ソフトバンクが支援する英国のシリコンチップの設計者であるARMは、長い間、投機的な関心の対象となってきた。
今日、NVIDIA (NASDAQ:NVDA 417.6 1.08%)が英国のチップ設計者を買収する可能性を探っているとの報道で、その関心は熱を帯びている。
ブルームバーグの報道によると、NVIDIAはARMの親会社であるソフトバンクに買収の可能性を打診しているという。
とはいえ、現在は前段階の話なので、他の買収者が出てくる可能性もあるとのこと。
念のために言っておくと、ARMはシリコンチップを設計し、チップがどのように通信するかを規定する命令セットのライセンスを供与している。
ソフトバンクは2016年にARM Holdingsを320億ドルで買収し、英国のチップメーカーを上場するか、最高入札者に売却することで、投資から多額のリターンを得たいと考えている。
さらに、ARMは現在、中国のJVであるARM Chinaの49%の株式を保有しており、中国の株式ファンドHopu Investmentが率いる投資家コンソーシアムが残りの51%の株式を保有している。
ARMが買収されれば、チップ業界最大級の買収となります。しかし、どのような取引も簡単にはいかないでしょう。
このような大規模な取引に関連する通常のハードルに加えて、規制当局の目障りが障害となる可能性があります。
最後に、ARMの既存顧客が買収を阻止したり、ARMのテクノロジへの平等なアクセスを保証するよう要求したりするかもしれません。
NVIDIAがARMの買収を追求するのは理にかなっています。
結局のところ、ソフトバンクは、2017年に40億ドルの株式を蓄積し、NVIDIAへの大口投資家となっている。
それにもかかわらず、ソフトバンクの1000億ドルという巨大なビジョンファンドは、2019年初頭にNVIDIAの株式の全額を清算したことを明らかにした。
この取引が成立すれば、NVIDIAはARMの買収から生まれるシナジー効果の恩恵を受けることになる。
この開発はまた、GPUカードのメーカーによる最近の買収騒動の継続を示すことになるだろう。
再確認として、NVIDIAは4月27日にイスラエルのMellanox Technologiesの買収を正式に完了し、13ヶ月以上に及ぶ苦難のプロセスを終えました。
さらに、5月4日には、NVIDIAは、オープンネットワーキングソフトウェア会社であるCumulus Networksを非開示の金額で買収することを発表しました。
NVIDIAの株式は2020年に向けて約76%上昇しており、数週間前にはインテルの時価総額を一時的に食いつぶすことができた。
NVIDIA株にとって最も強力な追い風となっているのは、今年後半に予定されている最新のゲーム機のリリースを取り巻く陶酔感です。
アナリストは、この開発によってGPUアップグレードのスーパーサイクルが始まると予想しています。
また、データセンターやAIアプリケーションへの需要が急増していることも、NVIDIA株の追い風となっています。
ソース:wccftech - Arm – the British Chip Designer – May Be Acquired by NVIDIA
解説:
金のために投資することの限界
ソフトバンクが持っているARMをnVidiaが買収するという話が持ち上がっているようです。
最近、Appleが買収するのではないかと言う話が持ち上がっていましたが、どうもnvidiaも買収に手を上げているようですね。
正直、最近のARMは業績がイマイチなのですが、CPUを持っていないnVidiaがARMを買収するとなるとかなりのシナジー効果を期待できるのではないかと思います。
確かにAppleが買収するのも自然ですが、nVidiaが買収するのも悪くない選択だと思います。
これでx86陣営はIntelとAMD、ARM陣営はAppleとnvidiaと言う図式になるかもしれなくなったと言うことです。
まあ、実際ARM陣営にはもっと沢山のプレイヤーがいますが、PC市場になじみのある会社と言うところに限定するとこうなりますね。
AMDはSamsungのGPUにRadeonを供給することがシェアの増加を狙っていましたが、こうなるとGeforceのシェアが一気に増える可能性も出てきました。
そればかりでなく、最終的にx86 vs ARMの図式が出来上がったとき、最後の勝者になるのがnvidiaと言う可能性も出てきたと言うことです。
もちろんまだ決まったわけではありませんが、ARMほどの会社をスンナリ買収できる資金を持っているところは限られていますので、Apple、Intel、nVidiaのいずれかが買収するのではないかと言われています。
ARMの買収額がいくらになるのかわかりませんが、現在苦境に陥っているソフトバンクは思いっ切り足元を見られる可能性もあり、この辺が金のために投資する企業の限界が見えてきたところです。
投資の本質と言うのは社会に貢献する企業に資金を供給することであって、投機のために行うものではありません。
莫大な資金を投資するファンドにあって、どのくらい社会に貢献できるのかと言う物差しを持っていない企業人や企業組織と言うのは思わぬところで足元をすくわれるものです。
そうした視点さえ持っていれば仮にコロナ禍で一時業績が悪化してもいずれは持ち直すでしょう。
ソフトバンクがARMを買収した時は「すごい」と思いましたが、その後、わけのわからないシェアオフィスの会社などを買いまくり、孫正義の神通力もここまでかと思っていましたが、それを裏付けるように当初の思惑を外す形で売却するというのはパッとしないなと思います。
現在、アメリカは中国をはっきり敵と位置づけ、NY証券市場に上場している中国企業の株も上場廃止にするのではないかと言われていますが、そうなるのとアリババ株は単なる紙くずになり、ソフトバンクの命運もそれまででしょう。
この辺が金と言う物差ししか持ってない企業家の限界でしょう。