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ValveがNVIDIAとSteamOS対応を共同開発中——完成は早くても2026年末、現実は2027年か

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リビングルームのテレビ台に置かれた光るゲーミングPC。青と緑のネオン照明が対比するように輝く。

■事実

SteamOSのデスクトップ展開とNVIDIA対応の表明

Valveのソフトウェアエンジニア、ピエール=ルー・グリファイス(Pierre-Loup Griffais)が2026年6月22日のThe Vergeのインタビューで、NVIDIAとSteamOS向けGPUドライバーサポートを「非常に緊密に共同開発している」と公式に発言しました。

同氏は「バックグラウンドで確実に進めている作業だ」とも述べており、正式な開発コミットメントであることを示す一方、トーンは慎重です。

同日、Valveは新たに「growing team(拡大中のチーム)」をNVIDIA対応専任で結成していることも明かしました。

ただし2026年内のリリースは「保証できない」とも言及しており、複数メディアは現実的な完成時期を2027年と予測しています。

この発言はSteam Machineの価格発表($1,049〜$1,428)と同日に出たもので、SteamOS拡張の発表として扱われたが、Steam Machine報道の影に隠れた格好になりました。

SteamOS 3.8:デスクトップPCへの開放

SteamOS 3.8(最新版3.8.10、2026年6月17日リリース)は、デスクトップPCへのインストールを公式にサポートした初のバージョンです。

現時点でサポートされているGPUはAMD(RX 6000/7000シリーズが最適)とIntel(Arc Bシリーズ含む)に限定。いずれも2026年6月に対応が整いました。

Intelのデスクトップ対応は同バージョンで初導入されたが、TDP制御やフレーム生成の信頼性でAMDより成熟度が低い段階です。

NVIDIA GPUユーザーは現時点でSteamOSをインストールしても動作するゲーム環境を得られませんでした。

ValveはSteamOSを「ゲーム専用機的な使い方(テレビ+コントローラー、シングルドライブ)」の用途に位置づけており、現時点ではWindowsとのデュアルブートは非推奨(将来的に対応予定)としています。

NVIDIAドライバーが難しい根本的な理由——イミュータブルOSの壁

SteamOSは「イミュータブルOS(immutable OS)」と呼ばれる設計を採用しており、ルートファイルシステムが読み取り専用(ユーザーはシステムソフトウェアを手動でインストール・変更できない)となっています。

AMDおよびIntelのGPUドライバーはオープンソースでLinuxカーネルおよびMesaを通じて統合されており、ValveがSteamOSのアップデートイメージに直接バンドルして配布できます。

NVIDIAはカーネルモジュールを一部オープンソース化したものの、ユーザースペース(描画・Vulkan・CUDA等)は依然としてプロプライエタリなクローズドソフトウェアを維持しています。

通常のLinux環境では「DKMS(Dynamic Kernel Module Support)」でNVIDIAドライバーをカーネルに組み込む方法が使われるが、イミュータブルOSではユーザーがこの作業を行えない構造です。

ValveがNVIDIAをサポートするには、NVIDIAのプロプライエタリコンポーネントをSteamOSのアトミックアップデートイメージ内に法的・技術的に正式にパッケージングする必要があり、これはNVIDIAとの直接協力なしには実現できません。

対応範囲はレンダリングの動作確認だけでは不十分であり、DLSS(Deep Learning Super Sampling)、HDR、VRR、マルチモニター構成、サスペンド/レジューム、シェーダーコンパイル、ゲームモード、キャプチャワークフローなども安定して動作させる必要があります。

NVIDIAの変化とProtonによる下地

AIブームにより、Linuxがクラウドサーバーおよびデータセンターの主流OSとなったことで、NVIDIAはLinuxへの対応姿勢を大きく転換しました。

NVIDIAはLinux向けオープンカーネルモジュールを公開し、GeForce Now(ゲームストリーミング)の公式Linux対応も実施し、Linux専門エンジニアの採用も強化中です。

Linux上でWindowsゲームを実行するValveのProton(2018年初公開)は現在までにSteamライブラリの99%以上のタイトルを動作可能にしており、OSとしてのSteamOSの実用性の下地は整っています。

ただしValoriant、Call of Duty、Battlefield、EA Sportsタイトルなどカーネルレベルアンチチートを使うタイトルはLinux上で動作しない問題が別途存在し、これはNVIDIA対応とは独立した課題となっています。

現在のNVIDIAユーザーの選択肢

NVIDIA GPUでSteamOS的な体験を得たいユーザーの現実的な選択肢は、コミュニティ製Linux「Bazzite」(Fedora Atomic系、Gaming Mode搭載)です。

BazziteはNVIDIAプロプライエタリドライバーを自動インストールする機能を持ち、SteamOSに近い体験を提供できます。(ただし公式サポートではない)

Steam MachineはセミカスタムのAMD RDNA 3(28CU)GPU搭載のため、ValveのファーストパーティハードウェアはNVIDIA問題の影響を受けません。

 

ソース:

  • WCCFtech: https://wccftech.com/valve-confirms-working-with-nvidia-to-bring-steamos-to-more-pc-gamers/
  • VideoCardz: https://videocardz.com/newz/valve-is-working-with-nvidia-on-steamos-support

解説

「NVIDIAと協力している」という発言の重さを正確に評価する必要がある——「作業中」と「リリースの見通しが立っている」は全く別物であり、Griffaisも慎重な表現を選んだ。

デスクトップゲーマーの間でNVIDIAのシェアは約75〜80%(Steamのハードウェア調査ベース)。この多数派をサポートしない限り、SteamOSのデスクトップへの拡張は根本的に限定される——「NVIDIAが入れる日が本当のスタートライン」という見方が現実的だ。

ValveのSteamOSの戦略的文脈:Steam Deckで「Linuxでゲームが動く」ことを証明→Steam Machineで「リビングルームPCとしての選択肢」を提示→デスクトップPC全般への展開、という段階を踏んでおり、NVIDIA対応はその次フェーズだ。

イミュータブルOSという設計は「ユーザーがシステムをいじれない」制約である一方、「アップデートするだけで全部動く」という家電的な動作を保証するためのもの。NVIDIAドライバーの組み込みが難しい理由はここにあるが、それが克服できれば逆にNVIDIAユーザーでも「Windowsに比べてトラブルが少ない」体験を実現できる可能性がある。

NVIDIA対応の最初のリリースは「動作確認できた」レベルであり、実用的な「Windows代替」になるには数年単位の熟成が必要——AMD対応→Intel対応の歴史を見ても、NVIDIA対応後に成熟するまでのギャップは大きいと予測できる。

アンチチート問題はNVIDIA対応とは独立した問題として残る。Valorant等のタイトルを遊ぶユーザーにとってはNVIDIA対応が実現しても「じゃあWindowsをやめよう」とはならない。

コミュニティ製のBazziteがすでにNVIDA対応で先行しているという事実は、ValveにとってBenchmark(参考点)であると同時に、「公式がなくても代替はある」というエコシステムの成熟も示している。

「NVIDIAと緊密に協力中」という宣言、2013年の初代Steam Machine時代にも似たような話があった——Linuxゲーミングとの蜜月宣言はこれで何度目だっけという温かい目で見るのもアリだ。

SteamOSとNVIDIAの組み合わせが「普通に動く日」が来るかどうかは、技術の話というより「NVIDIAがどこまで本気で関わるか」の話。NVIDIA側に動機が生まれたのは事実——AIとLinuxが切り離せなくなった今、その動機はかつてより格段に強い。

 

現時点で、SteamのハードウェアはすべてAMD製を選んでいるが、Intelと協業関係を結んだ今、これらを通じて将来的にはNVIDIA製品がSteamハードウェアの中に入っていくきっかけになるかもしれない。そう思わせる話だ。

また、GB10をはじめとしたARMゲーミングに対しても前向きな何かがあるのではないかと思わせる。

Windowsが選ばれる大きな理由の一つはゲームの互換性があるがSteamOSを通じて多くのゲームがLinuxで問題なく動きつつある今、何かのきっかけでシェアが爆発すると一気にひっくり返る可能性も出てきたように思う。ただし、あくまでも可能性で、基本的にはLinuxへ移行するユーザーは徐々にしか増えないだろう。

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