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インテル Core Ultra 7 268V 「Lunar Lake」、初期レビューで印象的なシングルコア性能を示す

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ベトナムのYouTuberがインテル Core Ultra 7 268V 「Lunar Lake 」チップをベンチマークし、様々なテストで8c/8t CPUの真のポテンシャルを明らかにした。

シングルコア性能がRyzen AI HX 370を上回るインテルCore Ultra 268V 「Lunar Lake 」CPUは様々なテストで輝く

インテルLunar Lakeモバイルチップは9月3日に発表されたが、このチップを搭載したノートパソコンは来週24日にデビューする予定だ。

Lunar Lake Core Ultra 200V CPUは、Lion Cove P-CoreとSkymont E-Coreの組み合わせにより、最大限の電力効率を実現している。

これらのチップの性能と効率に関する情報は、同社自身からしか得られていないが、初期のレビューにより、Core Ultra 200Vプロセッサーの使用感が明らかになった。

ベトナムのYouTubeチャンネル ThinkViewは、インテルCore Ultra 7 268V 「Lunar Lake 」CPUをDell XPS 13ラップトップに搭載し、AMDとAppleのライバルとベンチマークを行った。

テストに使用したノートパソコンはDell XPS 13 9350で、Core Ultra 7 268V、32GB LPDDR5X-8533メモリー、Windows 11 Home OSを搭載している。

CPUIntel Core Ultra
268V(15W)
AMD Ryzen AI
9 HX 370(21W)
Apple M3(6W)
Cinebench R23
Single-Core
2,0542,0491,932

表からわかるように、15WのインテルCore Ultra 268Vは、シングルコア性能で21WのRyzen AI 9 HX 370と6WのApple M3を圧倒している。

268Vはわずかに高いスコアを出しているだけでなく、Ryzen AI 9 HX 370よりも電力効率に優れている。

それでも、Apple M3は効率部門では依然として無敵だ。

しかし、Core Ultra 268VはRyzen AI 9 HX 370およびRyzen Z1 Extremeに対して競争力のあるスコアを達成しなかったため、マルチスレッド性能はそうではなかった。

Core Ultra 268Vは、低負荷から中負荷をターゲットとした電力効率に優れたチップであるため、競争力のあるマルチスレッド性能を提供することを目的としていないことを覚えておく必要がある。

また、Ryzen AI 9 HX 370とRyzen Z1 Extremeは、それぞれコア数とスレッド数が大幅に多い。

Z1 Extremeは16スレッド、Ryzen AI 9 HX 370は24スレッドであるのに対し、268Vチップはわずか8スレッドだ。

TimeSpyのグラフィックテストでは、Core Ultra 268Vが再び輝き、Ryzen AI 9 HX370の3562点に対して3715点という好成績を収めた。

これは、Arc 140VのGPUがライバルに対して本当に優れており、ほとんどのゲームを問題なくプレイできることを示している。

ただし、268Vは17Wで動作するが、Ryzen AI 9 HX 370を使用するラップトップはもっと高いTDPに設定できることを覚えておいてほしい。

これは、Dell XPS 13が17Wモードでしか動作しないのに対し、Ryzen AI 9 HX 370を搭載したVivobook S14は55Wに設定できたため、Dell XPS 13のゲーミング性能が後退していることをレビュアーが示している。

Ryzen AI 9 HX 370は、Core Ultar 268Vが30%台半ばにとどまったのに対し、Far Cry 6で50Fps以上に達することができた。Black Myth: Wukong』では、AMDチップは100FPS以上、インテルは50FPS前後にとどまった。

これは、インテルのArc 140Vが優れたiGPUであっても、CPU+GPUの組み合わせが全体的な性能を左右することを示している。

したがって、Lunar Lakeは、インテルMeteor Lakeチップで動作するClaw 7の後継機である次期MSI Claw 8のようなハンドヘルド機にとって優れたものになるだろう。

また、Core Ultra 200VのXe2 GPU用の公式ローンチ・ドライバーが利用可能になれば、ゲーム性能の向上も期待できる。

インテルは、Lunar LakeベースのノートPCの効率とバッテリー駆動時間を重視している。

レビューでは、このノートパソコンは55Whのバッテリーで最大5.30時間駆動することがわかった。

これはまずまずの結果だが、インテルが発表した謳い文句には及ばない。

もちろん、バッテリーが70Whを超えれば、バッテリー駆動時間は延びる。

このベンチマークはエンジニアリング・ユニットで行われたもので、他のレポートでも素晴らしいバッテリー駆動時間の数値が確認されている。

しかし、3Dレンダリングやビデオ編集、ゲームなどの負荷の高い作業をディスクリートGPUなしで行おうと考えているユーザーには、現時点ではAMDのStrix Pointの方がいいだろう。

ソース:wccftech - Intel Core Ultra 7 268V “Lunar Lake” Shows Impressive Single-Core Performance In Early Review

 

 

 

 

解説:

LunarLakeのテストをベトナムのYoutuberが行ったようです。

ちなみにですが、ベトナムのYoutuberが真っ先にテスト機を手に入れているのは半導体の製造・研究基地が中国からASEANに移りつつあるということなのでしょう。

米中貿易摩擦の影響で半導体関連の製造は急速に中国から脱出してASEANに移っているようですが、まったく関連性がない国の人が真っ先に情報は出せないはずです。

さて、前置きはこのくらいにして、ちょっと内容を見てみましょう。

まず、このテスト自体がちょっとピントがずれています。

LunarLakeの最大の売りは効率のはずですが、AppleのM3と比較すると効率の面で負けています。

そのため、効率を語りながら比較の物差しが性能になっており、効率を誇るLunarlakeの性能が良く分からない、わかりにくくなっています。

このテストから判断すると結局Appleシリコンには効率の面で遠く及ばないということになるんじゃないかと思います。

ただし、Snapdragon X EliteやRyzen AI HX370といったCopilot+のライバルに比べると性能でも効率でも圧勝していることは特に指摘しておきます。

十分な性能を誇っているうえに生産性にも問題がないと聞いています。

生産性に不安があるといわれている、Snapdragon X Elite、Ryzen AI HX 300と比較するとおそらく、比較的購入しやすい価格で大量に出荷されるのではないかと思います。

 

効率の面で比較してみると。

Ryzen AI HX370はTSMC4nm

Snapdragon X EliteもTSMC4nm

となっています。

しかし、LunarLakeだけはCPU TileがTSMC3nm、SoCタイルがTSMC6nmとTSMC3nmの恩恵を唯一受けており、これが効率や性能の面で差が付いている理由でしょう。

金を使って最新プロセスを抑えられるかどうか、結局最先端半導体製品というのはどのくらいの資金力で競争相手を殴れるかにかかっているということがよくわかります。

唯一効率でLunarLake圧倒しているAppleもTSMC3nmを採用しています。

翻って見ると同世代の製造プロセスを使うARMには効率で勝てないともいえる結果になっているのは皮肉です。

 

Intelの今後

ArrowLakeとLunarLake、どっちが当たり製品かといわれれば、間違いなくLunarLakeの方でしょう。

IntelはTSMCを使うとほとんどもうからないと発言しています。

事実、現在のIntel製品はAMDなどの競合他社と比較すると割安な印象があります。

Intelは自社Fabを使った方がコストが安く上がるのでしょう。

しかし・・・・

 

崩れるIntelの垂直統合製造方式

EUV世代に入ってから、莫大な開発コストがかかるようになり、自社の製品のみでは開発コストを賄えなくなったといわれています。

Intelが突然「他社からの生産を受け付ける」と言い出したのはそれが理由です。

実際にIntelのFabでは他社からの受注を目指して営業しているようですが、結果は芳しくないようです。

他社からの受注が多いのはIntel18Aのみといわれており、Intel20Aはキャンセルされ、LunarLakeやArrowLakeはTSMCより優れた製造プロセスを抱えているのにも関わらず、TSMCで生産しています。

理由はFabの投資が回収できるめどが立たなかったからでしょう。

その18AもBraodcomの基準をクリアできなかったといわれており、なかなかに厳しい状況になっています。

半導体は山師の商売といわれていますが、地上最強の山師TSMCと互角以上に戦うのはIntelをもってしても簡単ではないということです。

このままの状況が続くとIntelは自社Fabを抱えきれなくなる可能性が高いと私は思います。

IntelのFabが世界最強の座に返り咲けるかどうかはIntel18Aの成功にかかっていると思いますが、絶対に成功するとも絶対に失敗するとも言い切れないです。

しかし、TSMC2nmより先にロンチする予定だったIntel20AがキャンセルされたことによってIntel18Aは来年に量産開始予定のTSMC2nmと同時期になってしまいました。

同時期になってしまった以上、実績の高いTSMCと互角以上に戦っていくのは難しいと思います。

IntelのFabがTSMCとの勝負に勝つ、もしくは互角で存続できたとしても分社化して、独立させ、リスクを外に出し、Apple、AMD、NVIDIAなどから出資を受け、受注を取りやすくするというスタイルに変更しない限り。リスクをIntel一社で抱えるのは今後はかなり難しいでしょう。

とりも直さずそれは、コスト的にも他社と平滑化していくということであり、今後はIntelの優位性の一つであった垂直統合製造方式によるコストの低減はなくなっていくと思います。

 

余談:LunarLakeをモバイルゲーム端末としてみると、主にドライバの安定性・信頼性に不安があって私は「ないかなあ」と思います。

その他の用途には素晴らしい性能を発揮してくれるでしょう。

 

 

 

Core Ultra 200Sシリーズ

ソケットLGA1851

Core Ultra 285K

 

Intel 第14世代Coreシリーズ

ソケットLGA1700

 

※ 末尾にFがついているモデルはGPUがありませんのでご注意ください。

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