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Nintendo Switch 2、国内好調が利益を圧迫 円安とドル建て仕入れのジレンマ

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ゲーム機ビジネスにおける為替影響のコンセプト可視化

■事実

任天堂の古川俊太郎社長は2026年2月3日の決算説明会で、Nintendo Switch 2の日本国内販売が想定を上回った一方、これが利益面で課題となっていることを明らかにした。

第3四半期決算説明会の質疑応答で、古川社長は「ハードウェア関連の調達購入は主に米ドル建てで行われている」と説明した。

現在の為替環境下では、国内ハードウェア販売が想定を上回ることが売上総利益と営業利益の押し下げ要因になると述べた。

投資家から「調達コストの大半が米ドル建てであることを考えると、円安継続により収益性が低下しているという理解で正しいか」との質問が寄せられた。

古川社長はこれを肯定し、Switch 2の部品を米ドルで購入しているため、円安の日本で販売すると任天堂が損失を被る構造になっていると認めた。

国内でハードウェア販売が想定より好調に推移した背景について、古川社長は具体的なタイトル名を挙げて説明した。

「Switch 2ハードの初動の勢いが続く中、年末商戦期に『Pokémon LEGENDS Z-A Nintendo Switch 2 Edition』と『カービィのエアライダー』が発売された」と述べた。

これらの新作タイトルが契機となり、既存のSwitchユーザーがSwitch 2へ移行する動きが海外と比べて相対的に多く見られたという。

日本のユーザーはこれらのタイトルをSwitch 2への移行の機会と捉えた比率が高かったと分析している。

古川社長は為替前提レートについても言及した。

最新の見通しと第2四半期決算発表時に公表したレートとの乖離が大きくなったため、実態を反映する形で修正を行ったと説明した。

円安方向への見直しにより、売上高や各利益項目への一定の押し上げ効果が見込まれると述べた。

ただし、国内比率の上昇やソフトメーカータイトル比率の増加により、その効果は相殺される見込みだという。

グローバルでのハードウェアおよびソフトウェアの予想販売数量は変更していないと古川社長は話している。

ただし地域別・商品別の内訳については、第2四半期決算発表時に公表した修正予想とは前提が異なるとした。

一方で、メモリ価格高騰の影響についても質問が相次いだ。

古川社長は「メモリ関連部品については、取引先と長期的な視点で協議を行い、安定的に確保できるように努めている」と回答した。

そのため、直近のメモリ価格の高騰は第3四半期累計期間におけるハードの採算性に大きな影響を及ぼしていないとした。

第4四半期においても、大きな影響は生じない見込みだと述べた。

ただし、来期以降、部材価格の高騰が想定を超えて長期化した場合には、収益性を圧迫する可能性があると認めた。

Switch 2本体の将来的な価格変更について、現時点で決定していることはないと明言した。

価格変更については、採算性だけでなく、プラットフォームの普及状況や販売動向、市場環境などを勘案した上で総合的に判断するとしている。

任天堂株は2026年2月4日に大幅反落し、一時前日比12.6%安の8,806円まで下げた。

終値は10.9%安の8,973円だった。

第3四半期決算は好調だったものの、通期業績予想を据え置いたことなどから売りが優勢となった。

Switch 2は2025年に1,737万台を販売し、任天堂のゲーム機として歴代最速ペースで売れている。

しかし国内販売の好調が利益面でマイナスに働くという構造的な問題が浮き彫りになった形だ。

解説

正直、これは皮肉な状況ですね。

自国市場で製品が売れれば売れるほど利益が減るというジレンマに任天堂が直面しています。

通常なら国内販売好調は喜ばしいニュースのはずですが、為替とグローバルサプライチェーンの現実がそれを許しません。

仕組み自体は単純です。

任天堂はSwitch 2の部品を米ドルで購入し、日本では円で販売します。

円安が進めば、同じドル建て部品コストに対して受け取る円が目減りするわけです。

現在1ドル150円前後という円安水準ですから、影響は小さくありません。

特に年末商戦期の『ポケモン LEGENDS Z-A』と『カービィのエアライダー』が効いたようですね。

これらのタイトルは日本市場で非常に強い訴求力を持っています。

初代SwitchからSwitch 2への移行を促進するという戦略的には成功したわけです。

しかし財務的にはその成功が裏目に出た格好になりました。

海外市場、特にドルで販売する北米市場なら話は違います。

ドルで部品を買ってドルで売るわけですから、為替リスクは限定的です。

むしろ円安は海外売上を円換算する際にプラスに働きます。

ところが日本では真逆の構造になってしまうんですね。

古川社長が「国内比率の上昇が円安による売上押し上げ効果を相殺する」と説明したのはこのためです。

しかも任天堂にとって日本は無視できない市場です。

グローバル企業とはいえ、自国市場での存在感は依然として大きい。

ここでSwitch 2が想定以上に売れてしまったことが、利益構造に影を落としています。

加えてメモリ価格高騰の懸念も重なっています。

AI需要によるメモリ不足は業界全体の問題ですが、Switch 2も例外ではありません。

LPDDR5Xメモリは2025年第4四半期だけで41%も値上がりしたとの報道もあります。

NANDフラッシュも8%の値上がりです。

古川社長は「直近は大きな影響はない」としていますが、これは既に契約済みの部品で生産している分があるからでしょう。

2026年度以降の生産分については、この高騰したメモリ価格が反映される可能性が高い。

そうなると本体価格の値上げという選択肢も現実味を帯びてきます。

古川社長は「現時点で価格変更は決定していない」と明言しましたが、含みを持たせた言い方です。

「普及状況や市場環境を勘案して総合的に判断する」というのは、要するに「状況次第では値上げもあり得る」ということですからね。

実際、PS5やXbox Series X/Sは過去にメモリ価格高騰や為替を理由に値上げしています。

Switch 2も同じ道を辿る可能性は十分あります。

ただし、古川社長が強調したのは「ハードを赤字で売らない」という基本方針でした。

ソニーやマイクロソフトと違って、任天堂はハード販売時点で利益を確保する戦略を取ってきました。

この方針を維持するなら、コスト増は価格転嫁するしかありません。

投資家の反応も厳しかったですね。

決算内容自体は悪くなかったのに、株価が一時12.6%も下落しました。

メモリ高騰リスクと国内販売好調が利益を圧迫する構造が嫌気されたのでしょう。

通期業績予想を据え置いたことも失望を招きました。

市場は上方修正を期待していたはずです。

結局のところ、任天堂は複数の逆風に同時に直面しています。

円安、メモリ高騰、そして国内市場での予想外の好調という三重苦です。

皮肉なことに、最後の一つは本来なら喜ぶべきニュースなんですけどね。

グローバルビジネスの難しさを象徴する事例と言えそうです。

 

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