大手ハイテク企業はアームの一部を欲しがっている。
ブルームバーグと日本経済新聞の報道によると、ハイテク大手のアマゾン、アップル、インテル、エヌビディア、サムスンは、アームの新規株式公開のアンカー投資家になることを楽しみにしているという。
Bloombergの予測によれば、このIPOは最大100億ドルを集め、アームの評価額を600億ドルから700億ドルという驚異的な水準に引き上げる可能性があるという。
ソフトバンク・グループ傘下のアームは、今年最大のテック系IPOとなる可能性のある準備を進めており、数ヶ月前から主要顧客との間で参加に関する話し合いを行ってきた。
同社は、主要なグローバル・チップ・デザイナーとアンカー投資家になることについて協議しており、アマゾン、アップル、インテル、サムスン、Nvidiaといった企業が、上場と同時にアームに投資すると予想されている(ただし、これらの企業はいずれもアームの株式を購入する意向を正式に確認していない)。
アームの戦略では、これらのプロセッサ開発者に中長期的な株式保有を提案し、上場中の株価の安定を確保することを意図している。
チップ設計におけるアームの世界的な影響力は否定できない。スマートフォン分野では、ArmベースのSoCは100%近い市場シェアを占めている。
また、コンシューマーエレクトロニクス業界でも大きなシェアを占めており、アップルやクアルコムの努力のおかげで、Armの技術はPCでも支持を集めている。
Armの歴史を通じて、そのアーキテクチャに基づくチップは2500億個以上製造されている。
アップル、サムスン、Nvidia、クアルコムは、世界で最も有名なArmベースのSoCを製造している。だからこそ、アップル(すでにArmに出資している)、
サムスン、Nvidiaは、チップIP設計者に投資する理由がある。
The Registerが引用したBernstein Researchのレポートによると、Amazon Web ServicesはArmサーバー市場を支配しており、AWSのデータセンターには全世界のArmベースのサーバーCPUの半分以上が導入されているという。
2018年に発表され、AWS向けに最適化されたGravitonシステムオンチップファミリーは、2022年半ばまでにAWSのCPUインスタンスの約20%を駆動しており、これはかなりの割合を占めている。
AWSの要件に合わせて最適化されたこれらのSoCは、競合するx86製品よりもソケットあたりのコア数が多く、消費電力が削減され、コスト面で大きなメリットがある。
AmazonがAMDやIntelにプレミアムを支払う必要がないこともあり、総所有コストと消費電力が低いことも大きな理由だ。
レポートでは、AWSが競合するx86 CPUと比較して、同じパフォーマンスで20%から70%のコスト削減を達成できるケースもあるとしているが、詳細は不明だ。
AWSがArmベースのSoCで具体的なメリットを得ていることを考えると、同社がArmプロセッサ向けのデータセンター・ソフトウェア・エコシステムに大規模な投資を行っていることは明らかだ。
そのため、同社はArm命令セットアーキテクチャ(ISA)全般、特にデータセンター向けNeoverse CPUコアのさらなる開発に、より大きな関心を寄せていると思われる。
2016年にArmを320億ドルで買収したソフトバンクは、2020~2022年に約400億ドルで同社をNvidiaに売却しようとしたが、規制上の問題で売却ができなかった。
その余波を受け、ソフトバンクはアームをIPOへと導く道を選んだ。
IPOの評価額がピークに達すれば、2014年のアリババや2012年のメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)など、テックセクター最大のIPOに匹敵することになる。
ソース:Tom's Hardware - Amazon, Apple, Intel, Nvidia, and Samsung to Back Arm's IPO
解説:
IPOとは新規公開株のことでArmはびっくりすることに非上場会社です。
非上場だったArmの株式をNasdaqに公開するということのようです。
上場されたARMの㈱はアマゾン、アップル、インテル、サムスン、Nvidiaなどと言った企業が購入すると言われています。
これらの会社はArmのIPを利用しており、Armの株主になって影響力を強めたいと思っているのでしょう。
amazonやApple、Googleなどの企業は自社でチップを設計していますが、独自のチップを設計することによって、特にサーバー向けのコストを削減できるということです。
その割合は20%-70%と言われています。
AMDがサーバーの分野で躍進したのもコストが削減できるからで、この分野でIntelが如何に荒稼ぎしてきたかと言うことです。
GAFAMなどのテック企業が自社でCPUを設計するようになるにはこうした背景があります。
ある程度のスケールメリットが出せるようになるとCPUは内製したほうがコストがかからないということです。