■事実
AMDが公式サイトに「Everything MacBook Neo leaves out, built in with AMD Ryzen AI processors(MacBook Neoが省いたもの、すべてAMD Ryzenに入っている)」と題した比較ページを公開しました。
AMDの主張:人気PCゲーム上位20本のうち、MacBook Neoではネイティブに動作するのは5本のみ(15本は動作しない)。Ryzenシステムは20本すべてが動作します。
比較対象のAMD側マシンは「HP OmniBook X Flip(Ryzen 5 220搭載)」です。Ryzen 5 220はZen 4(Hawk Point)アーキテクチャ、6コア12スレッド、GPU統合グラフィックスはRadeon 740Mです。
AMDはSteam・Epic Games Store・PC Game Passという3大ゲームライブラリへのアクセスを強調し、「No workarounds required(回避策不要)」の文言をボールド表示しています。
Apple MacBook Neoは2026年3月4日発売です。iPhoneと同じA18 Proチップを搭載した初のMac。価格は599ドル(教育機関向けは499ドル)からです。
A18 Proはスマートフォン向けチップながら、Cinebench 2024シングルコアでAMD Ryzen 9 9950X3Dを3%、Intel Core Ultra 9 285HXを9%上回る性能を記録している。
MacBook NeoがゲームのネイティブサポートでWindowsに劣る根本的な理由は、ARMアーキテクチャを採用しているためです。PC向けゲームのほとんどはx86(Intel/AMD)向けに開発されており、macOSで動作するタイトルはSteam全体の一部にとどまります。
MacBook NeoのゲームライブラリPR (参考)
| 項目 | MacBook Neo | AMD Ryzen PCノート |
|---|---|---|
| 上位20タイトル ネイティブ動作 | 5本 | 20本 |
| Steamライブラリ Mac対応 | 7,000本以上 | 非対象(PC全体) |
| Epic Games Store / PC Game Pass | 非対応 | 対応 |
| CrossOver等での動作 | 対応(追加費用) | 不要 |
解説
AMDの主張自体は事実だが、比較に使ったRyzen 5 220(Radeon 740M搭載)は、Ryzen Z1 Extremeのゲーム向けGPUの約3分の1しか性能がない。ゲーム適性で選んだ比較機とは言い難い。
Radeon 740Mはゲーミング目的で選ぶGPUではない。「AMD Ryzenなら20本動く」という主張の裏で、実際にそれを快適なフレームレートで動かせるかは別問題であることを強調したい。
AMDがZen 5世代ではなく旧世代のHawk Point(Zen 4)チップを比較対象に使っているのは、MacBook Neo(599ドル)と価格帯を合わせるためとみられる。QualcommもIntelも新世代チップで対抗する中、AMDは現時点でこの価格帯に直接対抗できる新チップを持っていない。
MacBook Neoのゲーム互換性の問題はAMDの指摘する通りだが、CrossOver等の互換レイヤーでかなりのタイトルが動作し、サードパーティも積極的に対応を広げている。「回避策不要」をあえてボールドにした点は、誠実さより印象操作に近い。
Steamライブラリは現時点でmacOS対応タイトルが7,000本以上存在し、AAA作品でもPorter's Gate等の対応は拡大傾向にある。「5本」という数字は上位20本の選定方法次第で大きく変わる。
A18 ProはシングルコアでRyzen 9 9950X3Dを超えるほどの設計であり、MacBook Neoはゲーム以外の用途では明らかに格上の体験を提供する。「動かないゲームがある」という欠点は本当だが、「性能が劣る」とは全く別の話だ。
ゲームが20本中5本しか動かないMacBook Neoを、ゲームが動くけどGPUがRadeon 740Mのノートで叩く図。どちらが消費者の笑顔に近いのか、考えるほど難しくなってくる。
本質的な問題は、Windowsゲームのエコシステムがx86前提で20年以上積み上げられてきた点にある。AMDが今更指摘するまでもなく、Mac向けゲームタイトルの少なさはAppleが長年抱える構造的な課題だった。
AMDが本当に怖いのは、MacBook Neoがゲームを動かすことではなく、599ドルで「十分なラップトップ」の定義を変えてしまうことかもしれない。
これだけMaacがx86陣営から狙い撃ちにされるのはそれだけAppleのブランド力が強大な証拠だろう。
私見を書かせてもらえれば、ノートPCでゲームをするユーザーはゲーミングノートを購入するし、そもそもゲームにこだわるユーザーはMacを購入しない。
ゲーマーとはゲームのためなら金に糸目はつけない。そういう種類の生き物だ。
