Intelの第13世代Raptor Lake CPUは、第12世代Alder Lakeファミリーと同じコアアーキテクチャを共有し、いくつかの最適化があちこちに施される予定です。
この確認は、@InstLatX64が発見したIntel TMA (Top-down Microarchitecture Analysis)のドキュメントから得られている。
Intel第13世代Raptor Coveと第12世代Alder LakeのCPUはコアアーキテクチャは同じだが、いくつかの最適化が施されている
Intelの第13世代Raptor Lake CPUは、第12世代Alder Lake CPUに採用されたバージョンと比較して、ほとんど変更のない10nm ESF「Intel 7」ベースのRaptor CoveとGracemontコアを利用することは分かっていたが、マイクロアーキテクチャのレベルで、Raptor CoveとGolden Cove、両方のコア設計が同一であることが、Intelドキュメント自体によって確認されている。
According to the #Intel Top-down Microarchitecture Analysis (TMA) documentation:#GoldenCove uarch = #RaptorCove uarch
For comparison:#WillowCove != #SunnyCove != #CypressCove#KabyLakeR = #CoffeeLake = #CometLakehttps://t.co/FXrCgNBN40 pic.twitter.com/yCl9BYZmzs— InstLatX64 (@InstLatX64) July 21, 2022
Intelの第13世代Raptor LakeデスクトップCPUは、シングルコアの性能向上とマルチコアの性能向上が期待されていますが、基本的なアーキテクチャは同じなので、IPCの向上は期待していません。
しかし、クロック、キャッシュサイズ、コア構成が変更されており、これら3つが第12世代Alder Lake CPUに対する性能向上をもたらしている。
つまり、Raptor Coveは、Golden Coveを最適化したもので、アーキテクチャは同じだが、レイアウトが若干異なるという見方ができる。以前リークされたCore i9-12900KとCore i9-13900Kを同クロックで比較したベンチマークで、全く差が出なかった理由もこの点にあると思われる。
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一方、AMDはZen 4コアでIPCの数値を8~10%向上させる見込みだ。15%以上のシングルスレッド性能には、8~10%のIPCの向上&クロックの向上に加えて、より新しいメモリ規格であるDDR5-5600の利用が含まれる。
Raptor Lakeは、前世代よりもはるかに高いクロックとDDR5-5600も利用することになる。
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IntelのRaptor Coveコアと同じGracemontコア(第13世代で倍増し、キャッシュも増えている)では、IPCの向上は見られないが、Zen 4コアはZen 3に比べて最大10%のIPC向上をもたらし、Alder LakeはAMDの製品よりも10~12%程度優れたIPCとなることが分かっている。
つまり、IPCが向上しなくても、Raptor LakeはシングルスレッドセグメントでRyzen 7000 Desktop CPUに対して競争力のあるソリューションに仕上がるということだ。
また、同じドキュメントから、第14世代Meteor Lake CPUは、Redwood Cove P-CoreとCrestmont E-Coreで構成されていることも確認できた。
インテル・メインストリーム・デスクトップCPUの世代間比較:
Intel CPU ファミリ | 製造 プロセス | プロセッサ コア数/ スレッド数 (最大) | TDP | チップセット | ソケット | サポート メモリ | PCIe サポート | 発売時期 |
Sandy Bridge (第2世代) | 32nm | 4/8 | 35-95W | 6シリーズ | LGA 1155 | DDR3 | PCIe Gen 2.0 | 2011 |
Ivy Bridge (第3世代) | 22nm | 4/8 | 35-77W | 7シリーズ | LGA 1155 | DDR3 | PCIe Gen 3.0 | 2012 |
Haswell (第4世代) | 22nm | 4/8 | 35-84W | 8シリーズ | LGA 1150 | DDR3 | PCIe Gen 3.0 | 2013-2014 |
Broadwell (第5世代) | 14nm | 4/8 | 65-65W | 9シリーズ | LGA 1150 | DDR3 | PCIe Gen 3.0 | 2015 |
Skylake (第6世代) | 14nm | 4/8 | 35-91W | 100シリーズ | LGA 1151 | DDR4 | PCIe Gen 3.0 | 2015 |
Kaby Lake (第7世代) | 14nm | 4/8 | 35-91W | 200シリーズ | LGA 1151 | DDR4 | PCIe Gen 3.0 | 2017 |
Coffee Lake (第8世代) | 14nm | 6/12 | 35-95W | 300シリーズ | LGA 1151 | DDR4 | PCIe Gen 3.0 | 2017 |
Coffee Lake (第9世代) | 14nm | 8/16 | 35-95W | 300シリーズ | LGA 1151 | DDR4 | PCIe Gen 3.0 | 2018 |
Comet Lake (第10世代) | 14nm | 10/20 | 35-125W | 400シリーズ | LGA 1200 | DDR4 | PCIe Gen 3.0 | 2020 |
Rocket Lake (第11世代) | 14nm | 8/16 | 35-125W | 500シリーズ | LGA 1200 | DDR4 | PCIe Gen 4.0 | 2021 |
Alder Lake (第12世代) | Intel 7 | 16/24 | 35-125W | 600シリーズ | LGA 1700/1800 | DDR5 / DDR4 | PCIe Gen 5.0 | 2021 |
Raptor Lake (第13世代) | Intel 7 | 24/32 | 35-125W | 700シリーズ | LGA 1700/1800 | DDR5 / DDR4 | PCIe Gen 5.0 | 2022 |
Meteor Lake (第14世代) | Intel 4 | 未確認 | 35-125W | 800シリーズ? | LGA 1851 | DDR5 | PCIe Gen 5.0 | 2023 |
Arrow Lake (第15世代) | Intel 20A | 40/48 | 未確認 | 900シリーズ? | LGA 1851 | DDR5 | PCIe Gen 5.0 | 2024 |
Lunar Lake (第16世代) | Intel 18A | 未確認 | 未確認 | 1000シリーズ? | 未確認 | DDR5 | PCIe Gen 5.0? | 2025 |
Nova Lake (第17世代) | Intel 18A | 未確認 | 未確認 | 2000シリーズ? | 未確認 | DDR5? | PCIe Gen 6.0? | 2026 |
解説:
AlderLakeとRaptorLakeは同一のアーキテクチャーであることが、判明したようです。
ソースはIntelの公式ドキュメントなので間違いないでしょう。
幾つかの最適化が施されているとのことなので、この最適化とやらがどのようなものなのか今までのリーク情報から少し考えてみましょう。
IntelのRaptorlakeは6.0GHzに迫るクロックになる可能性が指摘されています。
参考:Intel Raptor Lake CPUは、6GHzのクロック周波数を提供する最初のx86チップとなる可能性があり、新しいオーバークロック機能はXTUアップデートで詳述されています。
同じIntel7と言う製造プロセスでコア数とキャッシュが増量されているにもかかわらず、クロックもAlderLake Core i9-12900KSの5.5GHzから500MHzも増やされているのは少し不自然です。
もし、同じ製造プロセスでそれが可能ならば、もっとAlderlakeのクロックを上げることが可能だったのではないでしょうか。
参考:Intel Raptor LakeのDLVR(Digital Linear Voltage Regulator)は、CPUの消費電力を最大25%削減する可能性がある。
RaptorLakeはAlderLakeと比較すると消費電力が上がっていることは確かですが、トップSKUで500MHzものクロックアップに成功しているのは製造プロセスがこのように改良を受けているからという可能性が非常に高いと思われます。
つまりRaptorlakeは同じプロセスでも省電力になる改良を受けており、AlderLakeと同クロックならもっと省電力に出来たが、省電力になった分は全て性能の向上(クロックの向上)につぎ込み、相応の性能になったということです。
今回、IPCは全く改善されていないと書かれていますが、私はそうは思いません。
RaptorlakeのキャッシュはAlderLakeと比較すると増量されています。
- Pコアの一つ当たりのL2キャッシュ AlderLake 1.25MBに対して、RaptorLake 2MB
- Eコア一つ当りのL2キャッシュ AlderLake2MBに対してRaptorLake4MB
キャッシュに関してはAMDの3D V-Cacheの例を見るまでもなく、きわめて相性の良い特定のベンチマークテストなら、結果が大きく変わる可能性は0ではありません。
一番わかりやすい例でいえば、ゲーム用途ですね。
3D V-CacheがゲームのFPSの結果を大きく向上させたのは記憶に新しいでしょう。
Zen3があらゆるベンチマークテストでAlderLakeになすすべもなくボロ負けする中、クロックが100MHz落ちたにも関わらず、唯一Ryzen 7 5800X3Dのみはゲーミングベンチマークで気を吐いていました。
つまりキャッシュの増量はゲームのFPSを大きく向上させる可能性が高いです。
もちろん、AMDの3D V-CacheはRaptorlakeで増量されたキャッシュよりかなり容量が大きいですから、あそこまでの効果はないかもしれません。
しかし、IntelがRaptorLakeの増量されたキャッシュをゲームキャッシュと銘打っている以上、恐らく、ゲームのFPS向上にそれなりの効果があるのではないかと思います。
L3ではなく、L2を増量しているのはRaptorlakeのアーキテクチャーにおいてその方がトランジスタ当たりの効率が良いからなのかもしれません。
L2の方が明らかに回転が良いですから、L3を大量に増やすより、より演算器側に近いL2を増やした方が効果が高い可能性はありますね。
私が考えるRaptorlakeの改善点は以上です。
要するにAlderLakeと比較してクロックの増分以上に、よりゲーム性能が高くなっている可能性が高いということです。
もちろんですが、これらはリーク情報からの推察に過ぎませんので、必ずあっているという種類のものではありません。その点は注意してください。
Raptorlakeはよりゲーム用途に向いたCPUとなるかもしれません。
発売が楽しみですね。
Core Ultra 200Sシリーズ
ソケットLGA1851
Intel 第14世代Coreシリーズ
ソケットLGA1700
※ 末尾にFがついているモデルはGPUがありませんのでご注意ください。