
■事実
リーカー「LC Tech Leaks」がIntel次世代デスクトップCPU「Nova Lake-S」のテスト機として「Core Ultra 9 4950K」の存在を示すCPU-Zスクリーンショットを投稿しました。
名称が事実であれば、Intelは2018年の第9世代Core(例:Core i7-8700K世代の前、実際には4790Kが2014年)以来となる4桁の型番表記へ回帰することになります。
現行のArrow Lake世代(Core Ultra 200シリーズ)は3桁表記(例:Core Ultra 9 285K)であり、今回のリークはこの表記からの再変更を意味します。
別のリーカー「Gotou_kai3」および「Jaykihn」も4桁ネーミング自体は事実であると裏付け、ただし「4950K」という具体的な型番は最終確定ではない可能性があると指摘しています。
リーク画像では28コア構成(8P+16E+4LPE、一部報道では8P+20Eと表記)、Z990チップセット搭載マザーボードでのテストが示されています。
CPU-Zベンチマークでシングルコア約1,000点、マルチコア約20,000点という数値が付随情報として提示されました。
この数値が事実なら、32スレッド以下のCPUでは現行トップのRyzen 9 9950X3D2(17,294点)を上回ることになります。
ただしCPU-Zの結果には動作クロックや消費電力の条件が一切開示されておらず、単純比較はできません。
別のリーカー「Golden Pig Upgrade」は、モバイル向けにも「Core Ultra 4000HX」の型番が使われる可能性があると言及しています。
4桁化の理由として、Nova Lake-S世代はシングルダイ/デュアルダイ構成、bLLC(144MB/288MB)搭載モデルなど非常に多くのSKUを抱えるため、3桁の表記スペースでは足りなくなっていることが挙げられています。
Nova Lake-Sは28コア(シングルタイル、最大144MB bLLC)と52コア(デュアルタイル、最大288MB bLLC)の2系統で構成される計画とされ、リーク当時点でCPU-Z側が18Aプロセスと自動認識しているのは、ソフトウェア側が最新のPanther Lake(18A製造)の情報を流用している可能性が高いため、確定情報ではありません。
Nova Lake-SはLGA1954ソケットを採用し、現行のLGA1700/Arrow Lakeとの互換性はありません。
Nova Lake-Sの正式発表・発売は2027年第1四半期(CES 2027前後)が有力視されています。
比較表(Intel CPUネーミング方式の変遷)
| 時期 | 世代・呼称 | 命名方式の例 | 桁数 |
|---|---|---|---|
| 2014年 | 第4世代Core(Haswell Refresh) | Core i7-4790K | 4桁 |
| 2015〜2020年 | 第6〜10世代Core | Core i9-10900K | 4〜5桁 |
| 2021〜2023年 | 第11〜14世代Core | Core i9-14900K | 5桁 |
| 2023年12月〜 | Core Ultra(Series 1, Meteor Lake) | Core Ultra 7 165H | 3桁 |
| 2024年9月〜 | Core Ultra(Series 2, Lunar Lake/Arrow Lake) | Core Ultra 9 285K | 3桁 |
| 2027年(予定) | Nova Lake-S(Core Ultra Series 4/噂) | Core Ultra 9 4950K(未確定) | 4桁(回帰) |
(注:上表は正式発表内容ではありません)
■解説
Intelの命名方式は2023年のCore Ultra移行以降だけでも「iの廃止」「processor表記の追加」「Series 1→Series 2」「世代数の非表記化」と、わずか2年強で何度も変更されている。
今回もし4桁化が本当なら、"シンプルにするための変更"のはずだったCore Ultra体系が、結局また元の複雑な体系に逆戻りすることになる。
4桁化の直接的な理由は「SKUが多すぎて3桁の枠に収まらない」という、身も蓋もない技術的都合だ。
シングルタイル28コア、デュアルタイル52コア、bLLC有無、TDP違い等の組み合わせで、Nova Lake-Sは過去のどの世代よりもSKUバリエーションが多くなる見通しであり、命名方式の破綻はある意味必然だ。
2024年末のCEO交代以降、Intelのマーケティング戦略そのものが迷走しているという指摘は業界内で以前から出ており、今回の迷走もその延長線上と見る向きがある。
CPU-Zベンチマークの単体数値だけが独り歩きしやすいが、動作クロック・消費電力条件が不明な段階での「AMD超え」報道は例年恒例のリーク祭りの域を出ない。
過去にも「Nova Lake-Sは60%マルチスレッド性能向上」といった内部資料らしき画像がリークされ、後に数字の根拠が薄いことが指摘された前例がある。
今回のCPU-Zスコアも、Panther Lake用に更新されたばかりのCPU-Zが18Aプロセスを自動認識しているだけの可能性が高く、確定情報として扱うのは時期尚早
4桁復活と聞くと「またIntelが黒歴史を掘り返すのか」と身構えたくなるが、単に"番号が足りなくなった"だけというオチは意外と拍子抜け。
AMDのRyzen命名も4桁のまま10年以上続いており、結局のところ「桁数」より「一貫性」の方が消費者にとって重要という当たり前の教訓に落ち着く。
半導体業界の命名は計画変更が頻繁に起きるジャンルであり、今回のリークも正式発表までは「噂」の域を出ないことは強調しておきたい。
結局、型番が何桁になろうと、性能とワットパフォーマンスが伴わなければ意味がない。Intelが本当に見せるべきは数字の桁ではなく実機のベンチマークだ。
Nova Lake-Sは過去のリークで「Zen 6を上回る圧倒的な性能」と喧伝されていたが、直近のIntelの製品不具合や赤字決算が続いたことで、その期待値はすっかり下がってしまっている。
今回4桁表記への回帰が噂されている背景には、こうした逆風下での「今度こそ」という意気込みを感じてしまう。
Alder LakeとRaptor Lakeは同世代のAMD製品を性能面で圧倒したが、Raptor Lakeは熱による故障不具合が発生し評価を落とした。
その後のCore Ultra 200シリーズ(Arrow Lake)でもパフォーマンス不全が続いた。
Nova Lake-Sはこうした流れを踏まえると、「三度目の正直」となるかが焦点になる。