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0.7nmは2034年、0.2nmは2043年——IMECが公開した半導体プロセスロードマップの全貌

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SF風コンセプトアート。ナノスケールのトランジスタが垂直に積み重なる半導体チップの断面ビジュアル。

■事実

IMECとこのロードマップについて

2025年に「ロジックデバイスロードマップ」を公開し、2020年代から2040年代にかけての半導体プロセス技術の進化予測を示しました。

このロードマップが示す年号は「量産開始年」ではなく、「研究開発の完成(技術確立)の目安年」である点に注意が必要です。

IMECはベルギーに本部を置く、世界最大規模の独立系ナノエレクトロニクス研究機関です。

ムーアの法則の鈍化

微細化が鈍化した背景として、チップレット技術や2.5D/3Dパッケージングの普及が挙げられます。ただしこれらにも電力・発熱・コストの限界があります。

TSMCがSystem-on-Wafer(SoW)パッケージング技術を発表しており、CoWoSを大規模AIチップ向けに拡張しています。

1998年〜2010年まではロジック密度は年率約50%の割合でスケーリングしていました。(SRAMセル面積が毎年ほぼ半減)

2010年〜2026年はスケーリング速度はリニア(線形)成長へ減速し、飛躍的な密度向上は止まっています。

 

 

現在〜近未来:ナノシートFET時代(〜2031年)

TSMC A16/A14/A13/A12、IntelのA14(14A)など複数の2nm以下世代の技術が計画済みです。

2028年はA14(1.4nm) 2031年はA10(1.0nm)——いずれもナノシートFETで対応で、A10がナノシート時代の最終世代と予測されています。

2025年のVLSI学会で、IMECは「フォークシートFET(Outer Wall Forksheet)」をナノシートとCFETを橋渡しする中間アーキテクチャとして発表しています。

 

2025年はTSMC N2(2nm)が量産開始し、FinFETからナノシートFET(GAA:ゲート・オール・アラウンド)への世代交代をしました。

ナノシートFETはゲートがチャネルを全周囲から覆う構造で、電流漏れを抑制しながら電流制御性能を向上させています。

 

sub-1nm時代:CFET(補完型FET)の登場(2034〜2040年)

CFET時代においても、チャネル長の短縮に伴う「短チャネル効果(電流リーク)」は課題として残ります。

A2ノードでは導電チャネル長が10nm以下となるため、Si(シリコン)チャネルの厚みも10nm以下に抑える必要が生じます。

 

2034年はA7(0.7nm)——CFETを採用する最初のプロセスノードとなり、同時に「サブ1nm時代」の幕開けです。

CFETとは、ナノシートFETのn型(電子)とp型(正孔)を垂直に積み重ねた構造で、同一面積にトランジスタをより密集させられます。

CFETによってCMOSロジック回路のトランジスタ密度は最大80%向上する可能性があります。

2036年はA5(0.5nm)、2040年はA3(0.3nm)——CFETをさらに洗練させた世代です。

 

 

2D材料時代(2043〜2046年)

2043年はA2(0.2nm)——2D FET(二次元材料を使ったトランジスタ)の初登場です。

2D材料とは原子一層〜数層の極薄半導体(MoS₂やWSe₂など)のこと。極薄チャネルでの漏れ電流を本質的に抑制できる利点があります。

現状の課題はn型に最適な材料(MoS₂)とp型に最適な材料(WSe₂)が異なり、一つの材料でCMOSを構成できていません。

さらに研究の大半がラボ規模(cmサイズ)であり、300mmウェハへの産業スケールへの移行が未解決です。

2046年はsub-A2(0.2nm以下)——2D FETのさらなる発展形で、これがロードマップの終点です。

 

BEOL(配線層)のロードマップ

BEOL(Back-End-of-Line)はトランジスタをつなぐ配線層の技術を指します。

現在(2025年、N2)は銅(Cu)配線、メタルピッチ24〜26nmで、デュアルダマシン/シングルダマシンプロセスです。

2028年(A14)はメタルピッチ20〜22nmで、銅プロセスの改良で対応します。

2031年(A10)はメタルピッチ18〜20nmで、ルテニウム(Ru)配線+エアギャップ+セミダマシンプロセスへ移行開始します。

ルテニウムは銅より電子散乱が少なく、極細配線での抵抗増加を抑制できる。バリア層不要(バリアレス)のビアも実現可能です。

2034年(A7)はメタルピッチ16〜18nmで、セミダマシン(サブトラクティブ)プロセスが本格化します。

2025年のIITC学会で、IMECはルテニウムを使った16nmピッチ配線(抵抗値656Ω/µm)のデモに成功したと発表します。

2037年(A5/A3)はメタルピッチ12〜16nm。PtCoO₂(白金コバルト酸化物)などの代替材料が研究対象になります。

電力供給ロードマップ

2026〜2027年頃はIVRをPCB内部へ内蔵し、48V→12V→0.8VのDC-DC変換をより効率的に実施する構成です。

2028〜2032年頃はIVRをチップパッケージ内部に統合。2.5D MIMキャパシタやSiパワーデバイスなどの次世代技術を活用します。

現在は電圧調整回路(IVR:統合電圧レギュレータ)をマザーボードのPCB上に搭載しています。

 

解説

「0.2nm」という数値はもはや原子数個分のスケールで、トランジスタが原子と会話し始めるのはいつだろうか。

2046年のsub-0.2nmが実現する頃、それを作る人々は今まだ学校に通っている世代——半導体業界のスパンの長さが、この仕事の重さと面白さを物語っている。

このロードマップのどこかでAIがシンギュラリティを起こしているはずだが、それは半導体の微細化という物理の世界にも及ぶのだろうか?

 

ロードマップの「年号」が量産年でないことは重要な注意点——研究者向けの技術完成目標であり、実際に手元のPCに載るのは数年後と見ておくのが妥当だ。

ムーアの法則の「年率50%密度向上」が2010年を境に止まったことは、業界では公然の事実で、チップレット普及はその穴埋め策だった、という文脈で読むとスッキリする。

チップレット・3Dパッケージング戦略はあくまで「応急処置」——微細化そのものの代替にはなれないという見方が、このロードマップの前提にある。

CFETは「縦に積む」ことで面積を節約する発想で、「同じ土地に高層ビルを建てる」イメージだ。トランジスタの3D化とも言える。

2D材料(MoS₂、WSe₂)の課題は根深い——n型とp型で最適材料が違うという問題は、従来のシリコンが「両方こなせる万能選手」だったことの有り難みを痛感させる。

2034年のA7(サブ1nm)まで実に9年で、2043年のA2まで18年。半導体ロードマップの時間軸がいかに長期戦かを再認識させる数字だ。

BEOLの銅→ルテニウム移行は「配線の抵抗問題」が深刻になってきたことの証拠で、トランジスタだけ微細化しても、配線が追いつかなければ性能向上にならない。

ルテニウムは白金族の希少金属——コスト面での課題は今後の議論になるが、現状の代替案の中では最有力候補だ。

電力供給のIVR内蔵化は地味だが重要。電圧変換ロスの削減はデータセンター・AI計算機の省エネに直結する。

 

ロードマップ総括表

年代ノードトランジスタ構造BEOLメタルピッチ主な新技術
2025N2(2nm)ナノシートFET(GAA)24〜26nm(Cu)GAAへの世代交代
2028A14(1.4nm)改良ナノシートFET20〜22nm(Cu)
2031A10(1.0nm)ナノシートFET(最終世代)18〜20nm(Ru)Ru配線・エアギャップ・セミダマシン開始
2034A7(0.7nm)CFET(初登場)16〜18nm(Ru)サブ1nm時代突入・CFET本格採用
2036A5(0.5nm)改良CFET12〜16nm
2040A3(0.3nm)改良CFET12〜16nm
2043A2(0.2nm)2D FET(初登場)未定2D材料(MoS₂/WSe₂)導入
2046<A2(0.2nm以下)2D FET(発展型)未定ロードマップの最終地点

ソース:https://eu.36kr.com/en/p/3780133515039747

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