
■事実
NVIDIAはPAX West 2026の会場で、GeForce RTX5000シリーズのFounders Editionを発売時のオリジナルMSRPで限定販売しています。
対象モデルはRTX5090($1,999)、RTX5080($999)、RTX5070($549)の3モデルです。
販売方式は同社の「Verified Priority Access IRL」プログラムを通じて実施されています。
NVIDIAのGeForceエバンジェリストJacob Freeman氏がPAX West会場から告知しており、来場者は同氏を探して在庫がある限り購入できる仕組みです。
VideoCardzは同一の投稿について読者から3件の別々のタレコミを受けたと明かしています。
同様のVPA IRLプログラムは2026年8月のQuakeCon 2026でも実施され、その際もRTX5090・RTX5080・RTX5070がMSRPで販売されました。
さらに遡ると2026年3月のPAX East 2026でも同プログラムを通じたFounders Edition販売が行われています。
VideoCardzは記事内で「NVIDIAには空気を読んでほしい。こうしたイベントは同社の助けになっておらず、むしろ自社のMSRPが他では手に入らないことを裏付けているだけだ」「MSRPはもはや何を意味するのか」と皮肉を交えて評しています。
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解説
直近3回のVPA IRL開催日程を並べると、PAX East 2026(3月26日〜29日)→QuakeCon 2026(8月6日〜9日)→PAX West 2026(9月4日〜7日、まさに今開催中)という順番になる。
PAX East終了からQuakeCon開始までは約130日(4カ月強)の間隔があったのに対し、QuakeCon終了からPAX West開始までは約26日しかない。間隔が約5分の1に縮まっている計算になる。
「たまにやる特別施策」から「ほぼ毎回の定例イベント」へと開催頻度そのものが上がっている、という点はNVIDIAの発表文面を待たずとも日付の並びだけで示せる客観的事実だ。
NVIDIAは各会場での販売台数を公表していないため、以下はあくまで仮の試算として提示する。
仮にPAX West全体(会期4日間、来場者10万人超)を通じて各モデル数十台規模の販売だったと仮定すると、単純な人数比だけで見た当選確率は0.1%を大きく下回る水準になる。(実数非公表のため、あくまでオーダー感の参考値)
一方で当選した場合の含み益は大きく、RTX5090はMSRPの$1,999に対し直近の実売相場が$4,000〜$5,299(GIGABYTE AORUS Infinityは$5,299)なので、差額はおよそ$2,000〜$3,300だ。
RTX5080もMSRPの$999に対し実売が$2,099前後まで来ており、差額はおよそ$1,100だ。
つまり「当選確率は極めて低いが、当たれば数十万円相当の含み益が転がり込む」という、宝くじというよりはむしろ"現物版の高配当くじ"に近い構造になっている。
これ、確率と配当だけ見ると普通に宝くじ売り場の方が良心的まである。
の種のMSRP限定販売イベントを支えているのはNVIDIAが自社在庫から捻出するごく少数のFounders Editionだが、その供給余力自体がGDDR7メモリ価格の高騰という「RAMageddon」の一部に規定されている。
AIBパートナー向けのGPUキット価格自体がGDDR7コスト増でRTX5090だけでも約$300規模の値上げ圧力が観測されており、NVIDIA自身が抱える在庫コストも同じ物価上昇の影響を受ける。
この状況が続けば、①NVIDIAが公式MSRPそのものを見直さざるを得なくなる、②見直さないまでも会場配布用の在庫確保がコスト的・供給的に厳しくなる、のいずれかの形で「MSRP限定販売イベント」自体の開催余地が縮小していく可能性がある。
つまり皮肉なことに、直近でイベント頻度が上がっているのは「NVIDIAがMSRP堅持を強くアピールしたい局面」である一方、その裏付けとなる原価環境はむしろ悪化方向にあり、この手のイベントが持続可能な形で増え続けるとは考えにくい。
頻度が上がっているのを「MSRPへの本気度の表れ」と読むか、「その建前を維持できる残り時間が短くなっているサイン」と読むかは人それぞれだが、GDDR7の値上がりペースを見る限り、後者の可能性を頭の片隅に置いておいて損はない。