
■事実
Circanaの2026年5月レポート概要
市場調査会社CircanaのシニアディレクターMat Piscatellaが2026年5月の米国ゲーム市場データを公表しました。
5月の米国ゲーム支出総額は42億ドル、前年同月比+3%。2026年1〜5月累計は230億ドル、YTD+4%です。
ハードウェア支出は前年比**+38%**の2億4,900万ドルに拡大したが、これはNintendo Switch 2が押し上げた数字です。
Nintendo Switch 2の実績
Nintendo Switch 2(発売:2025年6月5日、米国価格$449.99)は5月も台数・金額ともに米国ハード1位。2026年の累計でも首位を維持しています。
発売から12ヶ月でのNintendo Switch 2の米国累計販売台数は590万台(Circana追跡開始の1995年以降の全ゲーム機で史上2位の立ち上がり速度)です。
首位はGame Boy Advance(2001年発売、同期間で650万台)のみです。
Switch 2のグローバル累計販売台数は2026年3月末時点で1,986万台(Nintendo公式)です。
PlayStation 5の状況
PS5の5月台数販売は前年同月比**△58%**、金額は△43%です。
「5月のPlayStation台数販売としては2000年5月以来26年ぶりの最低水準」(Piscatella)――2000年当時の現役機はPS1です。
PS5の平均販売価格は**$672**、前年比+33%(Sony2026年4月値上げが直撃)です。
2026年4月のPS5価格改定後の米国定価は通常版$649.99、デジタル版$599.99、PS5 Pro $899.99(いずれも2020年発売時より高い)です。
Xbox Series X|Sの状況
Xbox台数販売は前年比**△12%。「5月としてはXbox史上最低の台数**」(Piscatella)です。
金額は前年比+7%(台数は減っているが単価上昇で補填)です。
Microsoftは2026年8月1日より再値上げを発表はSeries S(512GB)$499.99、Series X(1TB)$799.99などです。
Xbox Wire上でMicrosoftは値上げ理由として「DRAMとストレージ価格が2.5倍超に上昇、2027年秋にはさらに倍増の見込み」と説明しています。
5月のハード平均販売価格:Nintendo Switch 2含む全体で**$502**(前年$440、+14%)、PS5=$672(+33%)、Xbox=$524(+22%)です。
パッケージソフト販売の構造変化
2026年5月までの過去12ヶ月における米国パッケージゲーム販売が前年比+3%(2009年以来17年ぶりの前年比増)、16億ドル規模です。
Piscatellaは「これはSwitch 2バンプ。Nintendoプラットフォームのパッケージ販売は前年比+26%。ただし2024年比では依然下回っており、おそらく一時的な現象」と発言しています。
Nintendo以外の全プラットフォームのパッケージ販売は依然として二桁%で減少中です。
2026年5月の米国ゲームソフト売上トップ5
- 007 First Light(Bond史上最高の発売月売上、2026年YTD4位)
- Forza Horizon 6(Xbox/PC首位、YTD5位)
- LEGO Batman: Legacy of the Dark Knight
- Subnautica 2
- Tomodachi Life: Living the Dream(Nintendo、上位唯一の任天堂タイトル)
比較表(ハードウェア 2026年5月 米国)
| 機種 | 台数前年比 | 金額前年比 | 平均単価 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| Nintendo Switch 2 | +(首位) | +(首位) | $449〜 | 発売12ヶ月、米国史上2位の立ち上がり |
| PlayStation 5 | △58% | △43% | $672 | 5月販売台数26年ぶり最低 |
| Xbox Series X|S | △12% | +7% | $524 | 5月販売台数Xbox史上最低 |

解説
PS5の「26年ぶり最低」という数字は、2000年5月の時点でPlayStationが現役機として持っていたのはPS1だということを意味する。つまり現役ハードとして今月のPS5はPlayStation史上最も売れなかった5月になった
Xbox側の「史上最低」は修飾語すら不要で、2001年の初代Xbox発売月を下回るということ。Microsoftがゲームハード事業を開始して以来、一度もなかった低水準
2機種同時に「史上最低の5月」を記録しながら、市場全体のハード支出が+38%というのは、Switch 2の単価$449と旧機種の値上がり($672、$524)が合わさった結果。「台数が減っても金額が増える」という、ゲーム市場が初めて経験するタイプの成長構造になっている
今回の値上がりの主因は半導体・メモリ価格危機(RAMpocalypse)。Microsoftが「DRAM価格が2.5倍」と公式声明に書いたことで、業界全体が構造的な価格上昇局面にあることが裏付けられた形。Sonyの値上げ・XboxのXAsterisksの値上げ・Steam Machineの$1,049という価格、全部同じ根にある。
Switch 2の$449という定価は、この状況下では「相対的な安さ」として機能している。PS5が$649、Xboxが$499〜$799という価格帯になった今、Switch 2がコスパの良い選択肢に見えてしまう皮肉な逆転現象だ。
パッケージ販売の17年ぶり増加はSwitch 2の貢献だが、Piscatella自身が「一時的」と明言していることが重要。Nintendo以外のプラットフォームで二桁減が続いている事実は変わっていない。「物理メディアが復活した」ではなく「Switchユーザーがたまたまパッケージを買う傾向がある」という解釈が正確だ。
Switch 2が「米国史上2位の立ち上がり」というのは文字通りの歴史的実績だが、GBAと比較するなら当時(2001年)はGBAが唯一の携帯ゲーム機で競合がほぼ存在しなかった。Switch 2は$449のハードとして家庭向けゲーム機との価格競争に打ち勝っており、文脈は全く異なる。
一方でPS5の「GTA 6が来なければ今期は勝てる月がない」という観測は、いまのPS5がどれだけコンテンツ依存の状況にあるかを示している。2026年後半にGTA 6がPS5を救えるか、業界の注目点はそこに集まっている。
「5月の台数で史上最低」を同時に達成したPS5とXboxが、どちらも値上げを断行しているというのは、普通の経済学では説明しづらい状況。ただ消費者にできることは値上がり前に急いで買うことくらいで、Sony値上げ前に「PS5が2026年最高の販売台数」を記録した事実がそれをよく表している。
コンソールの価格が「値上がりが当たり前」になった世界では、「待てば安くなる」という従来の購買戦略が通用しない。Switch 2の独り勝ちは、Nintendoの優れた戦略というより、競合2社が自分たちの足を撃ち続けた結果でもある。