半導体チップの売上高が史上4番目に大きく減少 - 35年ぶり
世界半導体貿易統計局(WSTS)の組織によると、半導体製造業界は過去35年間で最大の収縮の1つを経験したばかりです。
3月の製造業生産高の落ち込みは、今年の2月と比較して1.8%の減少、2018年3月と比較して13%の減少となりましたが、四半期レビューによる収益はさらに悪化しました。
手短に言えば、半導体業界は前四半期の1,147億ドルから「ちょうど」968億ドルまで減少しました。
SIA(Semiconductor Industry Association)業界団体の社長兼CEOであるJohn Neufferは、次のように述べています。
「3月の売上高は、主要地域の全市場および半導体製品で前年同期比で減少しました。 世界市場が最近経験した循環的傾向と一致した、 市場分析会社のIC Insightsは、WSTSの報告よりも減少が深刻で、今年の第1四半期の売上は17.1%減少し、1984年以来4番目に大きな減少となったと述べています。 声明、「第1四半期は通常過去36年間で平均2.1%の減少となり、IC市場では今年の最も弱い四半期ですが、1Q19 / 4Q18のIC市場下落の深刻さは今年から始まりました。 非常に低いレベルです。」
※ クリックすると別Window・タブで拡大します。
TSMCは、7nm顧客の大部分が6nmに移行することを期待しています
TSMCは、四半期ごとの決算発表で、7nm(N7)プロセス製造ノードの顧客の大部分が、6 nm(N6)プロセスへの移行を検討していると確信しています。
実際、同社は、新しいN6製造技術が製造業者が持っている設計ツールや半導体設計とある種の「後方互換性」をもたらすので、そのノードがその顧客の間で(これまで生産されたように)大量注文の最大のターゲットになると予想している。
すでにN7ノードに投資しているため、顧客はコストを節約できます。
これは、TSMCのN6プロセスが極端紫外線リソグラフィ(EUVL)を利用して製造の複雑さを軽減できるにもかかわらずです。
TSMCのN7は深紫外線(DUV)リソグラフィーのみを使用しているため、今日必要とされているのは、マルチパターニングに必要なシリコンの露光量が少ないことです。
興味深いことに、TSMCは、7nmノードをまだ使用していない他のクライアントが自社のN7 +製造ノードを採用することを期待しています。- 新しいツールを開発する必要があり、N7とN7 +ノード間の設計の互換性が低いことが、N7ではなくN6であることを正当化する理由となりました。
TSMCのN7 +は最大4つのEUVL層を使用してEUVを利用する最初のノードとなり、N6はそれを最大5層まで拡張し、次のN5は最大14のEUVLを生み出します(14層を可能にします)。
ソース:techpowerup - Semiconductor Chip Sales Suffer Fourth Largest Decline in 35 Years
TSMC Expects Most 7nm Customers to Move to 6nm Density
解説:
半導体関連のニュースをまとめて二つです。
まず最初は半導体の売り上げが35年ぶり、史上4番目に減少したとのことです。
これによってDRAMなどの生産をしている事業者は生産調整に入っているといわれているのと同時に、メモリの価格が下落し続けています。
上はCorsairのCMK16GX4M2A2666C16 [DDR4 PC4-21300 8GB 2枚組] の価格推移グラフですが、2018年1月22日を頂点にずっと下がり続けています。
業界団体の予測よりも減少幅が大きくなっているようです。
逆に言えば、今までメモリ価格の高騰に苦しんできた個人PCユーザーにとっては好機でしょう。
これだけ大幅に需要が減少するとおそらく多少生産調整しても意味がないレベルだと思います。
次はTMSCのプロセスの話です。7nmと7nm+(EUV)には互換性がなく、6nmと互換性があるので、7nmを使用する顧客は6nmに移行することを期待するという話です。
アップルなどのスマホ系SoCを生産している業者は7nmから7nm+、5nmと有無を言わさずに最新のプロセスを使い続けています。
AMDも7nmから7nm+、5nmを使うのではないかと思います。
7nmから6nmに行く可能性の高いメーカーはnVidiaでしょう。
コスト的に考えてもそれが一番有利でしょうし、今のnVidiaならAMDに対する製造プロセスの不利を設計で跳ね返すことができますので、利益を最重視するnVidiaなら7nmから6nmに行ってもおかしくないかなと思います。
要するに
12nm(RTX2000) - 7nm(RTX3000) - 6nm(RTX4000)
という可能性があるということです。
尤も、GoogleのSTADIAと何より移動体通信の5Gが登場するとPCも含めたデジタルガジェットの世界を一変させてしまうでしょうから、今と同じ世界が今後も続いていくと仮定しての話です。
今のnVidiaはさすがに暴利を貪りすぎですので、もっと安価に演算能力を提供できるサービスが生まれる余地は大きいです。
演算能力あたりに、いくらの金を出すということがわかっていますので、それを見越してGoogleのように大量に設備投資してスケールメリットを生かして安価なサービスを提供する業者・プラットフォームが次々と現れてもおかしくないでしょう。
今のRTX2080Tiの価格を見るとそう思います。
5Gが普及すれば何も単体GPUだけが演算能力を提供できるデバイス(サービス)ではなくなると思います。
intelも参入してきますし、今までマイニングなどで空前の利益を生み出したGPUの世界にもレッドオーシャンがやってくると思います。
これも我々ユーザーにとっては福音になると思います。
余談ですが、自社の利益を削って他社のプロジェクトに対して貢献し、それが多くのユーザーや社会に貢献することにつながったとすると、その会社には大きな助けが集まってくるのかなと思います。
どこの会社のことを言っているかというと、AMDです。
AMDがRyzenを生み出せたのも自社の利益を削ってPS5やXbox、STADIAといったデバイス・サービスにパーツを供給したからだと思いますし、自社の利益を最大限追求したintel、nViidaはこうしたサービスが出てきて押されています。
少なくともわたくしの目には押されているように見えます。
営利企業というのは取れるから利益を取るという行動をとるのは当然なのですが、行き過ぎると、思ってもみない方向から競合する製品やサービスが現れて、一気に衰退に向かうというのは今までも繰り返されてきたことですが、intelの今の状況などを見ると皮肉だなあと思います。
nVidiaはSTADIAに関しては何もコメントしていませんが、どう思っているんですかね。