CPU情報

N1X搭載マザーボードがGoofish(中国版メルカリ)に出品される

投稿日:

中央に大型SoCパッケージを配置し、周囲に8枚のメモリチップが並ぶNVIDIAのエンジニアリングサンプル基板

■事実

エンジニアリングサンプル基板がGoofish(中国版メルカリ)に出品

中国の中古品売買プラットフォーム「Goofish」に、NVIDIAのN1 SoCを搭載したエンジニアリングサンプル基板が出品・撮影されました。

出品価格は9,999人民元(約20万円)で、Goofish上の取引では出発点の価格設定であり、実際の交渉次第で大幅に下がるのが通例です。

出品リストはすでに非アクティブとなっており、実機が正常に動作するかどうかの検証は不明の状態です。

出品者はノートPC向けの設計としながらも、「コンパクトタブレットにも適したサイズ感」と説明しています。

基板のハードウェア構成

基板中央に大型のNVIDIAパッケージ(N1 SoC本体)が配置され、その周囲にメモリチップ8枚が並んでいるのか確認できます。

メモリはSK hynix製「H58G78CK8B」LPDDR5Xで、動作速度は8,533 MT/s(8,533 Mbps)、合計128 GBです。

M.2 2240スロットを2基搭載し、Wi-Fiは基板に統合済みです。

冷却機構用と思われる大型の切り抜き(ブロワーファン用スペース)が確認できます。

VRM(電源回路)は8+6+2フェーズ構成です。

外部インターフェースはHDMI、USB Type-C、USB Type-A、3.5mmオーディオジャックであることが確認できます。

N1 SoCの正体:DGX SparkのGB10と同等シリコン

NVIDIAは後にN1 SoCがDGX Spark(旧称:Project DIGITS)に搭載されるGB10「Grace Blackwell」Superchipと同一シリコンであることを確認しています

N1はラップトップ向け、N1Xはより高性能なモデル(デスクトップ/ハイエンドノート向け)として位置づけられています。

NVIDIAのジェンスン・ファン(Jensen Huang)CEOは2025年1月の時点で、N1がMediaTekとの共同開発によるAI PC向け低消費電力高性能SoCであることを公式に認めました。

スペック(リーク・未確定情報)

N1XはArm CPUコア20基(Cortex-X925高性能コア×10 + Cortex-A725効率コア×10)、Blackwellアーキテクチャ製統合GPU 6,144 CUDAコアとなります。

AI処理性能は180〜200 TOPSと推定されています。

ただし、CPUコア数については「8〜12コアになる可能性がある」とComputerBase(独)が報告しており、最終スペックは未確定となっています。

6,144 CUDAコアはデスクトップ向けRTX 5070と同数です。

製造プロセスはTSMC 3nm(N3)です。

メモリはLPDDR5Xを統合メモリとして共有し、CPU・GPU間でプールを動的共有する方式です。

Geekbench 6のリークスコア(エンジニアリングサンプル)はシングルコア約3,096、マルチコア約18,837です。

項目N1X(リーク情報)比較対象
CPUコア最大20コア(X925×10 + A725×10)AMD Strix Halo:16コア
統合GPU6,144 CUDAコア(Blackwell)AMD Radeon 890M(RDNA 3.5):40 CU(2,560SP)
製造プロセスTSMC 3nmAMD Strix Halo:TSMC 4nm
メモリLPDDR5X 最大128 GB(統合)AMD Strix Halo:最大128 GB LPDDR5X
AI性能180〜200 TOPS(GPU推定)・NPU性能は不明50TOPS+(NPU)
Geekbench 6 マルチ約18,837(リーク)18,710(参考)

※表中の数値はリーク・推定値。未確定部分があります。

発表・発売スケジュール

Dell・Lenovoが採用予定として浮上しており、LenovoはLegion 7(N1X搭載モデル「Legion 7 15N1X11」)のサポートドキュメントがリーク済みです。

販売価格帯は$1,500〜$2,000以上のプレミアム帯になると予想されています。

次世代モデル(N2 / N2X)は2027年の登場が見込まれています。

Computex 2025(2025年5月)での発表を目指していましたが、シリコン設計上の問題により延期となりました。

その後CES 2026(2026年1月)での発表も見送られました。

現在の有力情報ではComputex 2026(2026年6月2〜5日)前後に正式発表となるのではないかとされ、NVIDIAは会場(台北国際コンベンションセンター)を6月1〜4日で予約済みとの報道があります。

Windows on Armとの関係

Microsoftは2025年12月にPrismの更新をWindows 11 24H2以降に広く展開済みです。

さらにWindows 11 26H1(コードネーム:Bromine)の大型アップデートがN1X対応を含む形で準備中との報告があります。

MicrosoftはXbox PC AppのWindows on Arm対応も発表済みで、Prismが対応ゲームの約85%をサポートすると告知しています。

N1はWindows on Arm(WoA)プラットフォーム向けであり、MicrosoftのCopilot+機能に対応予定です。

従来のx86ソフトウェアはMicrosoftの「Prism」エミュレーション層を通じて実行されます。

PrismはこれまでQualcommのSnapdragon X向けに最適化されてきた経緯があり、N1向けの最適化対応がリリースの前提条件となっています。

解説

「本物のシリコン」が外に出た意味

エンジニアリングサンプル基板が中国の中古品市場に流出した事実は、開発が机上の話ではなく実物ハードウェア段階に入っていることの証拠だろう。

価格設定の9,999人民元は「売れなければ困る」金額ではなく交渉のスタートラインでGoofishの慣習として実際の売買はずっと安くなることが多い。

「動くかどうかわからない」のに20万円の初値をつけるあたり、シリコン好きのコレクター心理をうまく刺激しており、動かなくても欲しい人は一定数存在する。

今回の話を見て興味をそそられた方もいるのではないだろうか?

GB10との同一シリコンが示す「AI PCの原価」

DGX Sparkは本体価格が約3,000ドル。そのGB10と同等のシリコンがノートPCに搭載されるというのは、製品カテゴリの境界線が崩れていることを意味する。

ただし同一シリコンでも、ノートPC用は消費電力・冷却の制約があり、GB10の全性能が出るわけではない点は注意が必要だ。

AI向けハードウェアとコンシューマー向けハードウェアの統合という方向性は、NVIDIAがGPU単品売りから「プラットフォーム」への転換を図っている流れと一致する。

QualcommとAppleへの挑戦

Appleとの比較ではGeekbenchのマルチコアスコアがリーク値でApple M4 Max(約21,000超)を下回るが、GPU性能は統合GPUとしては圧倒的な可能性がある。

Qualcommのx86エミュレーション向け最適化(Prism)をNVIDIAが後追いする形になるが、Microsoftがその壁を取り除いてきた。

QualcommはこれまでWindows on ArmのGPU性能が弱いという弱点を抱えてきたが、N1はそこに6,144CUDAコアという強烈な答えを持ち込むことになる。

スケジュール遅延の経緯

Computex 2025 → CES 2026 → Q1 2026 → Computex 2026と、発表時期が何度もずれてきた。

遅延の主な原因はシリコン設計レベルの問題と、WindowsのARM対応エミュレーション層の準備という2つで、どちらも「言い訳にできる」ものではあるが、後者はMicrosoftの都合なのでNVIDIAにはどうにもできない部分がある。

Computex 2026での発表は、ジェンスン・ファンがすでに会場を6月1〜4日で押さえているという報道があり、例年の基調講演パターンからも整合性が高い。

「Computex 2025で発表します」→「じゃあCESで」→「Q1で」→「6月のComputexで!」という軌跡を見ると、そろそろ本当に出すというシグナルかもしれないが、オオカミ少年的な状況で、今回は基板が外に出てきた。そろそろオオカミ少年を卒業する頃だろうか?(苦笑

ゲーミング用途の課題

x86ゲームのARMエミュレーション(Prism)でどこまで性能が出るかは未知数で、QualcommのSnapdragon X Eliteでも「プレイはできるが快適とは言えない」ゲームは存在した

NVIDIAが誇るDLSS(ディープラーニング超解像)やフレーム生成技術が統合GPU上でどこまで機能するかも未確認だ。

MicrosoftがXbox PC AppのWoA対応を発表し、「対応ゲームの85%がPrismで動く」と述べている点は前向きな材料である。

Armのゲーミングノートという夢物語が、ついに基板の実物で語られるようになった。あとは動くかどうかだが、Snapdragon X2シリーズの動作状況を見ると積極的に選ばれるような状態ではない。

筆者はN1/N1Xがゲーミングノートとして歓迎されるより、持ち運びができるAIワークステーションとして使われることになるのではないかと考えている。

128GBのメモリ空間にアクセスでき、さらにCUDAエコシステムの恩恵を受けられるモバイルAI PCというのは前例がなく、それなりに需要があるように思う。

DGX Sparkが3000ドルでN1X搭載ノートが1500-2000ドルといわれており、排熱や用途の違いから多少の性能差はあるだろうが、同じチップを搭載してこれだけ価格差があるものをどのように正当化するのかというのも焦点の一つだろう。

-CPU情報
-

Copyright© 自作ユーザーが解説するゲーミングPCガイド , 2026 All Rights Reserved.