Intel XeSSは競合他社のGPUでも動作する
Intelは、「Architecture Day 2021」において、来年発売予定のグラフィックスカード「Arc Alchemist」シリーズをはじめとする次世代製品の詳細を発表した。
インテルのアップスケーリング技術は、DG2 GPU(Arc Alchemist)に搭載されているXMX命令、またはXe-LPアーキテクチャを採用したインテル統合グラフィックスやNVIDIA Pascal GP102-106 GPUなどの競合製品に搭載されているDP4a命令のいずれかを使用します。
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インテルのXeSS技術は、ニューラルネットワークをベースにしているため、NVIDIA DLSSと同じカテゴリーに属します。
この技術は、モーションベクターとヒストリーバッファに依存するため、動きのあるグラフィックスの品質を向上させることができるはずです。
インテルが公開したデモはテンポが遅く、おそらく全体像はわからないだろう。
しかし、Alchemist GPUが発売される数ヶ月前にもかかわらず、インテル社はすでにその技術を実演する準備を整えており、これも注目すべき点です。
このデモは、Arc Alchemistのプリプロダクション・デスクトップ・シリコンで実行されています。
ビデオでは、4K XeSSでネイティブの4K解像度と比較して2倍の性能向上を示しています。
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インテル社が、自社の技術をゲーム開発者や競合他社に向けてオープンソース化する計画であることは、ゲーマーにとって喜ばしいことです。当初の計画では、ゲームやゲームエンジンの一部の開発者にSDKを提供することになっています。
XeSSの採用が始まれば、Intelはオープンソース化を進め、この技術がより良い結果をもたらし、より簡単に実装できるようになれば、AMD FSRやNVIDIA DLSSを脅かすことになるかもしれません。
インテルは、XeSS XMXバージョンのSDKを今月末に、DP4aバージョンを今年末に提供することを確認しています。
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ソース:videocardz.com - Intel XeSS AI-based super sampling technology will be open-source once it matures
解説:
intel版DLSSであるXeSSは競合のGPUでも動作する
最終的にはオープンソース化する予定であるようです。
この点、FSRと非常によく似ていますが、技術的にはDLSSに近いものです。
XeSSは元nVidiaの技術研究員をヘッドハントして作っており、DLSSとよく似たものであることは自然なことでしょう。
元AMDでRadeon開発チームを率いていたラジャ氏は「AMDではソフトのサポートが望めない」と言っていましたが、Intelが本気を出すとこうなるということです。
こうなるとオープンソースではないDLSSが一番苦しくなってくると言ってもよいと思います。
今のところ、XeSSとDLSSは優劣がはっきりしていませんが、優劣がはっきりしてくれば、開発側としては意味のないものにリソースは裂きたくないというのが本音でしょう。
シェアが高いメーカーは脱共有化戦略を取り、シェアが低いメーカーは共有化戦略を取ります。
一見、せっかく高い開発費をかけて開発した技術を無料で公開してしまうのは何のメリットも無いように見えますが、DLSSはnVidiaのTuringより新しいGPU専用の技術であり、DLSSが覇権を取ってしまったら、他社の製品が売れなくなってしまいます。
そうなったら事業を展開するのが難しくなりますので、ここは何としてもDLSSがこれ以上広まらないようにしたいというのがIntelの本音でしょう。
AMDがFSRをオープンソース化しているのもそれが理由です。
FSRは技術的には大したことがなく、同様の技術はnVidiaのコントロールパネルからオンに出来るという話がリークしていましたが、XeSSは本当のAIベースのアップスケーラーとなります。
FSRではDLSSのような品質を出すことは難しいですが、XeSSならば可能かもしれません。