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VRヘッドセットの状況について-2024年6月Steamハードウェア調査

更新日:

前回、2023年12月のSteamハードウェア調査をもとにVRヘッドセットの状況を分析しました。

半年後の現在、どのような変化がVR市場に起きたのか見ていきましょう。

 

※ Steamハードウェア調査に関する注意

Steamハードウェア調査の対象は調査に同意したユーザーになります。

決してSteamの全ユーザーが対象であるわけではありません。

またその性質上、Steamのみのユーザーしか対象になっておらず、必ずしも実態を反映しているわけではありません。

調査は月ごとに行われていますが、標本数が月ごとに増加すると言った保証はありませんし、調査の総数も公開されていないようです。

以上のことから、一種の指標であり、絶対に正確というわけではないことに注意してください。

2024/6使用率2023/12使用率増減
Oculus Quest 238.27%37.87%0.40%
Valve Index HMD16.45%18.17%-1.72%
Meta Quest315.49%9.27%6.22%
Oculus Rift S7.63%9.84%-2.21%
HTC Vive4.17%5.40%-1.23%
Windows Mixed Reality3.98%5.04%-1.06%
その他14.01%9.56%4.45%
Steamユーザー
ヘッドセット
使用率
1.75%1.84%-0.09%

上の表は主なヘッドセットの使用率を現しており、「主なヘッドセット」と判定する基準は5%としている。

前回の調査も含めているが、そこで5%を越えなかった場合、表から消えるということになる。

今回、初代Oculus Riftが表から消えた。

順当にいけば次は初代HTC ViveとWindows Mixed Realityが消えることになるだろう。

表から消えていくヘッドセットが多いということは有力な新製品が発売されていないということでもある。

 

Quest2出荷終了

Quest2は128GB版が3/21に31,900円に値下げされた後、現在では販売が終了している。

現在、市場に残っているのは在庫品のみだろう。

Vroject Venturaというコントローラーなしで200ドルクラスの廉価版が販売されるとのうわさが出ていたが現時点ではまだ発売されていない。

ここ1年でVRを巡る情勢は大きく変化しており、収益性の低い事業、見込みのない製品は切り捨てられる傾向にある。

どうなるのかはまだ不明だが、日本円で30,000円程度の製品は入門機としてぜひ残してほしいところだ。

 

Quest3の使用率が15%超に

前回の調査から6%以上アップして15.49%になった。

景気の良い話のないVR市場で唯一気を吐いている製品といってもよいだろう。

それでもQuest2発売時と比較するとやはり勢いはあまり強くない。

今のMetaにそれほどの余力があるのかどうかは不明だが、ぜひテコ入れを期待したいところです。

 

メーカーごとの内訳

2024/6使用率2023/12使用率増減
Meta(Oculus)合計66.84%63.70%3.14%
Meta Quest 315.49%9.27%6.22%
Oculus Quest 238.27%37.87%0.40%
Oculus Rift S7.63%9.84%-2.21%
Oculus Rift3.72%4.85%-1.13%
Oculus Quest1.04%1.37%-0.33%
Meta Quest Pro0.64%0.44%0.20%
Oculus Rift DK20.04%0.04%0.00%
Oculus Rift DK10.01%0.02%-0.01%
Valve合計16.45%18.17%-1.72%
Valve Index HMD16.45%18.17%-1.72%
HTC合計6.67%8.56%-1.89%
HTC Vive4.17%5.40%-1.23%
HTC Vive Pro1.14%1.22%-0.08%
HTC Vive Pro20.74%0.81%-0.07%
HTC Vive XR Elite0.40%0.40%
HTC Vive Cosmos0.22%1.13%-0.91%
WindowsMR合計3.98%5.04%-1.06%
Windows Mixed Reality3.98%5.04%-1.06%
その他6.06%5.41%0.65%
総計100.00%100.00%0.00%

Meta社のシェアが66.84%へ

ついにMeta社のシェアが66.84%になりました。

2016年のVR黎明期に大ヒットしたHTC Viveや初代Riftが使用率を落とす中、Meta社の製品に人気が集中しているといってもよいでしょう。

このまま順調にMeta社がシェアを拡大していけば、次回の調査で70%の使用率に達してもおかしくはありません。

ただし、VR市場をけん引してきたQuest2が販売終了し、ポストQuest2ともいうべき存在はいまだ姿を現しません。

VRの普及や新規層の獲得に大きな力となっていただけに、ぜひともQuest2の(価格的な)後継機の発売を期待したいところです。

 

前回からの主なニュース

Apple Vision Proが日本国内販売

599,800円という超高級VR HMDであるApple Vision Proが発売されました。

空間コンピューターということですが、現時点では何に使うのかよくわからないデバイスとなっています。

解像度は片目3.8K×3K、SoCはM2となっており、片目4Kクラスの描画を行うGPUとしてはあまりに性能が不足しており、非常にアンバランスなデザインとなっています。

現時点では原型機もよいところなのでしょうからVR機器という形をとってはいますが、Appleが最終的に作りたいのはウェアラブルiPhoneだとわたくしは考えています。

そのため、視線誘導による操作やコントローラーによらなUIや操作体系を確立したいのだと思います。

きわめて実験的なデバイスと現時点では評価せざるを得ないと思います。

VRゲームを楽しむデバイスとしては全く役に立たないHMDだと思います。

 

PSVR2がPCに開放される

公式でPCに接続できる接続ユニットが発売され、PCVRとして使うことができるようになりました。

ただし、PSVR2の特徴的な機能はほとんど使えなくなっており、PCVRとして使う場合はあまり特徴のないVR HMDとなっています。

同時期にソニーはVRゲームを開発していたロンドンスタジオを閉鎖、ゲーム業界ではせっかく買収したゲームスタジオにリストラの嵐を吹かせており、ちょっとどうなのかと個人的にも思います。

残念ながらソニーはVR事業を採算が取れず将来性がないと判断した可能性が高く、今後ソニーが自社のファーストタイトルをPSVR2向けに出す可能性は極めて低くなったと判断してもよいでしょう。

これによって「VRは儲からない」「VRには未来がない」という認識が業界全体に共通化されたといってもよいと思います。

VRに残された希望はMeta社のみとなったといってよいでしょう。

 

 

総評:

Meta社の寡占が進む中、VRゲーム事業に見切りをつける企業も出始めており今後も統廃合、整理が進んでいくものと思います。

VRゲームはChronosやオノゴロ物語、Ruins Magusなどの意欲作も出る中、VR HMDの普及という点では初心者が手軽に手を出せるVR HMDがなくなってしまいました。

液晶パネル2枚とSoC、無線のコントローラーが2台必要なVR HMDを安価にするのは非常に困難ですが、Metaにはぜひとも頑張っていただきたいところです。

Quest3はMR機能が実装され、確かに素晴らしいと思いますが、ほぼ同じ価格のPSVR2がすでに事業から実質的に撤退しているという点で考えるとやはりVR HMDの価格が7.5万円というのは高すぎるのだと思います。

次回の調査までに有力な低価格デバイスが発売されることを願いつつ、今回の記事を締めたいと思います。

 

 

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