100ドルの1TB SSDの復活。
TrendForceのレポートによると、NANDフラッシュの価格は短期的に50%高騰し、最終的にSSDの価格が上昇するとのことです。
NANDチップは2023年後半にすでに高価になっているが、フラッシュメーカーが収益性を回復させようとしているため、価格はさらに上昇することになる。
TrendForceが示した50%という数字は、世界のNANDの多くを生産しているサムスン、SKハイニックス、マイクロンといった企業の目標だ。
現在の価格から40%上昇すれば、これらの企業は収支均衡に戻ると言われており、50%上昇すれば、今年初めの倒産の危機を招いた赤字から黒字に転換することになる。
このような価格変動は、DRAMeXchangeが追跡しているNANDフラッシュのスポット市場ですでに見られます。
Wayback Machineから入手可能な最良のデータを使用して、各月末の平均スポット価格を表にまとめました。
NANDの価格が底を打った今年7月以降、毎月の価格が徐々に上昇している。
今日、512GB TLCチップの価格は7月に比べて120%上昇しており、256GBと128GB TLCもそれぞれ60%と22%と遠く及ばない。
12月6日から今日まで、512GB、256GB、128GB TLC NANDの価格はそれぞれ7.4%、4.2%、4.6%上昇した。
さらに50%上昇すれば、価格は2021年7月の水準に戻ることになる。
月別平均DRAMおよびNANDスポット価格
512GB TLC | 256GB TLC | 128GB TLC | |
2021/07/31 | $4.89 | $2.65 | $1.866 |
2023/07/20 | $1.404 | $0.929 | $1.063 |
2023/08/31 | $1.519 | $0.96 | $1.067 |
2023/09/29 | $1.69 | $1.041 | $1.067 |
2023/10/31 | $2.044 | $1.158 | $1.08 |
2023/11/30 | $2.566 | $1.363 | $1.242 |
2023/12/03 | $2.862 | $1.437 | $1.242 |
2023/12/29 | $3.075 | $1.498 | $1.3 |
TrendForceによれば、価格下落の原因は生産量の減少であり、需要と供給の典型的なケースでは、同じかそれ以上の需要に対して供給が減少することは価格上昇を意味する。
サムスンは9月以降、生産量を50%減らしたが、市場ではすでに在庫一掃による価格変動が起きている。
MX500 1TBなど、いくつかの人気モデルですでにSSD価格の上昇が見られる。
このSSDは、9月下旬には約48ドルだったが、現在では一般的に65ドルで販売されており、35%の値上がりとなっている。
ここから価格が50%上昇すれば、MX500やその他の1TB SSDは、2022年前半の一般的な価格である100ドルになるだろう。
購入者にとっては、同じ製品に2倍の価格を支払うのは不満だ。
一方、これはメモリ業界にとっては素晴らしいニュースだ。特にマイクロンは第1四半期に23億ドルの損失を出した。
我々は安価なPCパーツが大好きだが、この価格は持続可能ではないだろう。
2021年や2022年初頭の高値からはまだかなり下がっているが、業界はその水準に戻ろうとしている。
解説:
Trend Forceが2024年はフラッシュの価格が上がりSSDの価格も上がるとしています。
表を見ると確かに値上がりしています。
しかし、日本においてはこれらの値上がりはあまり実感できないかもしれません。
なぜなら、為替の円安傾向が戻ってきているからです。
フラッシュの値上がり分と為替が円高に戻った分で相殺されるかやや高くなるくらいではないでしょうか。
SSDは本当に値上がりするのか?
わたくしはこの命題には懐疑的です。
理由は
・アメリカの経済は金利の上げすぎで需要が死んでいる。
・中国の経済はバブルが弾けて米国よりもっと死んでいる
・中国の過剰な生産設備が世界にいわゆるデフレを輸出している。
これらの理由によって需要がかなり弱くなっているからです。
これに反してアメリカのマーケットではまだ先行きを楽観視している声もあり、これらの事象を企業の経済活動の見通しに反映しているとはとても思えないからですね。
アメリカの経済を引っ張っているのはnVIDIAなどのほんの一部の企業だけで、ほとんどが業績が良くないです。
特に生活品などを販売している小売り大手は厳しい状態が続いています。
- ベッド・バス・アンド・ビヨンド
- デイビッド・ブライダル
- コールズ
といった企業が倒産したり苦境に陥ったりしています。
フラッシュメモリもやSSDもそれを見込んだ生産調整を行っているのかどうかについてはわたくしは懐疑的です。