Intelは、パット・ゲルシンガー氏の後任として、TSMCの前CEOマーク・リュー氏と接触したと噂されており、チーム・ブルーの次期CEOが誰になるかという話題で盛り上がっている。
Intelは現在、ゲルシンガー氏の後任として可能性のある人物を探しており、おそらくトップレベルの経営幹部を狙っている。
さて、Intelの前CEO、パット・ゲルシンガー氏は昨日、チーム・ブルーが最悪の財務状況を経験し、主要部門が大きな業績不振に陥っていた時期に、同社を去る決断をしたと発表した。
それだけでなく、ゲルシンガー氏がIntelファウンドリーのパイオニアの一人であったことを考えると、同部門の将来をめぐる不確実性はかつてないほど高まり始めている。さらに重要なことは、市場がゲルシンガー氏の後任を待ち望んでいることだ。
DigiTimesは、IntelがTSMCの前CEOであるマーク・リューに、将来TSMCを率いるよう接触したようだと報じている。
マークはすでにTSMCを退職しており、彼の退職合意には他の企業、特に宿敵となるような企業に入社する選択肢は間違いなくないだろうという事実を考慮すると、これは今のところ 「荒唐無稽な噂 」であることに注意する必要がある。
Intelは現在、2人の暫定共同CEOを発表している: デビッド・ジンスナー(David Zinsner)氏とミシェル(MJ)・ジョンストン・ホルタス(Michelle Johnston Holthaus)氏である。
次期CEOの後任はまだ明らかにされていないが、名前が挙がっているのは確かで、そのうちの1人はマーク・リューだ。
勝手な推測をすれば、Intelはおそらく製品市場の立て直しができる人物を必要としており、そのような大幅な交代に対応できる経験をすでに積んでいる人物が必要なのかもしれない。
後継者候補としては、以前IntelのdGPUの野望を担っていたラジャ・コドゥリや、AMD幹部を引退したビクター・ペンが挙げられている。
これらの名前は今のところ推測に過ぎないが、チーム・ブルーは組織を再編成できるCEOを切実に必要としており、それも深く根を張ることによってである。
ファウンドリー部門が混乱しているだけでなく、製造部門や製品部門も業績不振の犠牲になっており、そのためIntelは資産売却を検討する状態になっている。
Intelのパット・ゲルシンガー氏の退社は、IFSに明るい未来がないことを明確に示している。
売却の可能性はあるが、それはまったく予想外のことではない。Intelが健全な将来を望むのであれば、同社は厳しい決断を下す必要があるだろう。
解説:
ゲルシンガーCEOの退任と後継者レース
名前が挙がっているのがいずれも外部の人材といいうのは驚きです。
今回の話はIntelにとって後ろ向きな話にも関わらず珍しく国内のメディアが報じています。
書き方はあまり危機的ではありませんが。
後任の名前にTSMCやAMDの要職についていた人材が上がっていて、Intel生え抜きの人材ではないのはIntelという企業がすでに今の時代には合わなくなってきている証拠のように思います。
「Glorious Intel」時代の終わり
この決定はIntelという名前が栄光に満ちて語られる時代の終焉の意味していると思います。
Intelの失敗は大きなものは2つです。
1.2018年にOpenAIの株式を特別な条件で取得する機会があったがしなかったこと
2.FabのEUV化に遅れたこと
この2点がまさに致命傷となっています。
分かりやすいので2から先に語ります。
日本の商業メディアの記事では、あたかもEUV化の立ち上げに成功すればうまくいくようなイメージで語られていますが、FabのEUV化に成功したとしても高コストのEUV Fabには外部の委託生産が必須であり、それは即ち、世界一のFabとなったTSMCと品質やコスト、生産に応える設備投資で戦っていかなくてはならないということです。
この点に触れないとこれからのIntelの道のりがいかに困難であるのかが理解できないでしょう。
AMDやTSMCの元CEOや役員に白羽の矢が立っているのはこうした理由があるのだと思います。
実際問題、Intel3は自社で製造可能にもかかわらずXeonの製造にしか用いられず、一般向けのCPUはTSMCで製造されています。
理由は言わずもがな、コスト的な問題でしょう。
Intelのそれまでの勝ちパターンは世界一進んだ技術で自社の製品を製造し、競合他社の製品を駆逐するというものでしたので、他社の製品を製造しないとペイしないEUV化をしてしまえば勝ちパターンが崩れてしまいます。
よってEUV化に二の足を踏んだのは理解できますが、ここが大きな判断ミスだったのでしょう。
1に関してはイコールAIに舵を切るのが遅かったということです。
2018年といえば、RTX2080Tiが発売された年であり、NVIDIAがAI技術をゲーム用に大々的に売り出した年です。
しかし、ここでIntelはのちにChatGPTで世間の話題をさらうOpenAIを過少評価し、AIの山師の技術と断じて道を閉ざしてしまいます。
2017年にはAMDのRadeonチームのトップ、ラジャ・コドゥリ氏を引き抜いているのですが、この辺りがオーバーラップしているのが面白いです。
一方でGPU事業を立ち上げながら、やはりOpenAIは魅力的に映らなかったのですかねえ。
自社だけで十分に市場を席捲できると踏んでいたのでしょうか。
Intelはとても優秀で巨大な企業だと思います。
しかし、それだけに一社で何もかも賄えるという驕りがあったのではないでしょうか。
AIにしてもFabにしても一旦他社の後塵を拝してしまえば厳しい道が待っていると思います。
私にはそこまでの判断はできませんが元記事を見るとintleはすでに資産を売却しないと継続できないところまで追いつめられているようです。