世代を超えた改良を見れば、インテルがGPUアーキテクチャ、特にMeteor Lake Arcグラフィックスの改良にどれだけ力を入れていたかがわかる。
インテルのMeteor Lakeの発表で見られた改良の中には、統合グラフィックスのパワーと効率の飛躍的な向上がある。
最新のインテルCPUに内蔵されたArcグラフィックスは、競合するAMDのRadeon 780M iGPUよりも優れた性能を発揮することができ、これは統合グラフィックスでインテルがAMDを打ち負かした初めてのケースかもしれない。
では、インテルのMeteor Lake統合グラフィックは、過去の世代と比べてどの程度改善されているのだろうか?
Phoronixはこの疑問に対する答えを探し出し、それぞれ異なる世代の5つのインテル・ラップトップCPUのiGPUベンチマークという形で発表した。
すべてのテストは、過去のiGPUテストや発売時のMeteor Lake Linux CPUテストと同様、Linuxで実施された。
ここで議論されているGPUテストは、その前の370 CPUベンチマークの実行ほど徹底的ではないが、それでも2018年後半から2023年後半までのIntel iGPU進化の明確な絵を描くのに十分なバリエーションがある。
1つはテスト中の各CPUの消費電力、もう1つは各CPUの全テスト結果を合計した幾何平均です。
その後、使用した特定のゲームと合成ベンチマークについて説明します。
必要であれば、オリジナルのソースで完全な結果を入手できます。
まず、主なベンチマークの結果は、インテルが世代交代を果たしたことを如実に示している。
これは、インテルにとってここしばらくで最大のiGPUの飛躍であり、ゲームと主な3Dベンチマークのテスト結果を組み合わせることで、その違いを明確に描き出すことができる。
全体として、Core Ultra 7 155HのArcグラフィックスは、平均してCore i7 1280Pよりも33%高速だ。旧型のCore i7 8565Uと比較すると、5倍以上だ。
Legacy』、『Tesseract』、『Unvanquished』、『Warsow』などだ。
一方、3DMark Wild Life ExtremeやGravityMarkなどの合成ベンチマークも使用された。
UnigineのHeaven、Valley、Superpositionベンチマークの3つもすべて上記の結果に含まれている。
テスト中に消費電力をモニタリングしたところ、フル稼働時でもインテルの最新世代は前世代の約半分の平均消費電力で動作していることもわかった。
これらは電力効率における印象的な向上であり、例えば......のためのスペースを作り始める可能性さえある。
エントリーレベルのハンドヘルド機にインテル製iGPUを搭載する余地が生まれるかもしれない。
平均24ワットでのこのような電力効率は、いずれにせよ、一般的な低消費電力デバイスにとって良い兆候だ。
詳細については、Phoronixのテスト結果一覧をご覧ください。
解説:
AMD Radeon 780Mをついに超え、同世代のAMD iGPUを初めて超えたといわれているMeteor LakeのiGPUです。
第12世代は突貫工事で作られたので、消費電力がかなり高いですが、この約半分の消費電力で、第11世代と同じ消費電力となっています。
にもかかわらず第12世代の約33%高速です。
非常に素晴らしい結果です。
ただし、同世代のAMD iGPUを初めて超えたという表現については、これからStrix pointが出ますので、同世代はそちらになるのではないかなあと思います。
対Strix pointに関してはメモリの帯域で頭打ちにならない限りはStrix Pointのほうが確実に優れていると思います。
Phoenixは768SP、1536演算器に対して、Strix Pointは1024SP、2048演算器なのでさすがにPhoenixよりは高速でしょう。
内臓GPUはどんなに性能を上げても最後はメモリの帯域で頭打ちになりますから、そうならない限りはまたAMDがリードすると思います。
しかし、IntelがDDR5メモリの帯域ギリギリまで性能を上げたらどちらも同じ性能ということになると思います。
AMDは今AI/MLアクセラレーターであるMI300A/Xを作るのに夢中になっています。
Strix Haloも1年遅れるということですし、ひょっとしたらIntelに抜かされるという事態になる可能性はあると思います。
CPUのみに力を入れる時代は終わる
MeteorLakeを見てもわかる通り、もうCPUだけが進化していく時代は終わりだと思います。
今は性能=AI/ML性能というようなところがあって、各社ともシリコンをAI/ML性能を向上させることに費やしています。
当面はこの傾向が顕著になっていてくでしょう。
MeteorLakeはCPU性能がパッとしません。
CPU性能がイコール性能という物差ししか持ってない古いパラダイムに生きている人たちにとってはMeteorLakeはパッとしないCPUのままなのでしょう。
MetorLakeからIntelのプロセッサはわかりやすく言うと超小型のGrace Hopperを志向するSoCになったということができると思います。
別にここでIntelの歴史を紐解いて礼賛するつもりはありません。
向上した性能を使ってどのような方向に向かうのかのゴールが明示されていないため、具体的にわからないからです。
nVIDIAのTuringが出たとき、われわれがPascalと比較するとパッとしないGPUだと感じたように、現時点では正しく評価することはできないでしょう。
ただし、AI/ML性能がPCの世界にどのようなメリットをもたらすのかが一般化したときに、「確かにMeteorLakeは転換点になったのだな」と実感すると思います。
仮にそれが数年後であっても、2-3世代後のチップがその役割を担っていくことになると思います。
そういう意味でMeteorLakeは単なるマイルストーンです。
Core Ultra 200Sシリーズ
ソケットLGA1851
Intel 第14世代Coreシリーズ
ソケットLGA1700
※ 末尾にFがついているモデルはGPUがありませんのでご注意ください。