目次
他製品との比較:7000MB/s超クラス PCIe 4.0×4 SSD 2TB/4TB 製品比較 PS5対応
概要
今回、Hanyeの日本代理店であるJNHから出ているNVMe Gen4 SSD JNH S750-4TGHSを購入しましたのでレビューします。
この製品を販売しているJNHは日本語表記で嘉年華株式会社(カネカ カブシキガイシャ)で英語名表記がJNH Co., Ltd.となるようです。
なぜカネカがJNHになるのか意味不明ですが、元々中国語なのでしょうから、ピンインで表記した時の頭文字をとったものなのかもしれません。
私は中国語は堪能ではありませんのではっきりとはしません。
創業は意外と古く2006年となります。
これは私も知りませんでした。びっくりです。
私が以前レビューしたHanyeの製品を主に取り扱っているようです。
レビュー品の紹介
中にはブリスターと説明書が入っています。
説明書は日本語です。
本体表
本体裏
購入した理由は安かったからです。
ブラックフライデーセールで税込24,580円でした。
少し前まで4TB SSDと言うと発狂しそうな価格で売られていましたが、ついに4TBもここまで来たかと言う感じです。
中身は恐らく、HanyeのHE80-SSDと同じものだと思われます。
ただし、Hanyeの日本語ページには2TB版だけしかラインナップされていません。
また、本製品、S750はJNHの製品ページにはそもそも記載がありません。
ネットではYMTCの232層NANDを使ったHIKSEMIのOEM品(通称:蝉族)として一緒くたにされているようですが、本当かな?
と言うことで中身を見ていきましょう。
製品の仕様を見てみましょう。
容量 | 1TB | 2TB | 4TB |
型番 | S750-1TGHS | S750-2TGHS | S750-4TGHS |
フォーム ファクター | M.2 2280 | ||
コネクタ | M.2 (M key) | ||
インターフェイス | PCIe Gen4×4,NVMe 1.4 | ||
サイズ | 80.0±0.15 × 20.0±0.15 × 2.15±0.08 | ||
シーケンシャル リード(最大) | 7,400MB/s | 7,400MB/s | 7,400MB/s |
シーケンシャル ライト(最大) | 6,700MB/s | 6,700MB/s | 6,700MB/s |
TBW | 750TB | 1500TB | 3000TB |
動作電圧 | 3.3V±5% | ||
温度範囲 | 0~70度(動作時),-40~80度(保存時) |
※ 容量をクリックすると販売ページが別Window・タブで開きます。
ちなみにこの表は製品の箱の裏に書いてあるものそのままです。
これでは詳細があまりわかりません。
HanyeのHE80-SSDからスペックを引っ張ってくると
搭載Flashは3D TLC NANDとなります。
確定情報ではないので注意してください。
このままでは全く詳細がわかりませんので、flash_idにかけて調べてみましたが、maxioでもinnogritでもないようです。
maxioのflash_idは途中で止まり、innogritは最後まで通りましたが、不明なIDと表示されてコントローラーは何かわかりませんでした。
仕方がないのでテスト終了後、放熱シートを剥いてチップの型番を確認してみました。
チップ部分の拡大・コントローラー
チップの拡大Flashメモリチップ。同じものが4枚付いていました。
コントローラー:TenaFe TC2201
フラッシュセル:YMN0ATF1B1JPAD(YMTC TLC?)
フラッシュセルの型番「YMN0ATF1B1JPAD」で検索しても有意な情報は得られませんでした。
よってTLCなのか、YMTCの232層NANDが使われているのかどうかはハッキリしません。
SSDコントローラーメーカーのTenaFeは中国のSSDコントローラーのベンチャーのようです。2021年に最初の製品を出したようですから、かなり若い会社と言うことになります。
フォーマット後の容量は3.72TBでした。
検証環境
- CPU:AMD Ryzen 9 7950X
- CPUクーラー:Deep Cool AS620
- マザーボード:TUF Gaming X670E-PLUS
- SSD:M2_2(チップセット側PCIe Gen3×4) Moment MT34 NVMe Gen3 SSD 256GB(システムドライブ)
- M2_1(CPU側PCIe Gen5×4・自動認識) JNH S750-4TGHS NVMe SSD (今回レビューするSSD)
- 電源:Corsair ATX 1000W電源 RM1000e
- メモリ:Crucial DDR5-4800 定格メモリ16GB*2=32GB
- ケース:Fractal design Define R7 Wihte
- OS:Windows11 (最新大型パッチ及びWindows Update適用済)
今回からしばらく、AMD環境にてテストすることになりました。
Define R7 Wihteはサイドパネルを開けてベンチ台ライクに使っています。
今回はトップフロークーラーではなく、DeepCoolのAS620を使っています。
SSDのヒートシンクはマザーボード付属のものではなく、単体売りしている製品を使っています。
理由はツイートでも報告しましたが、以前のテスト環境ではマザーボードに付属のものは2枚をいっぺんに冷やす一体型になっており、一方が爆熱だとシステムドライブの調子がおかしくなるからです。
使ったのはAWD-MCS01と言う製品ですが、すでに終売になっているようです。
上は比較的よく似た製品だと思います。
SSDは最大の能力が発揮されるようにCPUからのPCIe5.0×4が出ているM2_1に取り付けています。
Crystal Disk Info9
特に不審な点はありませんでした。
Crystal Disk Mark 8
ストレージの速度を計測する定番のベンチマークソフトCrystal Disk Mark8で速度を計測してみた。
Crystal Disk Mark8はデフォルトでは1GiBのテストデータで5回速度を計測して一番数字が良かったものを表示する。
ストレージの一番良い状態での速度を表示するソフトだ。
シーケンシャル性能
シーケンシャル性能のメーカー公称値はリード7400MB/sとライト6700MB/sだ。
Gen4 SSDではおおよそ7000MB/sを超えると環境依存してくるように思いますので、7400MB/sだと出ない可能性もある。
しかし、X670Eと言う最新・最強の環境ですから、十分に出る可能性もありますので、期待してベンチマークしてみた。
結果は御覧の通りで1GiBのリードは7000MB/sは超えたものの、公称値には遠く及ばない結果になった。
ただしテストデータ8GiBではリード7138.87MB/s、ライト6670.27MB/sだったので上の結果と併せると、ライトは公称値達成、リードは一歩及ばない結果になった。
X670EのCPUからのM.2スロットでこの結果なので公称値がどのような環境で測定したのか気になるところだ。
Intel環境が戻ってきたら念のために測定してみたい。
ランダム性能
ランダム性能はリード884K IOPS、ライトは819K IOPSとなっている。
スペック表には公称値の記載はない。
QLCのHIKSEMI FUTURE Lite SSDと比較しても遅いので、私にとってはそれなりに高価だった虎の子の4TB SSDでこの結果は非常に残念。
TenaFe TC2201はランダム性能はMaxio MAP 1602に及ばない。
どちらもDRAMレスのコントローラーだが総じてMaxio MAP 1602のほうが優秀だ。
8GiBと64GiBの結果と併せて以下にグラフとしてまとめた。
2TBクラスまでのSSDだと1GiBの結果が一番良いことが多いが、ライトを除いて8GiBの結果が一番良かった。
4TBクラス固有の性質なのかTC2201の特性なのかまでは判断が付かない。
ATTO ベンチマーク
ATTOベンチマークはSSDのブロックサイズの速度を測定するベンチマークだ。
QD1
QD4
AS SSD ベンチマーク
AS SSDベンチマークはSSD専用のベンチマークテストだ。
空き容量が少なくなってきたら、どのように速度が変化するか?
最近のSSDはフラッシュセルをSLC化してキャッシュにしているが、残り容量が少なくった時の速度の変化を見るちょっと意地悪なテストだ。
USB接続の2.5'HDDから1TBのデータを3つコピー
1個目
2個目
3個目
1個目のファイルは4.4GB/sから3.7GB/sに速度が落ちてからそのままコピーされた。
2個目のファイルから途中で大きく速度が落ち、330MB/sから680MB/sの間を行ったり来たりしながらゆっくりとコピーが進んだ。
途中で一度速度が3.7GB/s辺りまで回復したもののまたすぐに速度が落ちた。
3個目のファイルは330MB/sから680MB/sの間に速度が落ちたままだった。
一時間以上の時間を要した。
容量の調整用ファイルをコピーし容量を残り512GBに調整。
SSを取り忘れたので存在しない。
残り512GBになったところで2.5'USB-HDDから256GBGBのデータをコピー
当初は普通にコピーが進んでいたが、330MB/sから670MB/sの間を行ったり来たりしながらゆっくりとコピーが進んだ。
さらに残り容量256GBになったところで2.5'USB-HDDから128GBのデータをコピー
残念ながら、空き容量が小さくなってきたら空き容量の半分程度の巨大なファイルのコピーを快適にはできないようだ。
Windowsの標準機能のみを使たSSDにとっては結構シビアなテストと思うが、巨大なファイルのコピー先として使うには注意が必要だろう。
MaxioやPhisonを見ているとかなり物足りない結果になった。
温度の変化
Crystal Disk Mark8を回数9、テストデータ8GiBで実行し、実行中の温度を監視
54度張り付きのままだった。
どんなに過酷な使い方をしても54度までしか温度が上がらないスーパーテクノロジーを搭載しているようだ。
非常にすばらしい・・・・わけはなく、54度以上は表示させないようにしているようだ。
WINTENのSSDもそうだったが、本来SSDを障害から守るためのSmart情報をこのように加工するのはいかがなものかと思う。
ちなみにCrystalDiskInfoのSSを見ればわかる通り、54度以下は普通に表示されている。
低いときは正常に表示されるので注意してみてみないとなかなか気が付きにくいだろう。
総評
TenaFeのTC2201を搭載した変わり種のSSDだったが、やはり性能はMaxio MAP1602搭載モデルと比較すると一段落ちる。
100GBを超えるような巨大なファイルのコピーにはかなり弱く、残り容量が少なくなってくると速度が落ちる場面が増えるだろう。
特にドライブ温度に関しては54度以上は表示しないようにされているのはいかがなものかと思った。
世間ではHIKSEMIのOEMを「蝉族」などと呼称しているようだが、残念ながらこのSSDに蝉族と同じ使い勝手を求めるのは厳しいと言わざるを得ない。
唯一優れている点を挙げるとすれば、1TBに付き750TBWの耐久性だが、これも飛びぬけているというわけではない。
JNH S750-4TGHSは安価で販売されているならば値段によっては選択するのもありと思う。
しかし、ドライブ温度が完全には表示されないのでかなり冷却には気を遣うだろう。
大人しくHIKSEMIのOEMである蝉族のSSDを購入したほうが良いだろう。
今回検証した製品
2TB版