AMD GPUの動向を最近、お知らせしていなかったので、紹介したいと思います。
既に他のサイトさんで散々記事が出ているのですが、最近Vega20についてコメントを頂いたので、この機会に説明しておこうと思います。
科学技術計算向け7nm版Vega Radeon Radeon M150/MI60
GPU名称 | AMD Radeon RX Vega 56 | AMD Radeon RX Vega 64] | AMD Radeon Instinct MI50 | AMD Radeon Instinct MI60 |
GPUアーキテクチャー | Vega10 | Vega10 | Vega 20 | Vega 20 |
製造プロセス | 14nm | 14nm | 7nm FinFET | 7nm FinFET |
コア数 | 3584 | 4096 | 3840 | 4096 |
クロック | 1471MHz | 1546MHz | 1746 MHz | 1800 MHz |
FP16演算能力 | 16.5 TFLOPs | 20 TFLOPs | 26.8 TFLOPs | 29.6 TFLOPs |
FP32演算能力 | 8.3 TFLOPs | 10 TFLOPs | 13.4 TFLOPs | 14.8 TFLOPs |
FP64 Compute | 不明 | 不明 | 6.7 TFLOPs | 7.4 TFLOPs |
メモリ容量・種類 | 8GB HBM2 | 8GB HBM2 | 16 GB HBM2 | 32 GB HBM2 |
Memory Bus | 2048-bit bus | 2048 bit-bus | 4096-bit bus | 4096-bit bus |
メモリ帯域 | 435 GB/s | 484 GB/s | 1 TB/s | 1 TB/s |
TDP | 210W | 295W | 300W | 300W |
こういう比較はあまり良くないと思うのですが、一般向けVega10のRX Vega 56/64と今回発表されたM150/160の比較です。
メモリのバス幅が倍になってクロックが15%-18%前後上がっている他にスペック上の大きな違いはありません。
※ もちろん科学技術計算向けにカスタマイズはされていると思いますが、あくまでもスペック上の話です。
ここから考えると7nm版の一般向けVegaもクロックアップ以外の恩恵はほぼなさそうな感じです。
製造プロセスの恩恵をほぼすべて速度アップに費やしているようですので、消費電力も変わらないと思います。
一つだけ救いがあるのは、ダイのサイズがかなり小さくなるでしょうから、価格もそれに伴って下がる可能性があるということくらいです。
ただ、7nmはかなりコストが上がるようですので、それも怪しい感じですが・・・。
Vega20とみられるFF15のスコアがリークしていましたが、あのスコアでほぼ決まりではないかと思います。
一般向けでこれだけメモリを積んでも価格が高くなるだけでメリットは何もないので、一般向けは8GBに落されるんじゃないかと思います。
私が思うにVegaシリーズの適正クロックというのはもう少し下だと思います。
nVidiaとの競争のために無理にクロックを上げた感じですかね。
そして、残念ながら爆熱になってしまった感じです。
今回もかなり無理してクロックアップしてるっぽいので、やはり爆熱でしょう。
HBM2を使っているので価格はそれほど下げられないでしょうし、今の時点で判断するならば、残念ですが爆死確定しています。
ファン向けのコレクターズアイテムでしょう。
いまだに正式に発表が無いのもうなづける話です。
Radeon RX 590(Polaris30)に関して
Vega20と違って、こちらの方はかなり良い感じです。
GPUメーカーの独自OC版はブーストクロックが1680MHzや1645MHzなど、RX 580の1340MHzと比較すると25%も動作クロックがアップしています。
ただ、FF15ベンチ結果のリーク記事に載っているRX580の結果を1.25倍してもGTX1070には全く届かないレベルです。
やはり、FullHDまでのGPUと言わざるを得ない感じですかね。
PolarisやVegaをいくらクロックアップしてもTuringやPascalにはちょっと届かない感じです。
私はPolaris30の2048SP版(現行のRX570)の4GB版がVR Readyが取れるくらいクロックを上げて、同時に消費電力が下げつつ2万くらいでだせればずいぶんいい感じになるんじゃないかと思います。
AMDにとってはあまり面白くない希望です。
それでも久しぶりに出るAMD GPUの大型新製品で、RX580比25%とかなり性能がアップしていますので結構なアピールポイントになるんじゃないでしょうか。
レイトレーシングとDLSSもしばらく話を聞きませんので、何か事情があるんですかね。
こちらはもうすぐクリスマスシーズンで欧米は動きが止まりますので、来年に期待という感じです。
Naviに関するリーク
最初に出るNaviはコードネームはNavi12で40のCUを持つらしいです。
まだ分かりませんが、GCNと同じ比率のストリームプロセッサ数として計算すると2560SPになります。
RX480/580/590は2304です。
・7nm版のVegaはゲーマー向けには発売されない。
・Navi 12は、最初のNaviとなり、2019年上半期にロンチする予定です.Navi 10は、2019年後半または2020年後半に廃止されるか、または後で発売する予定です。 性能はVegaに等しく、7nmに基づく小さなGPUになります。
・Navi 20は7nmで製造される真のハイエンドGPUになりそうです。今のところ2020年後半から2021年ごろにロンチすると言われています。
・Naviは4096SP/64CUの制限が必要なGCNから移行する最初のアーキテクチャーになります。
・AMDはKUMAの時、内部のコードネームで同じ名称を使用していたため、採用しませんでした。Naviもその時と同じようにそのままの名称では出ないと判断しています。
VegaはAppleのために開発されたのと同じように、NaviはPS5のために開発されている。
Navi10が遅れているため、PC用にNavi12を出すということらしいです。
Navi10は後から発売されるかもしれないし、もしかしたら発売されないかもしれないということです。
また、コードネームをそのまま名前に使うことに関しては、AMD内部では混乱するのでよくないと思っているため、Radeon RX 600シリーズなどの名称になるのではないかということです。
これがある程度具体性のある最初のリークなので真偽のほどはまだ分かりませんが、とりあえずこのような噂が上がっています。
以前AMDの一般向けハイエンドGPUとして話が上がっていたArcturusはどこに行ってしまったのか、今回のリークでは影も形もないです。
Navi20=Arcturusなのか、それとも単なるガセだったのかよくわかりません。
2020年後半から2021年にかけて出るのがNavi20ならば、PS5に搭載されるものと規模の違い(コア数の違い)はあれ、基本的な設計はそれほど大きく変わらないと思うので、レイトレーシングへの対応は無い可能性が高くなりますね。
これが本当ならばとても残念です。
ソース:wccftech - Exclusive: First AMD Navi GPU Will Have 40 CUs And Is Codenamed Navi 12