→オプションの更新 から手動取得が必要でする
さらに、更新適用後もMicrosoftのCFR(Controlled Feature Rollout=段階的機能展開)により、全端末で即座に有効化されるわけではありません。
現時点での強制有効化手段:ViveToolを使いコマンドライン(管理者権限)から実行します。機能IDは60716524(LowLatencyProfile)と61391826(LowLatencyProfileForApplicationLaunch)です。
Windows Settingsに有効・無効を切り替えるトグルは存在しません。
6月のPatch Tuesday(月例セキュリティ更新)で本格展開予定。その際は対象PCに自動で有効化される見込みです。
解説
今回の変更の本質は、WindowsがCPUの利用率を「ベンチマーク的なスループット」ではなく「ユーザーが体感できる一瞬の速さ」に使い始めたという転換だ。
スタートメニューが一瞬もたつく、コンテキストメニューの出が遅い、という体験は長年のWindowsの弱点だった。macOSがこの点で評価され続けてきたことと対照的だる
1〜3秒のCPUバーストで対処できるということは、逆に言えば「今まではその短い瞬間にCPUをさぼらせていた」という自白でもある。
CFRのしくみにより、同じ更新を入れても機能が届く人と届かない人が出る。「更新したのに変わらない」という混乱が起きやすく、ViveToolへの依存を生む構造になっている。
Settingsにトグルがないまま全PC適用は、電力節約モードで運用している法人や省エネ設定ユーザーにとって想定外の挙動を引き起こす可能性がある。
バッテリーへの影響は「短時間なので軽微」とされているが、これはモバイルPC・ハンドヘルドPCでの実機検証を待ちたいところだ。
ゲームやサードパーティアプリには現状適用されない点は明確にしておく必要がある。「Windows全体が速くなる」という読まれ方はミスリードになる。
ViveToolによる先行有効化は一定の需要があることを示しており、Microsoftが公式UIなしに済ませようとしている判断は疑問が残る。
「CPU使用率100%でスタートメニューが開く」は、かつてのWindowsユーザーが恐れていた状況そのものだが、今では「速い証拠」として歓迎される時代になった。
体感速度の改善は地味だが、日々の操作感に直結する。Microsoftがこの方向にリソースを割いたこと自体は評価したい。