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SLiは本当に必要なのか

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Gefprce GTX1080

SLiとはnVidiaのGPUを複数枚刺してGPUの性能を底上げする技術のことです。

同様の技術にAMDのCrossFireXがあります。当サイトはゲームに特化した説明をしておりますので、こちらにはあえて触れません。

GeforceGTX1000シリーズ世代ではGeforceGTX1070以上で可能です。

今回はこのSLiが本当に必要なのかどうかということを考えてみたいと思います。

SLiの条件:intelのLGA1151v3とAMDのSocketAM4でSLiを行うにはそれぞれZ370、X370という最上位のチップセットが必要です。

※もし本当にSLiの実力を引き出したいならばinelならパーソナルワークステーション向けのプラットフォームのLGA2066、AMDならSocketTR4を使うことをお勧めします。SLiにおいてはメモリの速度も重要になってくるためメモリをクアッドチャンネルで使うことのできるこれらのプラットフォームの方がより性能が引き出すことができます。ただし当然ですが非常に高価です。

※ CPUとGPUの適切なバランスとは

このため、システム全体の価格が高くなります。

また、メモリは使用出来得る最高速のメモリをデュアルチャンネルで使用すべきです。

もちろんですが、

1.SLiは対応したソフトでないと効果を発揮しない

nVidiaの公式HPにSLiに最適化されたゲームのタイトルの一覧があります。

たとえベンチマークのスコアがいくら良くなっても自分のやりたいゲームタイトルが対応していなければその恩恵にあずかることができません。

2.SLiはPCが不安定になることがある

もともと上位のGPUは下位のCPUではフルに性能が発揮出来ないくらいPCのリソースを消費するものですが、それが二枚もつくのですから、マザーボードやPCの構成によってはその性能が十分に発揮できない可能性が否定できません。

特に一般向けのLGA1151v3やSocketAM4のデュアルチャンネルメモリでは最高速のメモリを使ってもその性能が引き出せない可能性が高いです。

その場合でも単に性能がGPU一つ分しか出ないのであればマシですが、かえって性能が低下したり、動作が不安定になったりすることもあります。

コンピューターの世界では「出来る」と書いてあっても「安定している」とか「いかなる場合でもできる」わけではないので注意しましょう。

この安定性に関してはベンチマークテストや数字にはなかなか表れないもので、場合によってはいくらお金を積んでも得られないケースもあります。

私はSLiに関してはあまり肯定的ではありません。お金が有り余ってるからと言って、初心者の方がいきなりSLiにしても想像したイメージと実際の動作が違い過ぎてがっかりすることになる可能性が高いでしょう。

このほかにもSLiによることのリスクは

・消費電力が高くなる

・排熱がシビアになる

などがあります。

また、次の世代のGPUの性能向上の度合いによっては単体GPUでSLiの性能に届いてしまうこともあり、価格が高い割には陳腐化する可能性が非常に高いので、金額的な負担も高くなります。

そのような意味でも完全に選ばれた人だけが維持できる世界です。

 

SLiはコストパフォーマンスを追求するものではない

GeforceGTX1070を二枚使ってSLiすればコスト的に優位であるように思えますが、これは今まで述べてきたようにちょっと違います。

これはすべての人に知っておいてほしい事実です。

これだけのリスクを冒してSLiを使うのであれば、最低でもGeforceGTX1080、できればGeforceGTX1080Tiを選択したいところです。

GeforceGTX1070/Tiからアップグレードするのであれば、特にソフトが対応していなくても確実に性能の向上が見込めて、消費電力的にもハードルの低いGeforceGTX1080、GeforceGTX1080Tiへの買い替えを検討すべきです。

 

ではSLiはどのような人に向いているのか?

SLi構成で4Kで120FPS近く出しているBattlefield4のプレイ動画。非常に美しく滑らかに動作しており、対応ソフトであれば絶大な効果を発揮する。

 

現状では4Kで120fpsを出せる構成というものはSLiしかありません。

よって対応ゲームにおいて4K環境で120FPSを目指す人がSLiをするというような感じになると思います。

その対応ゲームも上にリンクが張ってありますが、どのようなゲームにおいて、安定しているのか、いないのかというのはそのゲームをプレイしてコミュニティから情報を得られる人限定ということになろうかと思います。

なぜなら、SLiする人、できる人というのはそのシステム価格からほんの一握りに限られてしまうからです。

ですから、極端に情報が少なく、時には英語圏のコミュニティにアクセスして、自分のやりたいゲームできちんと(快適に)動作するのかどうかということが確認できなければとてもお勧めできない構成ということになります。

単に、かっこいいからとか響きがよいからとかGeforceGTX1070を二枚使ってSLiすればコスト的に優位そうだからと行うようなものではないことだけは胸に刻んでおいてください。

また、SLiにすると1000w近く消費電力を要求するような無茶な構成になってしまうこともあり、プレイしている最中にブレーカーが落ちてしまうなど、泣くに泣けないトラブルに見舞われる可能性もあります。

SLiとは今まで述べてきたようなものすべてを犠牲にしてでも快適にゲームをしたい、人よりも良い環境でプレイをしたいというある意味選ばれた人のみに許された環境といえるかもしれません。

SLiを求める人というのは熟練のプレイヤーもしくは自作ユーザーで確実にSLiで性能向上するソフトを使っており、環境を構築できる人に限られます。

そしてトラブルが起きても自分の力で解決できる人に限られることになろうかと思います。

よって初心者がいきなり挑戦するような類のものではありません。

初心者の方が最高性能のゲーミングPCを求めるならば、GeforceGTX1080Tiを搭載したPCを購入しましょう。

シングルGPU構成ならばほぼすべてのゲームにおいて確実に性能を向上させることができるでしょう。

SLiはその響きや高価なシステム価格もあって、プレミア感があり興味を持たれている方は多いと思います。

しかし、価格的にも知識・技術的にも限られたユーザーのみに入門を許された世界です。

動画を見ていただければわかる通り、SLiは対応ソフトにおいて唯一無二の圧倒的な高性能と素晴らしい環境を提供してくれるものです。

今まで述べてきたようなことをすべて犠牲にしても人より上を目指したい、トップクラスの環境を手に入れたいと思われる方にはほかに替えの利かない絶対の選択肢です。

価格も、車なら市販・無改造で日本でトップクラスの性能を手に入れるには最低1000万円以上必要でしょう。

しかしコンピューターならたったの50万円前後で最高クラスの性能が手に入ります。

そう考えれば非常にコストパフォーマンスが高い趣味と言えるのではないでしょうか。

SLiを最高の性能にし続ける維持費も車と比較すれば微々たるものです。

これらのことに共感できる方は、是非SLiの世界に入門してください。

人とは違った最高性能と満足感をあなたに与えてくれるものと思います。

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