現在話題になっていますので米中貿易戦争のことはご存知と思います。
米中貿易戦争はどんどんエスカレートしていますが、ついにグーグル・インテルやクアルコム、ザイリンクス、ブロードコムなどのソフトウェアや部品大手がファーウェイに製品を供給するのを停止するとのことです。
名前が挙がっている会社の主力取り扱い製品
- グーグル=Android OS
- インテル=サーバー用半導体
- クアルコム=スマートフォン向けCPU、モデム
- ザイリンクス=プログラム可能半導体(FPGA)
- ブロードコム=ネットワーク機器関連半導体
この中で一般の方が聞いたことのない会社はザイリンクスとブロードコムでしょうか。
ザイリンクスの製品は一部が多軸モーター制御や、多機能プリンタに使用されています。
ブロードコムは昔はPC用のモデムやPCI/PCI Expressで拡張するネットワークカードに使われていました。
今はオンボードが当たり前ですので、あまりなじみは無いかもしれません。
その他、業者向けのネットワーク機器の半導体などにも使われています。
どちらも5Gインフラを実現するにあたっては必要不可欠な企業です。
グーグルはandroidの供給を停止するとのことで、中国国内で販売されている端末にはもともとPlayストアが入っていないのですが、海外に輸出されている製品に関して、ファーウェイのスマートフォンを使われている方、このまま制裁が行われれば、android OSの再インストールが出来なくなるって話も出ており、深刻な影響を受けそうです。
現在ファーウェイのスマホ使っている方はそのような影響を受ける可能性があるようです。
中国はFacebookもTwitterもAmazonも、GoogleのPlay StoreもAppleも唯一世界の勝ち組といわれるアメリカ企業が撤退している市場であり、中国国内に関しては制裁の影響はないでしょう。
しかし、世界に出荷している分に関しては、致命傷になると思われます。
中国からの 輸入品 | 関税率 | 関税率 | アメリカからの輸入品 | |
340億ドル分 自動車・航空・産業ロボット | 25% | 第一弾 2018年7月6日発動 | 25% | 340億ドル分 自動車・大豆・牛肉 |
↓ | ↓ | |||
160億ドル分 半導体・化学品・鉄道車両 | 25% | 第二弾 8月23日発動 | 25% | 160億ドル分 自動車・鉄鋼・銅 |
↓ | ↓ | |||
2000億ドル分 食料品・家具・家電 | 10% | 第三弾 9月24日発動 | 5%、10% | 600億ドル分 LNG・航空機・レーザー機器 |
↓ | ↓ | |||
税率25%に引上げ | 2019年5月10日発動 | 報復を検討 | ||
3250億ドル分に25%上乗せ 全品目に関税も | 第四弾? | 報復? |
この戦争はどちらが有利なのか?
上の表の金額を見ればわかる通り、圧倒的に有利なのは単純に中国から買ってる金額が多いアメリカが有利です。
中国をここまで増長させたのはもともとアメリカが中国に甘すぎたのが原因ですから、アメリカは手を緩めずに徹底的にやるでしょう。
日本もかつてスーパー301条でアメリカから制裁を受け、失われた30年が始まりました。
中国は日本とアメリカの貿易戦争(一方的な虐殺?)を研究して、徹底的に抗戦する構えだったようです。
中国のやり口
アメリカもエゲツ無いですが、中国のやり口も狡猾で、とりあえず約束だけして履行しないなどを平気でやってきます。
この方法は韓国などもよく使う方法で、分割払いにして最初だけ払い、あとは払わないなど平気でやります。
しかし、アメリカはそういったことも含めて、徹底的に中国をつぶすつもりのようですから、おそらくそうしたセコイ手段は通用しないでしょう。
PCパーツの世界に影響はあるのか?
PCパーツの世界ではアメリカ向けの輸出品に関しては輸出は中国から中南米に移っています。
時期としては丁度RTX2000シリーズが発売されたころで、中国で生産・検査・パッケージングを行って、中国からアメリカに輸出していたメーカーは大打撃を受けたようです。
メモリのTeamやADATAの製品が妙に安くなった時期があったり、今も安く売っていたりしますが、あれはもともとこの2社は中国で最終検査やパッケージングを行っていなかったため、関税の影響を受けなかったためです。
全体的なコストを安く下げられたためでしょう。
未確認ですが、名の通ったメーカーとしてはKingstonも妙に安いのでひょっとしたら関税の影響を受けない(中国から輸出しない)体制だったのかもしれません。
当サイトでも過去に記事を出しましたが、アメリカ輸出向け製品は中国で生産して最終的な検査やパッケージングなどをメキシコなどで行う体制に移行しています。
このまま関税制裁・報復合戦が続けば最終的に半導体メーカーは中国から脱出して中国は世界のサプライチェーンから外されると思います。
そうなった場合、もう二度と戻ってきませんので、中国の経済は大打撃を受けることになるでしょう。
10%分までは、中国の企業が関税分を負担する形でしのいでいたようですが、25%の関税分はおそらく吸収しきれないので、致命傷になると思われます。
上の表で最後の関税分は中国が600億ドル分だけしかありませんが、アメリカからそれだけしか買っていないということです。
中国の今の躍進を支えているのは経済発展なので、それが躓けばそのまま社会の崩壊につながるくらいの大打撃になる可能性を秘めているといってもよいでしょう。
日本も80年代後半から90年代前半にアメリカにコテンパンにやられましたが、中国も二の舞を踏むものと思います。