
■事実
NVIDIAが公式に、新技術「DLSS 5(3D-Guided Neural Rendering)」を2026年9月3日午後9時(太平洋時間)に提供開始すると発表しました。
初対応タイトルは2K・Visual Concepts開発の『NBA 2K27』。全GeForce RTX5000シリーズのデスクトップ・ノートPC向けGPUおよびGeForce NOW Ultimate(RTX5080相当以上)で利用可能です。
適用には9月3日配信のGame Ready Driverが必要。ゲーム内では「DLSS Neural Rendering」の項目としてオン・オフでき、F9キーでも切替可能です。
DLSS 5は既存のレンダリングパイプラインを置き換えるものではなく、Super Resolution・Multi Frame Generation・Ray Reconstructionなど既存のDLSS技術群に対して「後段」で追加される形で動作します。
レンダリング済みフレームとゲームエンジンのデータ(色・モーションベクトル・ライティング・表面情報)を入力とし、肌・布・金属・毛髪などの材質を識別したうえで、開発側が通常省略している物理ベースのライティング表現を追加で描き込む技術です。
ジオメトリ(形状データ)自体は変更しないとNVIDIAは説明しています。
2026年3月のGTC 2026での初披露時はGeForce RTX 5090を2枚使用したデモだったが、パイプライン最適化とニューラルモデルの改良により半年でパフォーマンスが5倍向上し、GPU1枚での動作を実現したとNVIDIAは説明しています。
さらなる最適化を2026年秋に予定しているとNVIDIAが発表しています。
NVIDIA公式ベンチマークでは、RTX5090で4K・370FPSという数値を公表しています。
発表時点でRTX40シリーズ・RTX30シリーズへの対応は明言されていません。
ソース:
表:DLSS 5パフォーマンス数値の出典比較
| 出典 | 数値 | 条件 |
|---|---|---|
| NVIDIA公式発表 | 4K・370FPS(RTX5090) | Super Resolution+Multi Frame Generation を含むDLSSスタック全体 |
| 『NBA 2K27』リーク版ベンチマーク | 200FPS台(RTX5090) | ニューラルレンダリング層単体に近いとされる数値 |
| 独立系メディアの初期テスト | フレームレート35〜50%低下 | ニューラルレンダリング有効時(複数メディア報告) |
解説
そもそもDLSS 5は2026年3月のGTC 2026発表直後から大炎上した経緯がある。『Resident Evil Requiem』のGraceや『Hogwarts Legacy』などのデモで、キャラクターの顔が別人のように加工されて見え、「yassified」「AIスロップ」と揶揄される事態に発展した。
ジェンスン・フアンCEOは当初「批判は完全に間違っている」と一蹴していたが、その後のPodcast出演では「AIスロップは自分も好きではない」とトーンを軟化させており、半年の間に説明の仕方自体が変化している。
今回の発表で強調される「アーティストが完全にコントロールできる」という説明は、3月の炎上を踏まえた事後的な軌道修正という側面が強い。
発売初日の対応タイトルが『NBA 2K27』という、グラフィック表現の作家性がさほど強調されないスポーツタイトルである点は象徴的。物議を醸したRPG・ホラー系の看板タイトルではなく、比較的リスクの低いタイトルで実運用の検証を始めた形に見える。
NVIDIA公式が示す「4K・370FPS」はSuper ResolutionとMulti Frame Generationを含むDLSSスタック全体の数値であり、ニューラルレンダリング機能そのものの負荷を測る数値ではない。フレーム生成を含む数値は体感フレームレートを底上げして見せる常套手段であり、生成フレームには実際のプレイヤー入力が反映されない点は変わらない。入力の受付はあくまでネイティブレンダリングのフレームレートに縛られたままである。
独立系メディアが報告するニューラルレンダリング単体での35〜50%のフレームレート低下の方が、実際の体感負荷に近いとみられる。
発表時点でRTX40・RTX30シリーズへの対応が明言されておらず、旧世代ユーザーは実質的に置き去りにされる形。新機能を新GPU購入のインセンティブとして使う、NVIDIAではおなじみの手法とも言える。
一方で有志コミュニティが開発する「OptiScaler」経由であれば、非公式ながら幅広い環境でDLSS 5のニューラルレンダリングを動かせるという報告も出ている。NVIDIAが対応GPUを絞り込むほど回避策への注目が集まるという、皮肉な構図だ。
「3D以来最大の進化」という謳い文句、3月の大炎上を思い出すとかなり強気な自画自賛に見える。
説明の巧拙より先に、9月3日以降の実機レビューで「本当に良く見えるのか」を確かめるのが一番早い。