史上初のコンシューマー向け32コア64スレッドRyzen Threadripper 2990WXは2018年8月13日に発売されました。
このRyzen Threadripper 2990WXは5GHz以上回るらしいので、Cinebenchの記録がポンポン更新されているような状態です。
参考記事:Ryzen ThreadRipper 2000シリーズのスペックと発売日が公式アナウンスされました。
このような状況を受けて、intelも本気になったようです。
Basin Falls Refreshとは別にXeon PlatinumなどのプラットフォームであるLGA3647をデスクトップ向けとして出すようです。
LGA2066のBasin Falls Refreshは22コアにとどまると言われていますが、おそらくLGA3647版Core-Xと同じダイを使うと思われるXeon Platinum 8180は実売120-130万円で売られています。
このLGA3647版Core-Xはどのくらいの価格になるのか興味の尽きないところです。
OCしてのベンチでは実売20万円程度のRyzen Threadripper 2990WXに逆立ちしても勝てないことは想像に難くないわけですが、どうなるんでしょう。
Skylake-X | Kaby Lake-X | Skylake-X | Xeon Platinum 8180(参考) | |
製造プロセス | 14nm+ | 14nm++ | 14nm+ | 不明 |
製品型番系列 | Core i7-7000 | Core i7/i5-7000 Series | Core i7-8000 series | Xeon Platinum 8000 |
最大コア数 /スレッド数 | 18/36 (2017) 22/44 (2018) | 4/8 | 28/56 | 28/56 |
動作クロック 通常/ターボ | 2.60/4.20 GHz | 4.30/4.50 GHz | 不明 | 2.5/3.8 GHz |
最大キャッシュ容量 | 24.75 MB L3 | 8 MB L3 | 不明 | 38.5MB L3 |
最大PCI Express レーン数 | 44 Gen3 | 16 Gen3 | 不明 | 48 Gen3 |
対応チップセット | X299 | X299 | 不明(X599?) | C620 |
対応ソケット | LGA 2066 | LGA 2066 | LGA 3647 | LGA3647 |
対応メモリ | DDR4-2667 | DDR4-2667 | DDR4-2800 | DDR4-2666 (ECC対応) |
最大TDP | 165W-200W | 112W | ~250W | 205W |
発売日 | 2017Q3 | 2017Q2 | 2018Q4 | 2017Q3 |
発売時価格 | $1999 US | $339 US | 不明 | $10,009 -$10,015 |
上の表はソース元の表の過去のモデルの詳細をを削除して同じダイを使うと思われるXeon Platinum 8180のスペックを加えたものです。
このLGA3647版Core-Xはメモリは6ch、Xeonが売れなくなりますので、おそらくECCには対応しないでしょう。
チップセットは噂の段階ですが、X599なるものが用意されていると言われています。
CPU価格はRyzen Threadripper 2990WXの倍であれば競争力は無いと思います。
まあ、CPUというのは例えば、LGA1151の第8世代Core iシリーズならGPUのついてるモデルCore i3/i5/i7はみんな同じダイを使って機能制限してるだけなのですが、おそらくこのLGA3647版Core-Xも同様の体裁を取り、デスクトップ向けに多少クロックが上げられるだけになるんじゃないかと思います。
多分皆さんはCPUの生産というとイメージ的にCore i3/i5/i7を別々に生産していると思っていると思いますが、同じ製品の出来の悪いものを下位の製品(Core i3/i5)に回し、出来の良いものを上位の製品(Core i7)に回して機能制限してるだけです。
「intelズルい」と感じるかもしれませんが、この辺はAMDも同じですので誤解しないようにしてください。
大量に同じものを生産して出来が良いものと悪いものに選別して機能制限したほうがコスト的に圧倒的に安く作れるのでそうしているだけです。
基本的に物理的には何ら変わらないということです。(ただし、出来の良い悪い、下位の製品に回すコアは無効化されているコア部分に動作しないコアがあるケースなどはあると思います。)
※ Ryzen5 1600XとRyzen7 1800XをOCしてもクロックの上限が同じ位になると言われていましたが、同じものを機能制限しているだけだからです。
この辺はPC系のニュースを追っかけているPCウォッチャー(?)の間では常識なのですが、私もこれを一番最初に知った時は衝撃を受けました。
上のような事情もあり、同一のダイを使うのでしょうから、価格的には上位になると思われるXeon Platinum 8180のPCI Expressレーン数が48ですので、それに準ずる形になるんじゃないかと思います。
ドイツの小売り業者MindFactoryの調査結果にもありましたが、全体の割合としてはほとんど売れてないHEDT向けのプラットフォームに新しく設計したプロセッサを投入するような無駄をintelがするとも思えません。
参考記事:AMDとintelのCPUマーケットシェアについて
しかし、Xeonとは明確に差別化して下位のモデルしか出してこなかったintelがThreadripper対策として実売100万越えのXeonと同じダイ、同じソケットのCPUを出すというのは異例のことだと思います。
LGA2066のCore-XとLGA3647のXeonがどこまでダイを共通化してるかわかりませんが、Xeonというのは高い利益率を誇る、ある意味intelの虎の子です。
また、スマホやタブレットの台頭によるデスクトップ事業の頭打ちから現在のintelは急ピッチにデータセンター向けに収益源を切り替えています。
口の悪い人はLGA2066のことを「サーバーの残りカス」と言ってるくらいなので(笑、デスクトップ向けにはあまりやる気は無く、逆にXeonはそれほどintelに取って重要なわけです。
スーパーハイエンドデスクトップ向けには絶対に本気を出さなかったintelが本気の全力を出すのはよほどRyzen Threadripper 2990WXのインパクトが大きかったのでしょう。
ハイエンド製品で負けると商品全体のブランドイメージが毀損する恐れがありますので、必死ですね。
1PCユーザーとしてはもっと早い段階で誠実にサーバーと同じ系列のハイエンド製品を出してほしかったところです。
今回の話も非常にわかりにくいですが、もっと早い段階でHEDTをLGA2066ではなく、LGA3647に統合していれば、これほどラインナップが混乱することはなかったんじゃないかと思います。
ハイエンドGPUを付けるとシステム価格50万円を超えるようなLGA2066プラットフォームを今の段階で切り捨てるわけにはいきませんので、LGA3647と2ラインで行くようです。
同時にラインナップ的に何の意味もなかったKabyLake-Xは終売になってしまうようですね。まあ、売れてなかったのでしょうから、ある意味当然てすが・・・。
営利企業として利益を追及する必要があるのは分かりますが、あまりにやり口がエゲツないのでこの辺がintelという企業を(マーケティング的に)イマイチ信用できないところです。
※ 誤解のないように言っておきますが、製品の信頼性としてはナンバーワンだと思います。
強い企業というのはどんどん客を軽く扱っていくものなので、この辺は注意してみると、企業の体質というものがよくわかります。
全体を俯瞰して事業の割合を調べたりしない限りintelのブランドイメージ戦略に乗っかって全面的にintelを信用するのでしょうが私はintelのこういうところがあまり好きになれません。
「嫌いだから製品は使わない」というようなレベルではありませんが、intelの製品のラインナップを見るときは注意して見たりサーバー製品群と比較したりはします。