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主要LinuxゲーミングディストリビューションがOpen Gaming Collectiveを設立

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複数のLinuxゲーミングディストリビューションのロゴ(Bazzite、Universal Blue、ASUS Linux、PikaOS)が光る青い回路線で相互接続され、連携ネットワークを形成している様子

Bazziteの開発チームは、複数のLinuxゲーミングプロジェクトが共同でメンテナンスを行うOpen Gaming Collective(OGC)の設立を発表した(https://opengamingcollective.org/#about、https://universal-blue.discourse.group/t/a-brighter-future-for-bazzite/11575)。

同コレクティブには、Universal BlueとBazziteが創設メンバーとして参加している。

さらに、ASUS Linux、ShadowBlip、PikaOS、Fyra Labsが戦略的パートナーおよびコア・コントリビューターとして名を連ねている。

OGCは、一部のリポジトリをアーカイブまたはサンセット扱いとし、他のLinuxゲーミングプロジェクトとの共同メンテナンスへと移行する方針を示している。

同プロジェクトは、各ディストリビューションが共通の基盤部分で重複作業を繰り返すのではなく、共同で問題を解決することを目指している。

これにより、各プロジェクトは独自機能やユーザー体験の向上に集中できるようになる。

開発者たちは、各プロジェクトを特別なものにする部分に注力し、共有される基盤部分は集団でメンテナンスする体制を構築する。

■OGCカーネルプロジェクトとGamescope強化

OGCの取り組みは、Linuxゲーミングスタックにおける共有「配管」作業に焦点を当てている。

現時点での具体例として、OGCカーネルプロジェクトと、ハードウェアサポート拡張を目指すGamescopeのダウンストリームフォークが挙げられている。

OGCは「アップストリームファースト」ポリシーを採用しており、コードは長期的なフォークやパッチセットとして存在するのではなく、オリジナルのアップストリームプロジェクトに統合されることを目指している。

OGCは、メンバー全員が使用することに合意した共有コンポーネントをホストする。

このアプローチは「アップストリームファースト」哲学に基づいている。

OGCが想定しているプロジェクトには、ゲーミングに特化した共有カーネルであるOGCカーネルが含まれる。

さらに、より多くのデバイスへのハードウェアサポートを拡張するGamescopeのダウンストリームフォークも含まれる。

Gamescopeは、ValveがSteam Deck向けに開発したWaylandマイクロコンポジターで、Linuxゲーミング環境において重要な役割を果たしている。

同ツールは、解像度スケーリング、フレームレート制限、HDRサポート、入力遅延の削減などの機能を提供する。

Gamescopeは、ゲームと表示サーバーの間に位置し、ゲーム専用の最適化された環境を構築する。

AMD FidelityFX Super Resolution(FSR)やNVIDIA Image Scaling(NIS)などのアップスケーリング技術も統合されている。

現在、多くのLinuxゲーミングディストリビューションがGamescopeを採用しており、BazziteやChimeraOSなどのコンソールライクな体験を提供するプロジェクトでは中核技術となっている。

OGCによるGamescopeのダウンストリームフォーク開発は、より広範なハードウェアサポートの実現を目指すものである。

これにより、新興のゲーミングハンドヘルドデバイスや、従来サポートされていなかったコントローラー類への対応が進むことが期待される。

■BazziteにおけるInputPlumber採用とHHD廃止

Bazziteは、HHD(Handheld Daemon)のアップデート受信を停止し、InputPlumberへと段階的に移行する方針を発表した。

InputPlumberは、SteamOSおよび複数のハンドヘルド向けLinuxビルドで使用されているのと同じ入力フレームワークである。

Bazziteが公表した変更内容には、RGB制御やファン制御がSteam UIに統合されること(サポートされている場合)、さらにSteam UIでカバーされない機能用の独立したオーバーレイが含まれる。

古いライブラリを長期間インストールしたままにする必要があるケースに対応するため、Bazziteのロールバックおよびピン機能を使用する。

OGCカーネルを採用し、セキュアブート、拡張コントローラーサポート、ステアリングホイールサポートなどの例が示されている。

ValveパッケージへのパッチをOGCと共有し、可能な限りアップストリームへ統合する試みを行う。

InputPlumberは、Linuxの入力デバイスを組み合わせて仮想入力デバイスを作成するオープンソースのユーティリティである。

同ツールは、ゲームパッド、マウス、キーボードなど複数の入力デバイスを統合し、さまざまな仮想デバイスフォーマットに変換する機能を提供する。

InputPlumberは、Rustで記述された入力ルーティングおよびリマッピングデーモンとして動作する。

同ツールは、GPLバージョン3.0以降でライセンスされており、既にSteamOSの一部として出荷されている。

InputPlumberは、D-Busシステムサービスを介して動作し、複雑なコンポジットデバイス設定をサポートする。

2025年12月には、InputPlumber 0.70がリリースされ、OneXPlayer X1シリーズやAnbernic Win600の改良サポート、OrangePi NEOのタッチパッド改善などが含まれている。

2025年1月には、セキュリティ研究者によってInputPlumberのD-Bus認証に関する脆弱性(CVE-2025-66005、CVE-2025-14338)が発見されたが、バージョン0.69.0で対処されている。

ValveもSteamOSバージョン3.7.20で修正版を公開している。

■Faugus Launcherのテスト開始

Bazziteチームは、テスティングブランチにおいてLutrisの代替として、Faugus Launcherのテストを開始している。

公式発表によれば、Lutrisの削除には少なくとも6ヶ月の通知期間が設けられる。

Faugus Launcherは、Lutrisに代わる新しいゲームランチャーとして検討されている。

同ツールは、Steam以外のゲームストア(Epic Games Store、GOG、itch.ioなど)からのゲーム管理を容易にすることを目指している。

現時点では、Bazziteのテスティングブランチでのみ利用可能であり、安定版への統合には時間がかかる見込みである。

■Linuxゲーミング市場の成長とアトミックディストリビューションの台頭

Linuxゲーミング市場は、近年急速な成長を遂げている。

2024年12月時点で、SteamプラットフォームにおけるLinuxのマーケットシェアは2.29%に達しており、主流ゲーマーの間での受容が進んでいる。

2025年末には、Linuxユーザーのシェアが3.19%まで上昇したとの報告もある。

この成長の背景には、ValveのProtonプロジェクトによるWindowsゲームの互換性向上がある。

Protonは、Wineをベースとした互換レイヤーで、Windowsゲームを修正なしでLinux上で実行可能にする。

さらに、NVIDIA、AMD、Intelによる優れたLinuxドライバーサポートも、ゲーミング体験の向上に寄与している。

Vulkan APIの普及により、グラフィックス性能も大幅に改善されている。

Linuxゲーミングディストリビューションの多くは、低遅延カーネル、最適化されたCPUスケジューリング、ゲーム専用のI/Oスケジューラーなどの機能を提供している。

代表的なカスタムカーネルには、Zen Kernel、Liquorix Kernel、XanMod Kernelなどがある。

これらのカーネルは、応答性を優先し、ゲームにおけるフレーム時間のばらつきを削減する設計となっている。

OGCの参加メンバーの多くは、Universal Blueプロジェクトに関連している。

Universal Blueは、Fedora Atomicデスクトップをベースにしたコミュニティプロジェクトで、イミュータブル(不変)なオペレーティングシステムを提供する。

イミュータブルOSでは、コアシステムファイルが読み取り専用として扱われ、アップデートは単一のトランザクションとして適用される。

問題が発生した場合、以前の状態に簡単にロールバックできる。

この仕組みにより、システムの安定性が大幅に向上する。

Universal Blueは、Fedora Atomicに追加のハードウェアサポート、コーデック、最適化を加えたベースイメージを提供している。

ユーザーは、異なるUniversal Blueベースのディストリビューション間を、再インストールなしで切り替えることができる。

例えば、BazziteからAurora、BluefinへのリベースがOSTreeの仕組みを使って可能である。

■OGCの技術的基盤とコミュニティ協力モデル

OGCの技術的アプローチは、クラウドネイティブなDevOps手法をデスクトップLinuxに適用したものである。

システム管理は、従来のパッケージマネージャーではなく、OCIコンテナイメージとOSTreeを使用する。

OSTreeは、ブート可能でバージョン管理されたファイルシステムツリーを管理するツールである。

各アップデートは新しいツリーとして扱われ、並列インストールや簡単なロールバックが可能になる。

OGCの「Shared Technical Pillars(共有技術基盤)」コンセプトは、Linuxゲーミングスタックの基盤レイヤーに焦点を当てている。

これには、カーネル最適化、入力システム、コンポジター、ドライバーサポートなどが含まれる。

各ディストリビューションは、これらの共有コンポーネントの上に、独自のユーザー体験や機能を構築する。

この階層化されたアプローチにより、重複作業を削減しながら、各プロジェクトの個性を維持できる。

OGCのコミュニティ協力モデルは、オープンソースソフトウェア開発のベストプラクティスを体現している。

透明性の高い開発プロセス、共同でのコードレビュー、コミュニティからのフィードバック統合などが含まれる。

Discourseフォーラムやマトリックスチャットを通じて、開発者とユーザー間のコミュニケーションが活発に行われている。

OGCは、専門知識を最も必要とされる場所に集中させることを重視している。

これにより、貢献者は自分のオペレーティングシステムではなく、実際の作業に集中できる。

解説

正直、この動きはLinuxゲーミングエコシステムにとってかなり重要な転換点だと思います。

これまでLinuxゲーミングディストリビューションは、各プロジェクトが独自にカーネル最適化や入力システム、ハードウェアサポートを実装してきました。

BazziteはUniversal Blueベースでカスタムカーネルを提供し、ChimeraOSは独自のSteam専用環境を構築し、NobaraはFedoraベースで独自の最適化を施していました。

これって、ぶっちゃけ車輪の再発明が多すぎたんですよね。

例えば、新しいゲーミングハンドヘルドが出るたびに、各ディストリビューションが個別に対応しなければならなかったわけです。

ASUS ROG Allyが出れば各プロジェクトが独自にドライバーとコントローラー設定を追加し、Lenovo Legion Goが出ればまた同じことを繰り返す。

OGCの設立で、この非効率性がかなり解消されるんじゃないでしょうか。

共有カーネルと共有入力フレームワークがあれば、新しいハードウェアへの対応は一度で済みます。

各プロジェクトは、それぞれの強み――例えばBazziteのコンソールライク体験や、NobaraのFedoraベースの安定性――に集中できるようになります。

個人的に注目しているのは、InputPlumberへの移行ですね。

HHDからInputPlumberへの切り替えは、単なる技術スタック変更ではなく、SteamOSとの互換性向上を意味しています。

ValveがSteam DeckでInputPlumberを採用している以上、同じフレームワークを使えば、Steam Deckで動作するゲーム設定やコントローラーマッピングが、そのまま他のハンドヘルドやデスクトップLinuxでも動くようになります。

これ、ユーザー体験としてはめちゃくちゃ大きいですよ。

Gamescopeのダウンストリームフォークも、実用性が高いと見ています。

現状、Gamescopeはかなりパワフルなツールですが、ハンドヘルドデバイスごとの細かい最適化は各ディストリビューションが独自に行っていました。

OGCが統一されたGamescopeフォークを維持すれば、デバイス固有の最適化を全プロジェクトで共有できます。

要するに、「Linuxゲーミング業界全体がチームプレイを始めた」ってことですね。

オープンソースの強みは、協力して開発できることですが、これまでLinuxゲーミング分野はちょっと分断されすぎていました。

OGCの「アップストリームファースト」ポリシーも理にかなっています。

変更を可能な限りオリジナルプロジェクトに統合することで、長期的なメンテナンス負担を減らせます。

永遠にフォークをメンテナンスし続けるのは、小規模なコミュニティプロジェクトには負担が大きすぎますから。

ただし、課題もあります。

複数のプロジェクトが共同でメンテナンスを行う場合、意思決定プロセスが複雑になる可能性があります。

各プロジェクトの優先事項が異なる場合、どの機能を先に実装するか、どのバグを優先的に修正するかで意見が分かれるかもしれません。

また、OGCが大きくなりすぎると、かえって身動きが取りにくくなるリスクもあります。

小規模で機動力のあるプロジェクトが、大きなコレクティブの官僚的なプロセスに巻き込まれる可能性も否定できません。

とはいえ、現時点での参加メンバーを見る限り、かなり現実的なラインナップだと思います。

Universal Blue、Bazzite、ASUS Linux、ShadowBlip、PikaOS、Fyra Labsは、いずれもLinuxゲーミングコミュニティで実績のあるプロジェクトです。

特に、ShadowBlipはInputPlumberの開発元ですから、入力システム周りの統合はスムーズに進むでしょう。

さて、読者の方から指摘を受けた収益モデルについても考察しておきたいと思います。

確かに、携帯ゲーミングPCでは「組み込みLinuxの勝ちパターン」に入りつつあります。

Androidがプレイストア収益で開発資金を確保しているように、特定用途向けLinuxには旗振り役と資金源が不可欠です。

ただ、調べてみて分かったのは、OGCの資金構造は思ったよりシンプルで、同時に脆弱だということです。

現状、Linuxゲーミングエコシステムの資金循環は、ほぼValve一社に依存しています。

Valveは2024年9月にArch Linuxとの直接協力を発表し、ビルドサービスインフラとセキュア署名エンクレーブの開発に資金提供しています。

2016年以降、ValveはARMプロセッサでWindowsゲームを動作させるためのオープンソース技術(Fexエミュレーター等)にも資金を投じてきました。

KDE Plasmaの改善、Proton、DXVK、VKD3D-Proton、Gamescopeなど、ValveがLinuxエコシステムに投資してきた範囲は広大です。

Steam販売収益→Linux開発投資→Steam Deck成功→さらなる収益という好循環が機能しています。

Valveは「すべてをアップストリーム化する」ポリシーを掲げており、SteamOS開発で得られた改善をLinuxコミュニティ全体に還元しています。

一方、OGC自体の資金構造は、まだ明確ではありません。

ASUS LinuxやPikaOSなどの参加プロジェクトが、ハードウェアメーカーから直接資金提供を受けている証拠は見つかりませんでした。

ASUS Linuxは、実はASUSハードウェア向けのコミュニティ主導プロジェクトであり、ASUS社からの公式スポンサーシップは明示されていません。

プロジェクトのウェブサイトには「ASUS製品への言及はASUSによる推奨を意味しない」とまで書かれています。

Bazziteなどのプロジェクトは個人寄付を受け付けていますが、大規模な企業資金の流入は報告されていません。

現時点では、大部分がボランティア開発と個人寄付に依存しているようです。

これは、持続可能性の観点から懸念材料ですね。

ボランティアベースのプロジェクトは、開発者の燃え尽きリスクが常につきまといます。

OGCが本当に「次世代のLinuxゲーミング標準」になるには、明確な資金源の確立が必要でしょう。

とはいえ、間接的なエコシステム効果は既に生まれています。

ASUS ROG Ally XをBazziteで動作させると、Windows 11と比較してパフォーマンスが大幅に向上するとの報告があります。

Kingdom Come Deliverance 2では、フレームレートが32%向上し、安定性も改善されたとの分析があります。

このようなパフォーマンス改善は、ハードウェアメーカーにとって強力な販売促進材料になるはずです。

理想的なシナリオは、ハードウェアメーカーがOGCに直接資金提供する仕組みです。

ASUS、Lenovo、GPDなどのメーカーは、Linuxサポートの充実により製品の魅力が向上し、販売促進につながります。

自分たちの製品を差別化してくれるOGCに資金を投じるのは、ビジネス的に理にかなっています。

もう一つの可能性は、Valveが「Linuxゲーミング財団」のような形でOGCを支援することです。

Valveは既にArch LinuxやKDE Plasmaに資金提供しており、OGCへの支援も自然な流れかもしれません。

ただし、Valve一社依存が続くと、Valveの方針変更でエコシステム全体が揺らぐリスクがあります。

長期的には、複数のハードウェアメーカーとソフトウェア企業が資金をプールする「コンソーシアム型」が望ましいでしょう。

これはLinux Foundationのような既存モデルに近いです。

企業がOGCに年会費を支払い、その資金でフルタイム開発者を雇用する仕組みです。

そうなれば、OGCは真の意味で「業界標準プラットフォーム」になれるでしょう。

とはいえ、現時点ではまだ「志のあるコミュニティプロジェクトの集まり」という段階です。

OGCは「コミュニティ主導の協力体制」であり、「企業連合による資金プール」ではありません。

これから資金モデルが確立されるかどうかが、OGCの成否を左右すると思います。

個人的には、ハードウェアメーカーがこの機会を逃さず、積極的に投資してほしいですね。

長期的には、携帯ゲーミングPC分野において、Androidのようなエコシステムが形成される可能性もあります。

Androidは、Googleのプレイストアという収益源から開発資金を得ています。

Linuxゲーミングエコシステムでは、Steamストアの売上がValveの投資原資となり、結果的にLinux全体の改善につながる循環が生まれています。

OGCがAndroidのように明確な収益モデルを確立するには、さらなる時間と参加企業の増加が必要です。

今後、ハードウェアメーカーがOGCへの直接的な資金提供を行うかどうかは、プロジェクトの成功次第でしょう。

長期的な視点では、OGCがLinuxゲーミング環境の「標準プラットフォーム」になる可能性もあります。

今後、新しいゲーミングディストリビューションを作りたい開発者は、ゼロから始めるのではなく、OGCの共有コンポーネントをベースにするかもしれません。

そうなれば、Linuxゲーミング全体のクオリティが底上げされます。

Windows一強だったPCゲーミング市場に、Linuxが本格的に食い込むための基盤が整いつつあるってことですね。

Steam Deckの成功で証明されたように、Linuxはゲーミングプラットフォームとして十分に機能します。

OGCの取り組みが成功すれば、「Linuxでゲームをする」ハードルがさらに下がるでしょう。

個人的には、この動きを全力で応援したいですね。

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