AMDの8コアZen 4 CPU「Ryzen 7 7700X」の最初のベンチマークが、Bilibiliのコンテンツクリエイター、Extreme Playerによってリークされました。
AMDの8コアZen 4 CPU「Ryzen 7 7700X」が「Cinebench R20」でベンチマーク、シングルスレッド性能が最大25%高速に
今回ベンチマークを行なったAMD Ryzen 7 7700Xはエンジニアリングサンプルのようで、ベースクロックはリテールモデルのベースクロックと同じ4.5GHzで動作しているようだが、最大昇圧周波数も最終モデルのように5.4GHzまで達しているかどうかは不明だ。
例によって、ESチップの結果は最終的な性能を示すものではないが、ベンチマークそのものに入る前に、このチップが提供するスペックは以下の通りである。
AMD Ryzen 7 7700X 8コア "Zen 4 "デスクトップCPU
Ryzen 7000ファミリーには、8コア16スレッドの「AMD Ryzen 7 7700X」を用意した。AMDではこのCPUをゲーマー向けのスイートスポットと位置づけており、ベースクロック4.5GHz、ブーストクロック5.4GHzながらTDP105W(PPT142W)と低めに設定されているのが特徴だ。
キャッシュプールは40MBで、内訳はCCDが32MB L3、Zen 4コアが8MB L2となっている。
ここで1つ興味深いのは、Ryzen 7 7800Xチップに関するAMDの更新が今のところないことです。AMDは、その部分をZen 4コア(3D V-Cache)を搭載したRyzen 7 5800X3Dの後継に置き換えたいと考えているのだろう。
もしそうだとしたら、V-CacheパーツはAMD自身が2022年第4四半期後半の投入を確定しているので、今年後半のCPUラインナップのアップデートが期待できるだろう。
また、セグメント分けだけ見ると、Ryzen 7 7700Xはメインストリームセグメントで実に良い値付けになりそうだ。
AMD Ryzen 7000「Raphael」デスクトップCPUのスペック:
CPU名 | アーキテクチャー | 製造プロセス | コア数/ スレッド数 | ベース クロック | ブースト クロック (SC 最大) | キャッシュ | TDP | 価格(不明) |
AMD Ryzen 9 7950X | Zen 4 | 5nm | 16/32 | 4.5 GHz | 5.7 GHz | 80 MB (64+16) | 170W | >$799 US |
AMD Ryzen 9 7900X | Zen 4 | 5nm | 12/24 | 4.7 GHz | 5.6 GHz | 76 MB (64+12) | 170W | >$599 US |
AMD Ryzen 7 7800X | Zen 4 | 5nm | 8/16 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 | >$449 US |
AMD Ryzen 7 7700X | Zen 4 | 5nm | 8/16 | 4.5 GHz | 5.4 GHz | 40 MB (32+8) | 105W | ~$299 US |
AMD Ryzen 5 7600X | Zen 4 | 5nm | 6/12 | 4.7 GHz | 5.3 GHz | 38 MB (32+6) | 105W | >$229 US |
AMD Ryzen 7 7700X 8-Core Zen 4 CPUの性能は、Cinebench R20内でベンチマークを実施した。
これは、新しくリリースされたCinebench R23と比べると、かなり古いベンチマークである。
シングルコアでは773点、マルチコアでは7701点であった。
比較のため、AMD Ryzen 7 5800Xは、マルチコアで約6100ポイント、シングルコアで約620ポイントを記録しており、シングルスレッドで25%、マルチスレッドで26%高速なパフォーマンスを見ていることになる。
AMD Ryzen 7 7700X "Zen 4" CPUは、来月、他のラインナップと一緒に発売されます。
また、AMDは今月末に完全なアンベールを行う予定です。
AMD Ryzen「Zen 4」デスクトップCPU 期待される機能:
- 最大16のZen 4コアと32スレッド
- シングルスレッド・アプリケーションで15%以上のパフォーマンス向上
- 全く新しいZen 4 CPUコア(IPC/アーキテクチャの改善)
- 全く新しいTSMC 5nmプロセス・ノードと6nm IOD
- Zen 3と比較してワット当たり25%の性能向上
- Zen 3と比較して35%以上の全体的な性能向上
- 8-10%のクロックあたりの命令数(IPC)の改善(Zen 3との比較
- LGA1718ソケットのAM5プラットフォームでサポート
- 新しいX670E, X670, B650E, B650マザーボード
- デュアルチャネルDDR5メモリのサポート
- 最大DDR5-5600ネイティブ(JEDEC)速度
- 28 PCIeレーン(CPU排他)
- 105-120WのTDP (上限は170W)
AMDの次世代Ryzen 7000デスクトップCPUと各600シリーズマザーボードの詳細は、こちらの次世代ファミリーの総まとめでご覧いただけます。
解説:
7700Xのシングルスレッド性能は5800Xより26%上
とのことで、思ったより性能が高くなって安心しました。
しかし、ベンチマークの結果を見ると、やはり、Zen4はRaptorの対抗と言うより、Alderを超えるものと言うイメージです。
何かちょっとがっかりな結果ですが、これはZen4がしょぼいというよりもAlderが優秀過ぎたと解釈したほうが自然ですね。
同じIntel製品同士でもRocketとAlderでは性能が全く違いますし、RaptorはAlderからさらにクロックが上がり、ちょっと死角の無い状態になっています。
しかし、当初はシングルスレッド性能は5950Xより15%上とされていたZen4ですが、5800Xの26%上でAlderより上のところまで来ました。
12900Kと比較するとまた違うのかもしれませんが、AMDも7950Xの性能はまだ出ていません。
マルチスレッド性能はハイブリッドにはかなわないのでこれはどうしようもない感じですね。
ハイブリッドはデスクトップCPUをピンポイントで性能向上させ、圧倒的なマルチスレッド性能を実現するものなので、同じ仕組みを採用しない限りAMDが追い付くのは不可能でしょう。
AMDがそんなに焦って対応していないのは利益率の高いサーバーや数が出るノートPC向けにはあまり猛威を振るわないタイプの技術だからでしょう。
ノートPCではコア数は増えていませんので、後はIPCによる性能向上と言うことになります。
こちらの性能向上は地味に厳しいです。
製造プロセスとアーキテクチャー、片方もしくは両方が進化しなければ目立った効果がありません。
IntelがデスクトップでやっているようにTDPを上げてクロックを回して稼ぐタイプの性能の上げ方ですとTDPの枠が筐体を含めた冷却システムでキッチリ定められているノートPCでは通用しません。
「冷えなかったらクーラーをどんどん巨大化させて無理に冷やせばよい」と言う乱暴な方法論は使えないからです。
デスクトップで性能を上げるのと、決められたTDP枠で性能を上げなくてはならないノートPCではシビアさが違います。
特にAlderからRaptorは純粋にクロック分しか性能向上の恩恵は無いと思いますし、その幅はデスクトップほど大きくないでしょう。
それだけにピンポイントにデスクトップで絶大な効果があるハイブリッドに今のAMDのホモジニアスなコア構成では追いつくのは難しいと言わざるを得ません。
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