■AMDのRadeon GPU、2026年第1四半期に2回目の値上げ実施へ
AMDのパートナー各社が、Radeon Gaming GPUの価格を2026年第1四半期中に再び引き上げる準備を進めていることが明らかになった。
Board Channelsの報道によれば、2回目の値上げは2月から3月にかけて実施される予定だ。
これは2026年1月に実施された1回目の値上げに続くもので、DRAM供給制約が主な原因となっている。
AMDパートナー各社は、NVIDIA製品と同等の価格帯を目指す戦略を採用している。
■1月の値上げに続く2回目の価格改定
2026年1月、AMD各社はRadeon GPUの価格を5-10%引き上げた。
この値上げはNVIDIA製GPUにも適用され、メモリ構成に応じて最大40ドルの価格上昇となった。
今回の2回目の値上げも同様の幅、約5-10%になると予想されている。
具体的な値上げ幅は明らかにされていないが、段階的な価格調整という戦略が継続される見込みだ。
■DRAM供給制約が価格上昇の主因
価格上昇の根本原因は、継続的なメモリ価格の上昇と供給不足だ。
DRAM市場は2024年後半から価格上昇トレンドが続いており、2026年に入っても状況は改善していない。
AI向けサーバー需要がHBMメモリを中心に急増しており、GDDR6/GDDR6Xなどのゲーミング向けメモリへの供給圧力となっている。
Samsung、SK hynix、Micronの3社によるメモリ市場の寡占状態も、価格交渉力の低下につながっている。
■流通業者の在庫確保行動
1月の小幅な値上げは、下流の流通業者による在庫確保行動を刺激した。
流通業者は価格上昇圧力を避け、利益率を維持するため、GPUの在庫を積み増している。
これは消費者にとって、価格が継続的に上昇し、人為的な品薄状態が維持されることを意味する。
流通業者と小売業者は次の値上げを待ってから在庫を放出する戦略を採っている。
■AMD各社の戦略:NVIDIA製品と同等価格を目指す
Board Channelsの報道では、AMD各社の現在の戦略は、同等のNVIDIA製品と同様の価格帯を提供することだとされている。
具体的には、NVIDIAの同等モデルのコスト価格水準に追いつき、対応するNVIDIA製品と同様の価格を維持する方針だ。
NVIDIA製GPUはすでにMSRPを大幅に上回っており、複数のオンライン小売店でAMD Gaming GPUも同様の状況となっている。
これは事実上、AMD製品の価格競争力の優位性が失われつつあることを意味する。
■現在の市場価格状況
複数のオンライン小売店では、AMDとNVIDIA両社のGPUがすでにMSRPを大幅に超える価格で販売されている。
特にミドルレンジからハイエンドのモデルでは、発売時の希望小売価格から20-30%以上高い価格設定となっているケースもある。
GDDR6X搭載モデルは特に影響を受けており、メモリ容量が大きいモデルほど価格上昇幅が大きい。
RX 7000シリーズとRTX 4000シリーズの両方が影響を受けている。
■2026年末から2027年の価格見通し
2026年の開始時点で好材料が見られない状況から、年末までの最終価格を予測することは困難だ。
価格は2027年にピークを迎え、2027年後半から2028年初頭にかけて正常な水準に戻ると予想される。
ただし、DRAM/NAND市場の危機を考慮すると、確実なことは言えない状況だ。
技術市場を取り巻く最新の動向を注視し続けることが重要となる。
■メモリ価格上昇の構造的背景
DRAM価格の上昇は、単なる一時的な需給バランスの問題ではなく、構造的な要因がある。
AI向けサーバー市場の急成長により、HBM(High Bandwidth Memory)への投資が優先されている。
メモリメーカーは利益率の高いHBM生産にキャパシティを振り向けており、GDDR系メモリの生産比率が相対的に低下している。
さらに、先端プロセスでのDRAM生産は歩留まりとコストの問題を抱えており、供給増加が容易ではない。
■GPU市場全体への影響
メモリ価格の上昇は、GPU市場全体の成長を抑制する要因となっている。
特にミドルレンジ市場では、価格上昇により購買意欲が減退し、買い控えが発生している。
これはPC gaming市場の成長にとってマイナス要因となる。
新規参入者や予算が限られたゲーマーにとって、GPUアップグレードのハードルが高くなっている。
■AMD vs NVIDIAの価格戦略
従来、AMDは「性能対価格比」での優位性を武器にNVIDIAと競争してきた。
しかし、今回の戦略転換により、AMDはNVIDIAと同等の価格帯を目指すとしている。
これはAMD製品の差別化ポイントが失われることを意味する。
性能面でNVIDIAに劣る部分があるにもかかわらず、価格が同等であれば、消費者がAMDを選ぶ理由が減少する。
■次世代GPU製品への影響
NVIDIA RTX 5000シリーズとAMD RX 8000シリーズの価格設定にも影響が及ぶ可能性がある。
メモリコストの上昇は、新製品の価格設定を押し上げる要因となる。
次世代製品の発売時点での価格が、従来世代よりも高く設定される可能性が高い。
これはGPU市場全体の価格帯が恒久的に上昇する転換点となるかもしれない。
解説
■市場構造の変化
正直なところ、AMDがNVIDIAと同等の価格帯を目指すという戦略は、かなりリスキーだと思います。
AMDの強みは常に「コストパフォーマンス」だったわけで、そこを放棄するということですからね。
性能面でNVIDIAに劣る部分がある以上、価格が同じなら消費者がAMDを選ぶ理由が減ります。
これはAMD自身の競争力を削ぐ戦略に見えます。
■DRAM供給制約の本質
DRAM価格の上昇は、一時的な問題ではなく構造的な問題です。
AI向けサーバー需要が爆発的に増加しており、HBMメモリへの投資が最優先されています。
メモリメーカーにとって、利益率の高いHBM生産にキャパシティを振り向ける方が合理的なんですよね。
GDDR6/GDDR6X系のゲーミング向けメモリは、相対的に優先度が下がっています。
■価格正常化の見通し
2027年後半から2028年初頭に価格が正常化するという見通しですが、これも楽観的すぎる気がします。
AI市場の成長が続く限り、メモリの供給構造は変わらないでしょう。
むしろ、GPU市場全体の価格帯が恒久的に上昇する転換点になる可能性の方が高いと見ています。
「正常化」ではなく、「新しい価格水準への定着」が現実的なシナリオでしょう。
■ゲーマーへの影響
ミドルレンジ市場が最も打撃を受けます。
予算が限られたゲーマーや新規参入者にとって、GPUアップグレードのハードルが確実に高くなっています。
これはPC gaming市場の成長にとってマイナス要因です。
コンソールゲーム機の相対的な価格競争力が高まるかもしれませんね。
■流通業者の思惑
流通業者が在庫を積み増して次の値上げを待つという行動は、消費者にとって最悪のシナリオです。
人為的な品薄状態が作り出され、価格は下がらず、選択肢も限られます。
これは市場の健全性を損なう行為ですが、利益を追求する企業としては合理的な判断なんでしょう。
結局、しわ寄せは消費者に来るわけです。



