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AMD、FSR 4.1をRDNA 3向けに7月提供・RDNA 2にも2027年初頭対応へ — ようやく来た正式サポート

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AMDのGPUコンセプトイメージ。中央プロセッサからAIアップスケーリングのエネルギー波が放射するイメージ

※画像は記事の内容をもとにしたイメージです。必ずしも現実を反映しているわけではありませんのでご注意ください。

■事実

発表の概要

AMD上級副社長兼コンピューティング・グラフィックス部門GM、ジャック・ホアイン(Jack Huynh)氏が2026年5月14日にX(旧Twitter)で突然発表されました。

FSR(FidelityFX Super Resolution)4.1を、RDNA 3世代(Radeon RX 7000シリーズ)へ2026年7月に提供すると明言しました。

RDNA 2世代(Radeon RX 6000シリーズ)には「2027年初頭」に提供予定と告知。具体的な日付は未公表です。

RDNA 3向けはローンチ時点で300以上のゲームに対応予定です。

FSR 4(FidelityFX Super Resolution 4)は2026年3月にRDNA 4(RX 9000シリーズ)専用として提供開始。本発表はその約2か月後です。

技術的背景

FSR 4はAMDのRDNA 4世代が搭載するFP8ハードウェアアクセラレーションを前提に設計されていました。

RDNA 3はFP8専用ハードウェアを持たないが、第1世代AIアクセラレーターとしてINT8命令セット(整数演算)を持ちます。

AMDはRDNA 3向けに、RDNA 4と同じFP8モデルではなくINT8ベースの新バージョンを開発・最適化しました。

ジャック・ホアイン氏は「モデルのチューニング、最適化、検証を慎重に行った」と説明。メモリ使用量の最適化と高速シーンでのアーティファクト低減を実施しました。

RDNA 2もINT8演算をサポートしており、技術的にはINT8版FSR 4.1を動かせることが今回正式確認されました。

コミュニティによる先行実装の経緯

2025年8月、AMDがGitHub上にFSR 4のソースコードを誤って公開するリークが発生しています。

コミュニティはINT8版FSR 4をコンパイルし、OptiScalerと呼ばれる非公式ツールを介してRDNA 2・RDNA 3 GPUで動作させることに成功しました。

非公式INT8版のパフォーマンスコスト:コミュニティテストではRDNA 2でFSR 3比で約10〜20%のFPS低下。RDNA 3では低めです。

RDNA 3(RX 7900 XTX)でのCyberpunk 2077テスト例:FSR 3.1で約84fps → INT8版FSR 4で約79fpsです。(1440p・最高設定・レイトレーシング有効)

OptiScalerはLinux(VKD3D Proton経由)でも動作し、Steam Deckでのテスト例も報告されていました。

FSR 4.1の改善点(4.0比)

4.0に比べてぼかし・スメアリングを低減しています。

細い線や遠距離オブジェクトの細部保持が向上しています。

パーティクルエフェクトの表現精度が向上しています。

波及効果

RDNA 3世代の統合GPU(iGPU)を搭載するポータブルゲーミングPC(MSI Claw A8など)も対象となる見込みです。

RDNA 2ベースのSteam Deckが公式FSR 4.1対応になれば、コンソール市場にも波及する可能性があります。

NVIDIAはRTX 2000シリーズまでDLSS(Deep Learning Super Sampling)の最新アップスケーラーモデルをバックポートしており、AMDの旧世代対応遅延との対比が批判の背景にありました。

解説

「ビジネス判断」説の決着

以前から当ブログでは「FSR 4のRDNA 2・3除外は技術的必然ではなくビジネス判断」という立場を取ってきた。今回の発表はその見方をほぼ追認する形になった。

AMDが挙げていた「FP8ハードウェアが必要」という説明は技術的に完全に正確ではなかった。INT8で動くことはコミュニティが2025年秋の時点で証明していたし、今回AMDもINT8版として正式対応している。

「できなかった」のではなく「最適化・検証に時間が必要だった」という表現に変わっており、これは当初の説明から後退している。

コミュニティに先を越された件

2025年8月のソースコードリークは、AMDにとって頭の痛い出来事だったはず。非公式版が普及し始めると「なぜ公式が出さないのか」という圧力が高まり続ける構図になった。

結果として、コミュニティ(OptiScaler)が公式より先に「RDNA 3でFSR 4動作」を実現してしまった。

今回の正式発表は、リーク→コミュニティ実装→ユーザー圧力という流れが背中を押したとも読める。AMDが自発的に動いたのか、追い込まれたのかは微妙なところ。

「コミュニティに先に実装されちゃいました」って経緯を考えると、今さら「一生懸命取り組んでいました」と言われてもちょっと苦笑いしてしまう。

AMDブランドへの影響と今後

NVIDIAがRTX 2000シリーズまでバックポートしているのに対し、AMDは2020年発売のRDNA 2に2027年初頭という対応は「遅い」と言われても仕方ない。

ただし「ようやくやる」と宣言したことはプラス評価できる。NVIDIAがFrame Generation(マルチフレーム生成)をAda Lovelace以降に限定していることを考えると、アップスケーリング面での旧世代配慮という点ではAMDのほうが一歩進む可能性もある。

Steam Deck・MSI Clawなどのポータブル機への波及は、PC市場全体でのFSR 4.1普及度を引き上げるという副次効果がある。

RDNA 2がPS5の内部アーキテクチャに相当することから、FSR 4.1 INT8がコンソール(PS5)に展開される可能性も議論されている。ただし現時点で確認されていない。

今回の正式対応で最も喜んでいるのは、公式サポートを待ち続けていたSteam Deckユーザーかもしれない。

 

遅きに失した感があるものの公式がRDNA2/3をサポートすると明言したのは確実な進歩で、素晴らしい対応であることは間違いがない。

また、RDNA4の売り上げというより、過去の製品に対してサポートをきちんと行うことによって、RDNA4のみならず、AMD製品全体の信頼性が向上したわけで、こういった信用は地味にあとから聞いてくる。

一度出た結論を覆すというのは大きな組織に所属していた人なら難しいことはわかると思うが、その意味でも素晴らしい対応だ。

最新製品の売り上げを気にするのはNVIDIAとの市場の天秤を7:3くらいまで戻したあたりだろう。ここは苦笑するしかない。

 

比較表(OptiScalerコミュニティ実装 vs 今回の公式版・位置づけ整理)

項目非公式(OptiScaler + INT8リーク)公式FSR 4.1(今回の発表)
対象GPURDNA 2 / RDNA 3 / 一部RTX 30RDNA 3(7月)/ RDNA 2(2027年初頭)
演算方式INT8(リーク版DLLを流用)INT8(AMDが正式チューニング)
ゲームサポート600以上(OptiScalerリスト)300以上(ローンチ時点)
安定性不安定・アーティファクトあり・アンチチート非対応AMD公式最適化・検証済み
ドライバ要件旧バージョン必要な場合あり(RDNA 2)最新Adrenalinドライバで動作予定
コストRDNA 2でFSR 3比10〜20%低下(コミュニティ計測)公式未発表(最適化済みとのこと)

 

AMDのGPUコンセプトイメージ。中央プロセッサからAIアップスケーリングのエネルギー波が放射するイメージ。赤と青の光線、暗背景(参照用)

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