
■事実
Best Buyが米国でASUS ROG Astral RTX5080 OCの価格を$2,099.99に引き上げた。従来価格$1,899.99から$200の値上げしました。
この価格はASUSが2025年1月の発売時に設定した$1,499.99から$600(40%)の上昇にあたります。
$2,099.99はNVIDIAが定めるRTX5090 Founders Edition のMSRP($1,999)を$100上回る水準です。
同時にRTX5080 Founders EditionのMSRP($999)とは$1,100の差がありまする
大手米国小売店が標準的なRTX5080モデルをRTX5090のMSRPより高い価格で直接販売したのは今回が初めてです。
RTX5090搭載カードも値上げされており、ASUS ROG Astral RTX5090は$4,829.99、MSI RTX5090 Suprim Liquid SOCは$4,599.99です。
RTX5090 Founders EditionはBest Buyで$1,999.99のまま掲載されているが、現在在庫切れです。
現時点でBest Buyの最安RTX5080はPNY製モデルで約$1,257です。
背景:2026年1月頃、NVIDIAが「Open Price Program(OPP)」を終了したとder8auer氏(HardwareLuxx経由)が報告しています。OPPはAIBパートナーが一部モデルをMSRP近辺で販売できるよう補填していたリベート制度でする
OPP終了により、AIBがMSRP近辺の価格を維持するインセンティブがなくなったことが、今回のような値上げの一因とされています。
別軸として、NVIDIAは2026年に入り複数回、AIBパートナー向けのGPUキット(GPUダイ+VRAMのセット販売価格)を引き上げている。対象はBlackwell世代のGDDR7搭載モデルに加え、旧世代のGDDR6搭載モデルにも及びます。
値上げの背景はAIデータセンター需要によるメモリ不足。3GB GDDR7チップの価格は1個あたり$60~70程度とされ、標準的な2GBチップ(約$20)の約3倍でする。
このメモリコスト高騰により、RTX50 SUPERシリーズ(RTX5080 SUPER、RTX5070 Ti SUPER、RTX5070 SUPER)の投入が延期されています。一部AIBはハードウェア自体は生産準備が整っているにもかかわらず、価格設定の目処が立たず据え置き状態と報じられています。
表(比較用)
集計基準:Best Buy掲載価格(2026年7月30日時点、VideoCardz報道)とNVIDIA公式MSRPの比較
| モデル | 発売時MSRP(NVIDIA基準) | 従来価格 | 現行価格(Best Buy) | MSRP比 |
|---|---|---|---|---|
| ASUS ROG Astral RTX5080 OC | $999(RTX5080 FE) | $1,899.99 | $2,099.99 | +$1,100(+110%) |
| ASUS ROG Astral RTX5090 | $1,999(RTX5090 FE) | 不明 | $4,829.99 | +$2,830(+142%) |
| MSI RTX5090 Suprim Liquid SOC | $1,999(RTX5090 FE) | 不明 | $4,599.99 | +$2,600(+130%) |
| RTX5090 Founders Edition | $1,999 | - | $1,999.99(在庫切れ) | ±$0 |
| PNY RTX5080 OC(最安モデル) | $999 | - | 約$1,257 | +$258(+26%) |
解説
「5080」が「5090」のMSRPを超えるというのは数字上の逆転現象で、型番が示すはずの製品階層がもはや価格の実態と一致していないことを象徴している。
OPP終了の意味合い:MSRPは「NVIDIAが公表する希望小売価格」という建前は残るが、それを守るインセンティブ構造自体が消滅した。つまりMSRPは事実上「参考値」でしかなくなったと捉えるべき。
値上げの根本原因はGPUのアーキテクチャや性能そのものではなく、GDDR6/GDDR7メモリの供給不足にある。AIデータセンター向け需要がメモリ市場を圧迫し、その余波がゲーミングGPU市場に波及している構図だ。
皮肉な点として、NVIDIA自身のAIアクセラレータ事業がメモリ需要を押し上げ、結果として自社のコンシューマー向けGPU価格を押し上げる形になっている。自社の成功が自社製品を値上げさせているとも言える・
「廉価版のはずの5080がフラッグシップの定価より高い」というのは、コンパクトカーが高級車のカタログ価格を超えて売られているようなもので、正直ちょっと笑ってしまう状況。
RTX50 SUPERシリーズの延期は、状況が近々好転する見込みが薄いことを示唆している。当面はRTX50シリーズでMSRP近辺の購入を期待しない方がよさそうだ。
「型番と価格の序列が崩れた今、消費者が頼れる指標はもうスペックと実売価格の比較くらいしかない」。