さて、今回は中国のSAN ZANGのBLM20Cです。
これは何者かと言うと、USB3.2GEn2x2(20Gbps)でNVMe SSDを使おうというコンバーターです。
20Gbpsに対応した品としてはほぼ唯一と言ってもよい製品です。
実は結構前に買ったのですが、問題があったのでまともに使える状態になるのに時間がかかったこと、レビューを上げるかどうか迷いました。
批判的なレビューばかり上げるのもやはり良くないと思ったからです。
色々悩んだ末、レビューを上げることにしました。
やはり、何より20Gbpsに対応したほぼ唯一無二の製品だからです。
私が買ったのは金色でしたが、今見たらグレーしかありませんでした。
レビュー品の紹介
箱、表面
箱 裏面
箱を開けたところ
中箱の下にも説明書などが入っていますので確認し忘れないようにしてください。
中箱に入っているセット内容
本体、接続ケーブル、ドライバー、ヒートシンク
接続ケーブル
接続ケーブル - コネクタ部分のアップ
ヒートシンク上
ヒートシンク、裏
本体の裏ブタはネジでとマットいますが付属のドライバーで簡単に外せます。
中の基盤を外して撮影してみました。こちらは取付部分の下側です。制御チップが見えます。
制御チップの拡大。ASMEDIAのAS2364とあります。
品名:M.2 NVMe SSD エンクロージャー
モデル:BLM20C
寸法:113.5X40X14mm
素材:アルミニウム合金
入力:M-Key、B&M-Key
出力:USB Type-C(付属ケーブルでType-Aに変換可能)
最大転送速度:20Gbps
制御チップ:ASMEDIA AS2364
対応SSDサイズ:M.2 NVMe SSD 2230,2242,2260,2280
サポートOS:Windows/Mac OS/Linux/Android
公式HPには同種類の製品は載っていますが、同じモデルの紹介はありませんでした。
理由は不明です。
公式HPはあくまでも国内製品向けなのか、それともEOLしてしまったのか・・・。
中国の製品にとても多いですが、やはり同じ製品はHPの製品紹介にきちんと載せてほしいところ。
実際の使用感
まず、使用する前にこの製品の最大の欠点を挙げておきます。
SSDに付属のヒートシンクを取り付け、そのヒートシンクをアルミ製の本体の裏ブタに接触させて熱を逃がすという方式になっています。
ヒートシンクの他に熱伝導シールが付属しています。
このように、熱伝導シートを付けると取付時に引っかかります。
ヒートシンクと本体の隙間を移したかったのですが、うまく撮影出来ませんでした。
熱伝導シートを取り付けなければ普通にヒートシンクを取り付けることができますが、本体とは隙間があるのでヒートシンクの用をなしません。
※ この点についてコメントでご指摘をいただきました。熱伝導シートを取り付けてから上から押えるようにはめればきちんとはまるとのことだったので試してみたところ、きちんとはまりました。こういう設計のようです。ちょっと製品の意図を読み間違えたようで申し訳ありませんでした。コメントでご指摘をいただいた方、ありがとうございます。
ヒートシンクはNVMe SSDを包むようにコの字型になっており、溝が付いています。この溝にSSDを差し込んでスライドさせて取り付ける方式なのですが、熱伝導シールを取り付けるとスライドさせると引っかかってしまいうまく取付出来ません。
強引にやると熱伝導シートが破れてしまいます。
私は少し破きました。
一応同じことはamazonのレビューにも書いてあったので、対策は考えていました。
上の製品を買って取り付けました。
取付は銅製のヒートシンクをサンドイッチするように熱伝導シートを貼り付けます。
SSD側にはヒートシンク付属の0.5mmのものを本体裏ブタ側には上で購入した1.0mmのものを使うとうまく取付られました。
こんな取り付け方でズレないのかと言うと、圧力がかかるのでズレません。
どっちにしても本体に付属するヒートシンクは使い物になりませんので、参考にしてください。
こんな状態でちゃんと熱を伝えるのかどうかですが、ちゃんと伝わっています。
爆熱SSDのHanye ME70で試したのですが、きちんと本体が熱くなりましたし、USB駆動のファンで冷やしたらきちんと温度が下がりました。
実は私はNVMe M.2 SSDをある目的のためにカセットのように取り換えて使おうと思っていたのですが、この製品だと結構面倒臭いです。
多少速度が落ちても種類が一杯あるUSB3.0の10Gbpsの製品の中から使い勝手のよさそうなものを選んだ方が良いと思います。
正直、私のように小器用にいろいろな製品を念頭に置きながらトラブルを解決できるタイプの人間でない限り買っても途方に暮れる可能性が高いです。
この取付の問題の今一つの解決方法は大きめのM.2用のヒートシンクを別途購入して蓋をあけっぱなしにして使う方法です。
でもせっかく本体はアルミ製で質感もそれなりにいいのに、蓋を開けて基盤剥き出しの状態で使ったらかっこ悪いですし、興ざめです。
この辺の使いにくさとわかって無さのイマイチクオリティが如何にも中華と言う感じです。
私のブログなど見てないかもしれませんが、開発者の方がここを見ていたらこの製品の取付方法は絶対に考え直した方がよいです。
実際に使ってみる
実際に使ってみました。
取付には非常に問題のある製品ですが、物自体はきちんと使えます。
そこは間違いありません。
M.2 SSDカセットポン計画のために購入したそれなりの数の256GB SSD(と趣味的に買った2TB SSD)を使って性能テストをしてみました。
このマイナーで怪しい中華製品をここまで多くのSSDを使用してデータを取ったのは世界で私ただ一人でしょう。
Gen3 SSD
ARKAINE ARK11M256G NVMe SSD 256GB
Gen4 SSD
HIKUSEMI FUTURE SSD(HS-SSD-FUTURE 2048G)
シーケンシャルリード/ライト 比較(Q8T1)
シーケンシャルリード/ライトの最大値に関してはスペック通り、2048MB/s程度にあるとみてよいだろう。
コントローラーなどによる相性などは特にないと考えてよいだろう。
性能なりの速度が出ている。
Gen3 SSDの高速な製品を使えば、リードもライトも簡単に最大値に達するだろう。
ランダムリード/ライト 比較(Q32T16)
ランダムリード/ライトに関してはPCIeと比較するとかなり遅く、リード58,500IOPS、ライト67,300IOPS程度が最大値になるようだ。
Phison PS5013-E13T搭載のARKAINE SSDで既に最大値に近い性能が出ており、Gen4 SSDは完全にオーバースペックと言える。
シーケンシャルと比較するとランダムリード/ライトの値はかなり遅く、細かいファイルの読み出しや書き込みの性能がかなり落ちると判断してよいだろう。
総評:
公式に用意されている方法では激烈に取付にくい(ものによっては事実上不可能レベル)ですが、取り付けることさえできればきちんと使えます。(それをきちんと使えるというのかどうかはおいておくとして)
性能はリード/ライト共に2000MB/s程度まできちんと出ます。
20Gbpsだと計算上は2500MB/sですが、コマンドの送受信などもあるでしょうから実効帯域は恐らく2048MB/s前後だと思います。
そう考えるとギリギリまで速度は出ていると判断してよいです。
安いですし、基本的に良い製品だと思います。
「ちゃんと取付が出来れば」ですが。
使用するM.2はこの製品の性能を限界まで絞りつくしたいならば、Gen3の速度が速めの製品を買った方がよいでしょう。
書き込みでもきちんと2000MB/s迄出ます。
FAQ
Question:なんでThunderboltの奴にしなかったの?
Answer:Thunderbolt3は10,000円越え、こいつは3000円以下
Question:速度が1000MB/sしか出ないんだけど?
Answer:2000MB/s出すにはUSB3.2 Gen2x2ポートに接続する必要があります。ハイエンドのマザーボードでも1個か2個しか付いてないはずなので説明書をよく見てUSB3.2 Gen2x2(20Gbps)対応のポートに接続してください。amazonのレビューでも半分程度の速度しか出ないと言ってる人がいますが、それは恐らく、10Gbpsのポートに接続しています。実際上のレビューのようにちゃんと出ます。稀にType-Aもありますが、ほとんどがType-Cだと思います。