マザーボードとはその名の通りCPUやメモリ、HDDを組み付けるパソコンの基幹部品です。
マザーボードの選択によって何ができるか決まるといってもよいでしょう。
ゲーミングPCなどの完成品ではあまり意識することのないパーツですが、知っておいたほうが理解度が深まりますので解説します。
マザーボードにはサイズがある
マザーボードにはサイズがあります。
出典:VIA Mini-ITX Form Factor Comparison | VIA Mini-ITX Form Fact… | Flickr
ATX・・・フルタワー・ミドルタワー向け。サイズ305mm×244mm
MicroATX・・ミニタワー・一部の小型PC向け。基板サイズ 244mm×244mm
MiniITX・・・キューブ・スリムケース向け。基盤サイズ170mm×170mm
他にもFlrexATXなどが存在しますが、BTOに使われる一般売りされているマザーボードは上の三種類のみですので上の三種類だけ覚えておけばよいです。
三つのマザーボードの取り付けには互換性があり、ATX用のケースにはMicro-ATXやMini-ITXのマザーボードも取り付けることができます。
当然ですが、小さいほうのケースにATXのマザーボードを取り付けることはできません。
小さいケースやスリムケースのほうが見た目が良いですが、初めてゲーミングPCを買うならば、ATXとミドルタワーケースを選んだほうが無難です。
ATXとミドルタワーにはほとんど制限がありませんのでOCでもSLiでもほとんど対応しています。
MicroATXのマザーボードはサイズ的にGPUを二つ取り付けることはできますが、そのようなことができるマザーボードはほとんどありませんし、ゲーミングPCでもマイクロタワーのPCではGPUを二つ取り付けることはできないと認識しておいた方がよいでしょう。
これは、排熱に問題が出ることが多いからです。自作パーツとしてのMicroATXでのSLiはかなり難易度が高いです。
ケースを大きくすれば難易度は下がりますが、それではMicroATXを選ぶ意味がありません。
また、Mini-ITXはGPUを二つ取り付けることがサイズの関係で出来ませんのでチップセットが対応していたとしてもSLIはできません。
チップセット
チップセットとはマザーボード上の基幹部品でマザーボードの機能を決定づけるパーツです。
本来であれば別に項目を設けて解説するのがベストですが、ゲーミングPCを選ぶだけであればマザーボードと一緒に解説したほうがわかりやすいので一緒に解説します。
intelチップセット仕様一覧
第8世代向け
Z370 | H370 | B360 | H310 | |
システムバス | 8GT/s | 8 GT/s | 8 GT/s | 5 GT/s |
オーバークロック | 可 | 不可 | 不可 | 不可 |
メモリチャンネル | デュアル | デュアル | デュアル | デュアル |
最大メモリスロット | 4 | 4 | 4 | 2 |
最大搭載メモリ | 64GB | 64GB | 64GB | 32GB |
サポートディスプレイ | 3 | 3 | 3 | 2 |
PCIExpressレーン数 | 24 | 20 | 12 | 6(PCIex2.0) |
PCIExpressスロット構成 | 1x16、2x8、1x8+2x4 | 1X16 | 1X16 | 1X16 |
USBポート数 | 14 | 14 | 12 | 10 |
USB3.1Gen2(最大) | 4 | 4 | ||
USB3.0(最大) | 10 | 8 | 6 | 4 |
USB2.0(最大) | 14 | 14 | 12 | 10 |
SATA3最大ポート数 | 6 | 6 | 6 | 4 |
RAID | PCIe0/1/5・SATA0/1/5/10 | PCIe0/1/5・SATA0/1/5/10 | ||
Optane Memory | 可 | 可 | 可 | 不可 |
IRST | 可 | 可 | 不可 | 可 |
4/3に発売されたH370/B360にはUSB3.1Gen2ポートが追加されました。ほかは特筆すべき点はありません。
第7世代向け
Z270 | H270 | B250 | |
システムバス | 8GT/s | 8GT/s | 8GT/s |
オーバークロック | 可 | 不可 | 不可 |
メモリチャンネル | デュアル | デュアル | デュアル |
最大メモリスロット | 4 | 4 | 4 |
最大搭載メモリ | 64GB | 64GB | 64GB |
サポートディスプレイ | 3 | 3 | 3 |
PCIExpressレーン数 | 24 | 20 | 12 |
PCIExpressスロット構成 | 1x16、2x8、1x8+2x4 | 1x16 | 1x16 |
USBポート数 | 14 | 14 | 14 |
USB3.0(最大) | 10 | 8 | 6 |
USB2.0(最大) | 14 | 14 | 12 |
SATA3最大ポート数 | 6 | 6 | 6 |
IRST(RIAD)接続数(PCIex) | 3 | 2 | 1 |
RAID | PCIe0/1/5・SATA0/1/5/10 | PCIe0/1/5・SATA0/1/5/10 | |
ISRT(SSDキャッシュ) | 可 | 不可 | 不可 |
基本的に以下のような扱いになっています。
Z370などのZ系・・・高性能PC向け。SLi・オーバークロック可能
H370などのH系・・・家庭向け。SLi・オーバークロック不可
B360などのB系・・・ビジネス向け
H310などのH廉価系・・・安価製品向け
Z系の方が高機能の分値段も高くなり割高になります。マザーボードのサイズのほかにチップセットのグレードでも機能の制限を受けることになりますので注意してください。
他にも細かい違いはありますが、SLiとオーバークロックが可能かどうかで差がついていると考えてもらって構いません。
AMDチップセット仕様一覧
第二世代Ryzen向け
Ryzen | X470 | B450 | |||
PCIExpress3.0レーン数 | 16 | 0 | 0 | ||
PCIExpress2.0レーン数 | 8 | 6 | |||
USB3.1Gen2 | 2 | 2 | |||
USB3.0 | 4 | 6 | 2 | ||
USB2.0 | 6 | 4 | |||
SATA3.0 | 2 | 0 | 4 | 2 | |
NVMe | PCIex X2 | PCIex X4 | |||
RAID | 0/1/10 | 0/1/10 | |||
オーバークロック | 可 | 可 | |||
SLI | 可 | 不可 | |||
CrossFire | 可 | 可 | |||
StoreMI | 可 | 可 | |||
XFR2 | 可 | 可 | |||
XFR2 Enhanced & Presicion Boost Over Drive | 可 | 可 |
第一世代Ryzen向け
Ryzen | X370 | B350 | A320 | ||
PCIExpress3.0レーン数 | 16 | 0 | 0 | 0 | |
PCIExpress2.0レーン数 | 8 | 6 | 4 | ||
USB3.1Gen2 | 2 | 2 | 1 | ||
USB3.0 | 4 | 6 | 2 | 2 | |
USB2.0 | 6 | 6 | 6 | ||
SATA3.0 | 2 | 0 | 4 | 2 | 2 |
NVMe | PCIex X2 | PCIex X4 | |||
RAID | 0/1/10 | 0/1/10 | 0/1/10 | ||
オーバークロック | 可 | 可 | 不可 | ||
SLI | 可 | 不可 | 不可 | ||
CrossFire | 可 | 可 | 不可 | ||
XFR2 | 可 | 可 | 可 |
AMDのチップセットは機能が一部CPUに内蔵されていますので、組み合わせるCPUによって機能に違いが出ます。
そのため、ゲーミングPC向けによく使われるRyzenの組み合わせを一覧にしています。
CPUにすべての機能を内蔵したものをSoCと呼んでいます。スマートフォンにはSoCがよくつかわれています。
デスクトップ向けのCPUもどんどんSoC化が進んでおり、Ryzenもそのような流れで一部チップセットの機能を内蔵しています。
表を見ていただければわかりますが、intelのH系に相当するB350でもオーバークロック可能になっており、基本的にintelよりも割安感のある構成になっています。
AMDでも構わないという人やOCをやってみたいという人はRyzenを選べば割安にゲーミングPCを購入することができるでしょう。
当たりのCPUを引いてOCの幅が大きければワンクラス上のCPU性能を投資なしで手に入れることもできますので、そのようなびっくり箱感にもあふれていてワクワクするCPUです。
基本的にAMDはこのような判断が自分でできる上級者向けの選択となります。
何を言っているかわからないという方や初めてゲーミングPCを購入するという方はintelを選択しておきましょう。
ソース:インテル 200 シリーズ・チップセット - デスクトップ / Intel 300 Series Chipsets / AMDソケットAM4プラットフォーム
参考記事:エンスージアスティック向けプラットフォームについて