グラフィックス対応IOダイを増やしたデスクトップCPUに似たAMD Strix Halo
Zen5アーキテクチャに基づく次期AMD次世代APUシリーズは、Zen5とZen5cのコードを組み合わせたハイブリッド設計を採用すると噂されている。
しかし、これらのチップの具体的な構成はまだ公式には確認されていない。
AMD Strix APUシリーズに関する報道は数ヶ月前から出始めていたが、最近になって最初のStrix Point APUベンチマークが発見され、初期テストが進行中であることが示唆された。
ベンチマークでは、プロセッサの12コア構成が確認されたが、ハイブリッドコアの正確な配置は不明のままだ。
Olrak29によると、Strix Point APUは4つのZen5コアと8つのZen5cコアを搭載すると予想されている。
一方、「Strix Halo」または「Sarlak」と呼ばれる大型のAPUは、デスクトップ版と同様に2つのチップレットに分割された16個のZen5コアを搭載すると言われている。
デスクトップと「究極のAPU」の主な違いは、GPUを搭載するIOダイにあると別のリーカーは主張している。
デスクトップ・プロセッサーはGPUの性能が劣るが、Haloバージョンは、以前の報道で示唆されたように、最大40個のコンピュート・ユニットを内蔵すると噂されている。
Strix Halo looks like a desktop Zen5 with a different IOD.
— kopite7kimi (@kopite7kimi) July 29, 2023
さらに、Ryzen 8000シリーズのラインナップには、さらに2種類のAPU構成が存在することが示唆されている。
これらには、低消費電力APUのHawk Pointと、Dragon Rangeとして知られるラップトップ向けハイエンドゲーミングAPUシリーズの後継となるFire Rangeが含まれる可能性がある。
このシリーズには、Raphael Zen4デスクトップ・シリーズの後継となるGranite Ridgeも含まれ、これらのプロセッサーは最大170Wまで昇圧するはずだ。
間違いなく、Ryzenファミリーに追加される次期モデルは、様々な製品セグメントや消費者のニーズに応えるため、CPUとGPUのアーキテクチャをミックスして組み込むというトレンドを継続するだろう。
願わくば今回、消費者が製品名の裏に隠されたアーキテクチャ(およびサブアーキテクチャ)を追いかけやすくなることを期待したい。
噂のAMD Ryzen 8000シリーズ
Hawk Point | Strix Point | Fire Range | Strix Halo/Sarlak | Granite Ridge | |
ターゲット 市場 | メインストリーム | プレミアム | ハイエンド | アルティメット | デスクトップ |
タイプ | モノリシック | モノリシック | MCM | MCM | MCM |
Ryzen シリーズ | Ryzen 8040 | Ryzen 8050 | Ryzen 8055 | 不明 | Ryzen 8000 |
CPUコア数 | Zen4 x8 | 12C (Zen5×4 + Zen5c×8) | Zen5 ×16 | Zen5 ×16 | Zen5 ×16 |
GPUコア数 | 12CU RDNA3 | 16CU RDNA3.5 | 不明 | 40CU RDNA3.5 | 不明 |
Ryzen AI コア | ~10 TOPS | ~20 TOPS | 不明 | ~40 TOPS | 不明 |
デフォルト TDP | ~28-54W | ~28-54W | ~55-75W | ~55-120W | ~65-170W |
解説:
Zen5世代はAPUとMCMチップがさらに細分化する
モノリシック(現在のAPU延長)
- Hawk Point=現在のAPUそのまま
- Strix Point=12コアで新しく設定されるグレード
MCM(現在のデスクトップの延長)
- Fire Range=Dragon Rangeの後継
- Strix Halo/Sarlak=Desktop+40CU GPU
- Granite Ridge=Raphaelの後継
このようになるようですね。
Strix Haloはその名前からモノリシックなのかと思っていましたが、MCMなのはびっくりしました。
Zen5世代では16コア32スレッドにとどまるということで、もうハイエンドの勝負をIntelとすることは出来ないでしょう。
IntelはArrowLakeでまたコア数を増やしていますので、全体としてみるとどんどん1コア当たりの価値が下がっています。
CPUに注力しないAMDの戦略は何か。
今はRTX4090が298,000円でCore i9-13900KSが108,970円です。
GPUの価格はCPUの3倍を正当化できる状態になっています。
つまり、CPUはもうオマケでGPUが本体と言うことになります。
異論がある人もいると思いますが、少なくとも価格で判断するならばそうです。
モノリシックでハイブリッドを使っているということはデスクトップでもハイブリッドを使ってコア数を増やすことが不可能と言うことではないと思います。
しかし、AMDはそれはもう必要ないという判断をしているということですね。
仕様を見るとStrix Halo/Sarlakも高止まりしそうな気配ですから、Zen5の立ち位置は今までの判断基準から考えると、かなり厳しくなるのではないかと私は考えています。
今までの情報から考えると、AMD「GPUの性能を十分に引き出せるならば、これ以上の(特にマルチスレッドの)性能強化はもう必要ない」と考えているということになります。
Intelは4コア8スレッドに長らくとどまりユーザーからの信頼を失いましたが、AMDのこの戦略はユーザーに受け入れられるでしょうか。
ユーザーがAMDの戦略を受け入れるには「CPUの価格を安くする」と言う行動が必要だと思います。
AMDのフラッグシップであるRyzen 9 7950X3Dは現在はamazonで以下の価格で売られています。
Zen4世代では10万円越え=13900KSの価格を正当化出来ていますが、次世代では難しいのではないかと思います。
Raptor Lakeは24コアですが、ArrowLakeでコア数が増えればもう同じ土俵には立てないのではないかと思います。
現時点ではX3Dに特別な価値がありますので、この戦略はうまくいっていますが、Intelもキャッシュを強化する計画がありますのでZen5世代でこの戦略がうまくいくかどうかと言うのは未知数でしょう。
Strix Halo/Sarlakがどのくらいの価格で出てくるかも含めて、AMDの戦略がうまくいくのかどうかは注目です。
どちらにしてもZen5 vs Arrow Lakeは大荒れすることは確かだと思います。
勝負はAMDがどのくらいCPU価格を下げてくるかです。
フラッグシップがミドルレンジ化して、プラットフォーム全体のTCOがどのくらい下げられるかと言うことだと思います。
一方Intelはハイブリッドを使ってAMDを性能で引き離す構えですが、2-3世代ごとにプラットフォームそのものを代えて全体のコストは高いです。
実際問題私もずっと16コア32スレッドのCPUを使っていますが、これ以上必要かと問われれば「微妙」と言わざるを得ないです。
私の普段の用途からするとどちらかと言うと「過剰」です。
13700Kも持っていますが、確かにPytorchをコンパイルするときには助かったと感じましたがそれ以外ではあまり恩恵を感じたことはありません。
それよりもシングルスレッド性能の方が重要だと思います。
次世代以降のCPUに求められるもの
現在市場のトレンドはAI処理が独占しており、Intel、AMD両社ともAI処理に特化した回路を搭載し始めています。
これがCPUの中でどのくらいの地位を占めるのかはまだ未知数です。
Strix Halo/Sarlakが最上位とも取れるようなカテゴリーわけがされていますが、AI処理においてCPUのみである程度単体で完結することが出来るというのが次世代以降のCPUに求められることだと考えているのかもしれませんね。
あまりにも新しすぎる考え方ですが、今のところAMDのAIEもIntelの「AIエンジン(VPU)」どのような役割を割り振れるのかに関して全く情報が出てきてない状態ですから、製品が出そろって、さらに周辺環境が整ってから判断していくことになると思います。
AMDはザイリンクスを、Intelは単体GPUを、それぞれ足りないものを補完してAI処理がスタンダードになる次の世界への準備を終えたわけですが、1エンドユーザーに過ぎない私には次の世界の想像がつきません。
今後CPUがどうなっていくのかは興味が尽きないです。
Ryzen 9000シリーズ
Ryzen 7000X3Dシリーズ
Ryzen 8000GシリーズAPU(GPU内蔵)
Ryzen 5000/4000シリーズ