中国のプレミア・ファブが暗礁に乗り上げる。
セミコンダクター・マニュファクチャリング・インターナショナル・コーポレーション(SMIC)の第3四半期決算が発表され、利益は昨年比で80%減少した(via CNBC)。
中国最大のファウンドリーであるSMICは、同国の半導体ファブ業界の最先端を代表する企業だが、事態が超好調でないことは明らかだ。
SMICの第3四半期の業績不振の一因は、世界的な要因にある。
世界経済は高インフレのためにあまり健全ではなく、その結果個人消費が落ち込んでいる。
中国ではインフレは問題になっていないが、消費者は借金の返済に重点を置いているため、支出を減らしている。
SMICはまた、中国製シリコンをめぐる米国の制裁とも戦わなければならない。
それでも、SMICの減益はライバルのTSMCと比べて特に顕著だ。TSMCも減益となったが、その幅はわずか12%であり、TSMCの80%とは対照的である。
技術面では、SMICはTSMCに大きく遅れをとっている。
TSMCが2nmノードに取り組んでいるのに対し、SMICは7nmノードに到達したばかりだからだ。
収益性の急激な低下は、SMICの追い上げを妨げる可能性が高い。
SMICは2015年に28nmノードを立ち上げており、TSMCが16nmに到達したのと同じ年である。
SMICが2019年に14nmプロセスを立ち上げた時、TSMCは1年ほど前から7nmを提供していた。
今日、SMICはどうやら7nmと5nmに進むことができそうだが、そうなる頃には、TSMC、インテル、サムスンのようなアメリカ寄りのファウンドリが2nm以下のプロセスを持っている可能性が高い。
また、中国が自国の半導体産業を発展させるという野心にとっても悪いニュースだ。
もし中国が、AMDやNvidiaのような企業が設計し、TSMCやサムスンで製造されるような高速チップを生産できるようになりたいのであれば、SMICのようなファウンドリーに最先端のノードが必要になるだろう。
ソース:Tom's Hardware - China's SMIC Foundry Fumbles, 80% Decline In Profit
解説:
SMICが利益率80%減
過去の業績において好調が伝えられていた中国の半導体ですが、インフレや生活費の高騰による世界経済の減速を受けてやはり業績が壊滅的な状態になっているようです。
米国の制裁によって中国国内の企業に売り上げが移り、売上高〇〇%増など景気の良いニュースが踊っていましたが、私は「本当かな?」と思っていました。
単純に売上高がそれだけ上がったとしても、利益に関してはどうでしょうか?
やはり疑問符が付くと思います。
それを裏付けるような今回のニュースです。
経済と言うのは全体でつながって循環しており、片方が駄目なのにもう片方が好調なんてことはあり得ません。
米国の経済が傾きかかっているのに中国の経済が好調何てことはあり得ませんので、これが正しい状況なのでしょう。
アメリカの経済は長期のリセッションに入るとも言われており、そうなると中国の半導体産業はアメリカの制裁と併せて益々苦しくなるということになります。
日本の半導体産業もアメリカの制裁によって叩き潰されましたが、中国は焼け野原にならずに済むでしょうか?
その時代を目の当たりにしてきただけに中国の半導体産業が助かるようには思えません。