メモリ関係 その他

Samsungの4nmラインがフル稼働、HBM4チップが製造能力の最大60%を占有と報道

投稿日:

半導体ファウンドリのクリーンルーム内で、ロボットアームがシリコンウェハを検査している様子。先端リソグラフィ装置を背景に、青白い無菌照明のハイテクな雰囲気

■事実

Samsung電子のファウンドリ事業部が、2026年8月時点で4nm工程の生産能力の50%以上をHBM4向けベースダイ製造に割り当てていると報道されました。

関係者情報として、4nm工程は現在フル生産体制にあり、そのうちHBM4向けベースダイが50〜60%台の比率を占めていると指摘しています。

この高い比率は2026年下半期を通じて維持される見通しです。

ベースダイはHBM DRAMモジュール本体とは異なり、ロジックチップと同じ製造技術で作られる部材です。

生産拠点は平沢(ピョンテク)第2キャンパス(P2)・第3キャンパス(P3)内のファウンドリライン「S5」「S6」で、4〜7nm級工程を量産中です。

これら拠点の4nm工程の総生産能力は月間約3万枚、うち約1万5000枚がHBM4向けベースダイに投入されていると推計しています。

今回の増産は、2026年下半期にエヌビディア・ブロードコム・AMDなど大手顧客向けにHBM4供給を拡大するための先行対応と位置付けられています。

Samsung電子は2026年2月に業界初としてHBM4の量産出荷を開始しました。

Samsung電子は第2四半期決算説明会で、「2026年第3四半期のHBM4売上高は前四半期比3倍以上に拡大する見通し」「下半期にはHBM4売上高が全HBM売上高の60%を十分に上回る」との見通しを示しています。

ベースダイは、複数のDRAMコアダイを垂直積層するHBM構造の最下部に位置し、メモリとシステム半導体の間のデータ転送を支える部材で、HBM世代が進むほど重要性が高まっています。

前月(8月)には、Samsungが2nm技術をHBM向けベースダイに適用することも検討しており、器興(キフン)地区の生産ラインを転用してエヌビディア向け専用チップに充てる可能性があるとの別報道もありました。(ZDNet Korea発)

ソース:

  • https://zdnet.co.kr/view/?no=20260907110055

■解説(全体版)

ベースダイをロジック向け先端工程で作る流れは、データレート・ピン速度が上がったHBM3/HBM3E世代から始まった。SK hynixはこの工程をTSMCに外注し、Micronは独自プロセスを使っているとされ、御三家それぞれ戦略が分かれている点が興味深い。

ここが今回のニュースの一番面白いところだが、これまでのRAMageddon的な文脈は「DRAM向けウェハがHBM向けに食われる」という話が中心だった。しかし今回はそれに加えて、CPUやスマホSoC、GPUと同じクラスの「先端ロジック工場(4nm)」までもがHBM4のベースダイ製造に侵食され始めている、という新しい局面を示している。

しかもSamsungの場合、ファウンドリ事業部(Qualcommなど外部顧客のロジックチップも受託)とメモリ事業部が、社内で同じ4nmウェハを奪い合う構図になっている。TSMCやSK hynixにはない、Samsung特有の「内輪もめ」的な利害対立がここに存在する。

背景として、SamsungのHBM展開はこれまで「後追い」の歴史だった。NVIDIAの12層HBM3E認証では2024年4月から2025年9月まで約1年半かかり、この間にBlackwell世代のシェアをSK hynixに奪われたと報じられている。

ただしHBM4では様子が違う。Samsungは2026年2月に業界に先駆けてHBM4の量産出荷を始め、2026年8月には歩留まり(golden yield)約80%到達を発表、社内ロードマップより前倒しで進んでいるという。

とはいえアナリスト推計では、2026年半ば時点でのNVIDIA向けVera Rubin用HBM4のSamsungシェアはまだ25〜30%程度にとどまり、SK hynixが依然として優位(推計50〜70%)というのが実態に近い。

さらに、NVIDIAやAMD側がHBM4の仕様要求を緩和する「デスペック」の動きを検討しているとの報道もある。以前は容赦なくハネられていたサムスンのHBMが、メモリの側の品質に合わせて基準が落とされている現状は、関係性を明確に表している。

供給制約下では「どれだけ理論上のウェハ生産能力があるか」よりも「どれだけ認証済みで出荷可能なメモリを確保できるか」がボトルネックであるという指摘は的を射ている。TrendForceも「DRAM供給不足は2027年まで続く見通しで、メモリメーカーがHBM生産に振り向けられるウェハ生産能力自体が極めて限られている」とコメントしている。

サムスンは景気のいい話はするけど、量産品のクオリティを上げるのが苦手ですからねぇ。あくまで印象だが、これを裏付けるような実例はいくつかある。例えば2024年、契約済みだった「第2世代3nmプロセス(SF3)」を、契約を書き換えてまで「2nm(SF2)」と呼び方を変更した過去があり、海外メディアはこれを名指しで「misleading(誤解を招く)」と報じている。また過去にはSamsung Foundryの4nmプロセスで歩留まり35%(TSMCは同世代で70%)という報道があり、これを理由にQualcommがSnapdragon 8 Gen 1+以降の生産をTSMCへ切り替えたとされる一件もあった。

1つの会社の中でファウンドリ事業とメモリ事業が同じ工場の椅子取りゲームをしている、というのはなかなかシュールな構図だ。

「メモリ争奪戦」がいよいよCPUやスマホ向けの先端ロジック工場にまで飛び火してきた、というのが今回の話の一番厄介なところだ。

-メモリ関係, その他
-

Copyright© 自作ユーザーが解説するゲーミングPCガイド , 2026 All Rights Reserved.