DigiTimesの報道によると、TSMCの3nmウェハは超高額になり、次世代CPU&GPUの価格に影響するようです。
NVIDIA、AMD、IntelはTSMCの3nmが米国価格で2万ドルを超えるため、高いウェハコストを覚悟している
チップ製造分野での優位性、3nmプロセス分野での競合がまだいないことから、TSMCは3nmウェハの価格を大幅に引き上げるとしている。
TSMCのウェハーの価格は、7nm(米国1万ドル)から5nm(同16,000ドル)のウェハーへのジャンプが約60%であることがグラフで描かれている。
3nmになった今、TSMCのウェハコストは2万ドルという数字を超える見込みで、それは次世代CPUやGPUという形で、より高価な製品が登場することを意味するのだろう。
現在、Appleなどと並んで、AMDとNVIDIAがTSMCの優良顧客となっている。NVIDIAは、セグメントごとにカードの価格を確実に引き上げている。
RTX 4090はRTX 3090より10~15%高く、RTX 4080はRTX 3080より50%以上高い。
NVIDIAのCEOが台湾を訪れ、TSMCのCEOと次世代GPUラインナップのための3nmウェハの早期確保について話をしたことも報じられている。
AMDは、チップレット製品で異なるノードを混在させることで、価格を相殺することに成功している。
Ryzen、Radeon、EPYCの各ラインアップは、5nmと6nmの両方の技術とチップレットを利用して、モノリシックダイに関連する総コストを削減するのに役立っている。
今後、Intelは、Meteor LakeとArrow LakeのtGPU IPにTSMCのN5とN3プロセス・ノードを活用する予定です。
しかし、この優位な状況は、各世代のウェーハファウンダリーの価格が抵抗なく急上昇することも可能にする。 3nmはすでに2万米ドルを超えたと理解されている。生産コストの急激な上昇により、チップ産業は川下の顧客や消費者にそれを転嫁することになり、新しい端末製品の価格はもはや元の価格には戻せなくなる。
[...] NVIDIAのCEO、Jen-Hsun Huang氏は、性能向上が限定的であるにもかかわらず、12インチファウンドリーウェハーの価格が少し高いだけでなく、過去と比較して大幅に上昇しているため、新製品の価格上昇は妥当であると率直に述べています。
DigiTimesより
しかし、このTSMCへの依存は、半導体製造会社が支配的な地位に留まり、他社に対する技術的優位性から高い価格を正当化できることを意味します。
ライバルのSamsungも、2024年までに独自の3nm(GAP)ノードの量産を開始すると表明していたが、歩留まりは20%未満で、Samsungの次世代ノードには現時点で多くの問題があるため、状況はあまり良くないと思われる。
このことから、チップの価格はコスト面で上昇を続け、TSMCと同レベルの競合他社が現れない限り、この流れは断ち切れないと予想されます。
Intelは、NVIDIAやAMDなどのチップメーカーに、自社の次期Fabで製品を作ってもらうことを目標の1つに掲げており、それがどうなるかは、これからです。
ソース:wccftech - Price Increase Over 5nm, Next-Gen CPUs & GPUs To Be More Expensive
解説:
TSMC N3の製造原価は25%アップ
そのため、最終製品もそれを反映したものになるとされています。
25%製造コストが上がれば企業努力でどうにかなるレベルではありませんので、最終製品に転嫁されるのは仕方ないのかなと思います。
つまり、今後出てくる製品を使いたかったら、単純計算で今より25%以上生産性を上げてイノベーションを起こすしかないということになります。
日本は30年間平均収入が上がっていない国ですから、今後平均的な日本人が最新の製品を使い続けるのは難しいということになります。
それは今のAda Lovelaceの価格を見れば納得できるのでは無いでしょうか。
今後どんどんこうした圧力は厳しくなっていき、同じ国の中でも生産性が低い人たちは最先端製品の恩恵が受けられなくなってくる世界がやってきているということなのだと思います。
アメリカの平均年収は円安が始まる前の2020年のデータで約700万円、日本の445万円を大きく引き離しています。
ソース:アメリカの平均年収は700万円!?日本との違いや社会的背景について
こうした格差が広がっていけば、同じ国の中に富める世界と貧しい世界2つの世界に分断されていくことになるのだと思います。
今はその境界線があいまいな最後の時期なのではないかと私は考えています。