今日は電源についてお話をしたいと思います。
個人的には電源はPCで最も重要なパーツだと思います。
しかし、性能には全く影響を及ぼさないので、無視されることが多いパーツです。
私はPC-98+Win3.1くらいの時代に雷でモデムが壊れたり、自作してからは全く電源に無頓着だった時期があり、PCが不安定になったりなどの経験を経て、一時期狂ったように電源に神経質だった時期がありました。
しかし、私が自作を始めたころは80+Standardすらなかった時代で400Wとか300Wとか書いてあっても半分くらいしか出力が出せない電源がゴロゴロしていました。
今はどんなに安い電源でも80+Standardの電源というのは探すのが難しいくらいだと思います。
だからそれほど神経質になる必要はありません。
私が自作を始めて4-5年くらいは高品質電源などという上等なものはありませんでした。
80Plus規格ができるのが2000年に入ってからですから、当時はいわばなんでもありみたいな状態でした。
しかし、どうしてもカタログスペックの性能は出したいわけです。
どうしたかというと、いろいろと調べた結果、医療用機器の電源を作っている「日本プロテクター」という会社があるのですが、そこの電源を使うことにしました。
※ 今はNIPRONという社名に変更になっています。
ちなみにここの電源は恐ろしく高いです。
300Wクラスで20,000円ほどします。今見てみましたが、昔からあまり値段は変わってませんね。
医療用機器の電源なので、あまり大容量のものは作ってません。
現時点のラインナップで最大容量822Wで5万円超ですかね。昔と比べるとそれでもかなり大容量になりました。
知る人ぞ知るというメーカーだと思います。
昔はPCショップにもわずかに取り扱いがありましたが、今は取り扱ってるんですかね。
最近は通販ばかりなので店頭にここのメーカーの在庫があるのかどうかわかりませんが、高品質電源と言えばここです。
何せ医療用機器の電源ですので、プロ仕様です。
普通にパソコン用の電源を作っているメーカーとは品質が違います。
一時期話題になった動物電源全盛の時にはすでにここの電源を使っていたと思います。
※ 動物電源事件 安価な電源に動物の名前がついていたことから低品質な電源の代名詞となった事件。ある自作ユーザーが使い始めてあまりにもすぐにぶっ壊れた電源を分解してみたらスカスカで酷い中身だったので、ネット上のスラングとして今でも残っています。電源の名前を調べてみたら「deer」など動物の名前がついており、ネット上で報告すると同じように動物の名前がついた電源の故障報告が多数寄せられたため、話題になりました。KEIANで現在も取り扱いがありますが、費用対効果としてはそんなに悪くないと思います。電源は安くてもいいって人は確実にいるんで、80+認証を取ってるなら動物電源イコール全然ダメってことはないです。まあ、私が人に勧めるかと言われたら絶対に勧めませんが・・・。ただ、私の超オーバークオリティ電源推奨もあまり万人に勧められるものではないと思っていますのでアンチテーゼとして、現代に生き残った動物電源の話も出しておきます。動物電源の製品情報を確認してみましたが、+5Vとか+12Vなどの出力表がありませんので外部電源を要求するGPUとの組み合わせは避けたほうが無難かもしれません。12Vが足りないとトラブルになる可能性がありますし・・・。1050Tiあたりと組み合わせるなら、まあ大丈夫なんじゃないでしょうか。
あまりに高いので、80+Gold辺りが出てからは使ってません。
普通のPCにここの電源を付けるのは正直言ってオーバークオリティだと思います。
ただ、昔から自作してる人はここの電源以外は眼中にないという人もいるんじゃないですかね。
私は、NIPRONの電源に瞬停、電圧低下、ノイズ対策に低容量のUPSを組み合わせていました。
私はmemtest24時間完走は否定派ですが、そんな無駄なことをするくらいならECCを使うか、超高品質電源+UPSの組み合わせで電源のクオリティをあげたほうが1000%くらいマシです。
大昔に(Connerがあった時代です)HDDのトラブルが起きたときも昔は酷い電源が多かったので、電源周りじゃないかと確認され、NIPRONの電源にUPSを組み合わせていると言ったら自作ショップの店員は全員黙りましたね。
昔は80+認証が無かったので、ハイクオリティ電源を確実に手に入れたければ、日本プロテクターの電源を買うしか方法はありませんでした。
今は80+認証がありますので、そういう心配はありません。
今はCorsairとかSeasonic・Enermaxあたりが一流電源だと思います。
昔はSeasonicとEnermaxが二強だったと思いますが、いつ間にかCorsairがブランドを確立してしまいました。
プロ、産業用向けで自作用としてはオーバークオリティで時代の遺物みたいなところがありますが、今でもNIPRONの電源を使えば電源周りのトラブルはほぼ起きないでしょう。
流石に今は800Wそこそこで5万円を超える電源を購入しようという猛者はほとんどいないと思いますので、紹介してもあまり意味はないと思いますが、amazonではマケプレで取り扱っている業者がわずかにあるようです。
NIPRON 80+Silver 822W ATX電源 \54,000程度
※ 無償修理期間3年間
NIPRON 80+認証無し 550W ATX電源 \44,000程度
※ 無償修理期間3年間
NIPRON 80+認証無し 350W ATX電源 \30,000程度
※ 無償修理期間3年間
お約束ですが、価格は記事執筆時点(2018-05-28)のものです。
変動することがありますので、ご了承ください。
今リンクを引いてみたら、350Wと500Wの製品には80+認証も取ってないですね。力率75%くらいですが、値段はかなり高いです。
その代わり、すべての製品に三年間の無償修理期間がついてます。
三年間どんなに酷使しても壊れたらタダで直すと言ってるのは凄いですね。
電源という製品の性質を考えると狂ったサービスだと思いますが、それだけ自信があるということなのでしょう。
昔は高品質の製品が無かったのでどうしようもなかったのですが、価格を度外視してひたすらクオリティを求めると行き着く先にはこういう価格の製品が待っています。
ゲーミングPCとか普通の自作PCにNPRONは無駄です。
BTOの場合はこんな風に狂ったような価格の製品を買うよりはおとなしく延長保証や月額のサービスを付けたほうがよいでしょう。
どちらにしてもお金を払う必要があるならば、トラブルが起きない可能性の方が大きいので保証を厚くした方がよいと思います。
私はどうしようもなかったので買いましたが、今は普通に一流メーカーの電源を買ったほうがいいです。
今だと、80Plus Titanium電源がもっと大容量でほとんど同じくらいの値段です。
普通のデスクトップ向け電源ならば絶対にTitanium電源のほうを買ったほうがいいでしょう。
ちなみにNIPRONのHPの電源の説明は普通のメーカーの説明とは次元の違う詳細な解説が載っていますので、一読されることをお勧めします。
こんな話をゲーミングPCの解説サイトでしても共感してくれる人が何人いるかわかりませんが・・・。
値段を聞いたらまず買おうと思う方はいないと思いますが、今からNIPRONの電源を買おうという猛者がいたら12Vの確認はしたほうがいいと思います。
※ ネットで調べてみましたが、今でもやはり耐久性という点では一番のようです。また、エンプラ用の製品やプロ仕様の製品、データセンターで使うことが前提の製品はやたらうるさい可能性があるので注意してください。
参考リンク:NIPRON - 電源辞典