Crytekは、NVIDIAとAMDのほとんどの主流で現代的なGPUで動作すると言われている新しいリアルタイムレイトレーシングデモを公開しました。
最も視覚的に印象的なFPSフランチャイズの1つであるCrysisの背後には、AMD Radeon RX Vegaグラフィックカードで実行された新しい「Noir」デモがあり、NVIDIA RTXグラフィックカードがなくてもレイトレーシングが可能であることを示します。
Crytekは、ほとんどのAMDおよびNVIDIA GPU上で動作するCRYENGINEに基づくリアルタイムレイトレーシングデモであるNoirを披露(RTX不要)
Noirデモは、CRYENGINE内で作成され、AMD Radeon RX Vega 56グラフィックスカードでリアルタイムにレンダリングされたさまざまなシーンを持っています。
この特定のデモはCRYENGINE 5で実装される実験的なレイトレーシング機能を利用します。
レイトレーシングは反射と影の質を高めるために使用されてきましたが、この特定のデモはリアルタイムのレイトレーシング反射に焦点を合わせて見事です。
Crytek氏は、デモの作成に使用されたCRYENGINEのTotal Illuminationに基づく実験的レイトレーシング機能はAPIとハードウェアにとらわれず、レイトレーシングをほとんどの主流、現代のAMDおよびNVIDIA GPUで実行できると述べています。
ただし、この新しいCRYENGINEテクノロジの将来の統合は、最新世代のグラフィックスカードおよびVulkanやDX12などのサポートされているAPIによって提供されるパフォーマンスの向上の恩恵を受けるように最適化されます。
Crytekは、CRYENGINEの研究開発プロジェクトの結果を示す新しいビデオを公開しました。
ネオンノワールは、リアルタイムメッシュレイトレース反射と屈折がゲームに非常にリアルなビジュアルを提供する方法を示します。
Neon Noirデモは、リアルタイムの光線追跡を紹介するCRYENGINEのTotal Illuminationの新しい高度なバージョンで作成されました。
この機能は2019年のCRYENGINEリリースロードマップに追加され、世界中の開発者がこの機能のプロダクション対応バージョンを使用してより没入型のシーンをより簡単に構築できるようになります。
レイトレーシングは、複雑な照明動作をシミュレートするレンダリング手法です。
リアリズムは、目立たないエネルギーの部分の伝播とそれらの表面との相互作用をシミュレートすることによって実現されます。
現代のGPUでは、レイトレーシングは、ビデオゲームのようなリアルタイムアプリケーションと、キューブマップのような従来よりリソースを消費しないレンダリング技術との組み合わせにより広く採用されるようになりました。 該当する場合は利用
CryEngineより
これで、AAAタイトルでのリアルタイムレイトレーシングの実装がいくつか見られました。
Metro ExodusとBattlefield Vはどちらもリアルタイムレイトレーシングの主力キャリアですが、これらの強力なグラフィック機能はNVIDIAのRTXグラフィックカードでのみ有効にできます。
CrytekがRadeon RX Vega 56グラフィックスカードでデモを実行できたことを考えると非常に印象的ですが、NVIDIA RTXグラフィックスカードでの追加のレイトレーシングパフォーマンスが、RTX以外の同等性能のパーツよりもさらに優れたパフォーマンスを実現できるかどうかを見るのは興味深いでしょう。
(例:NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti対NVIDIA GeForce RTX 2080)。
新しいリアルタイムレイトレーシング機能とCRYENGINE 5は、来週から始まるGDCでの興味深い話です。
たぶん私達は性能と様々なハードウェアサポートに関してより多くの詳細を見るようになるでしょう。
しかし、より多くの開発者と主要なエンジンが、今日のグラフィックスカードに対するよりオープンなサポートでレイトレーシングを可能にすることは嬉しいニュースです。
解説:
当サイトではほかのハードウェア系のリーク情報を扱うサイトさんと違ってレイトレーシングに関する情報は動向を追っていきたいと思います。
本題に入る前に昭和時代のレイトレーシングに関して、こんな感じだったという実例です。
私が見たことがあるのは当時の最新鋭・最高性能機種であるPC-9801上のBASICで走らせるレイトレーシングですが、それでも丸一日以上は掛かっていた記憶があります。
レイトレーシングというのは昨今出てきた技術ではなく、昔からあります。
上のリンクはなんと8bit機によるレイトレーシングですが、実機では終了まで1週間ほどかかっていたそうです。(ただし、上のページのデモ自体は現在のPCでエミュレートしているっぽいので、すぐに終わります。)
昔はこんな簡単な画像でもリアルタイムでできるようなレベルではなかったので夢の技術だったという感じです。(笑
懐かしいという人もいるんじゃないですかね。
というわけで昔話はこの辺にして、RTXを使わないレイトレーシングの可能性についてお話したいと思います。
この昔話をしたのはレイトレーシングがRTX専用のものではないということを知っておいてほしかったからです。
動画のデモはレイトレーシングに関するハードウェア支援機能を搭載していないAMDのRadeon Vega 56によるものですが、きちんとリアルタイムで描画できています。
ゲームに落とし込めるところまで来ているのかどうか迄ははっきりしませんが、RTX無しでも実用的なレベルには達しているようです。
大本営に近いところからの発表ですから何とも言えませんが、レイトレーシング前提で開発すると省力化にもなるそうです。
ゲームソフトの開発についてはどこもコストの増加にヒイヒイ言ってますので、この手の話にはかなり注目しています。
このコストの省力化が実際にどのレベルなのかはもちろんわかりませんが、圧倒的に省力化できるならば、高画質化の恩恵と合わせて、どこの開発会社もこぞって採用する可能性が出てくるでしょう。
また、有望な技術であるならば、ソニーあたりが投資してくれるんじゃないかと期待しています。(というかもうソニーに売り込んでるのかもしれませんが・・・)
ゲーム機のGPUにはレイトレーシングのハードウェア支援機能が搭載されないことが確定しているので、最新鋭技術に対応するために何らかの働きかけはあると思っています。
今回の話はVegaですが、Naviは性能的には丁度今のVega56/64の前後(=最上位のNaviでGTX1080程度)になるといわれていますので、Vega56でできるならばNaviでも十分可能と思います。
ですから、ゲーム機でゲームをされているファンの方も「PS5はAMD製のGPUを使っているからレイトレーシングはできない」と簡単に決めつけるのは早いかもしれません。
Xboxもマイクロソフトが発売しているわけですが、PCではDXRでnVidiaと組みつつ、XboxではAMDのGPUを採用しているのですから、PCの世界は本当に面白いです。
この、RTX無しのレイトレーシングがどんな風に発展していくのかによって、RTXの今後の意義が変わってくると思います。
今のところまだ技術的な成果をアピールするデモが出てきている段階ですが、実際のゲームに取り込めるものなのかどうか、動向は引き続き追っていきたいと思っています。
この技術がどんなものなのかによってRTXの意義自体が全く変わってしまう可能性もあります。
nVidiaがこの技術についてどんなふうに考えているのかぜひともコメントが欲しいところです。