第三世代Ryzenは2019年に予定されていますが、12-16コアになるという情報が出てきました。
intelのCoffeeLakeが11月(噂)にようやく8コアになると言われていますが、これでまた差がつくことになります。
ただし、デスクトップで8コアより上の製品は前例がないこともあり、16コアに出来ても出すかどうかは分からないという噂になっているようです。
プラットフォームはSocketAM4でこれまでの例から考えるとX370/B350世代やX470世代のチップセットでも使えることになると思います。
AMDのRyzenに関する予想は下の表の様になっています。
発売年 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
コア | Zen | Zen+ | Zen 2 | Zen 3 |
拡張個所 | First Design | Higher clocks Lower latency | "Multi-dimensional" improvements | 未定 |
製造プロセス | 14nm LPP | 12nm LP | 7nm LP | 7nm+ |
ダイ・アーキテクチャ | 8 cores Summit Ridge | 8 cores Pinnacle Ridge | 12-16 cores (噂) 名称未定 | 12-16 cores (噂) 名称未定 |
製品名 | Ryzen 1000 Series | Ryzen 2000 Series | Ryzen 3000 Series | Ryzen 4000 Series |
このうちZen2(Ryzen3000シリーズ?)に関しては詳細は明かされていませんが、設計自体はが完了していると公式に発表されています。
Ryzen1000から2000は製造プロセスが14nmから12nmに進歩しましたが、Ryzen2000から3000は12nmから7nmと進歩の幅が大きいので、大きな性能向上が見込まれます。
恐らくシングルスレッド性能もほぼCoffeeLakeに近くなるのではないかと思います。
第二世代Ryzen Threadripperでは最大32コア64スレッドになる。
SocketTR4のRyzen Threadripperでは32コア64スレッド/24コア48スレッドが発売され、TDPは250Wになると言われています。
32コア64スレッドは凄いと思いますが、250Wというとまともに使えるのか不安になるレベルです。
これらはintelのCore Xシリーズと同じく、エンスージアスティック向けプラットフォーム用CPUになります。
第二世代のThreadripperは32コア64スレッドとなりますが、メモリはクアッドチャンネルでPCI-Expressのレーン数は64レーンとなるため、サーバー用のEPYCのメモリ8チャンネル、PCI-Express128レーンとは明確に差別化されるようです。
ソース:Impress - 【詳報】AMD、32コア/64スレッドの第2世代Ryzen Treadripperを第3四半期に投入
intelとAMDは会社の規模が大人と子供ほど違う
intel | AMD | intel÷AMD | |
2017年売上 | 628億ドル | 53億2900万ドル | 11.78倍 |
2017年利益 | 96億ドル | 4300万ドル | 223.25倍 |
従業員数 | 106000 | 8900 | 11.91倍 |
工場 | 有り | 無し・外部に製造委託 | - |
上の表はintelとAMDの会社の規模をざっくりと比較したものです。
売り上げで12倍、利益で223倍、従業員数で11倍以上の差があります。
まさに大人と子供の戦いと言ってもよいでしょう。
これほど規模の差があるのによく戦っていると思います。
K7(Athlon)発売以前のAMDはフラッシュメモリ事業が中心の目立たない会社でした。
intelの利益率を見ればわかる通り、intelは営利企業としてとても優秀な会社ですので理由が無ければ無茶は絶対にしません。
過去に何度も設計で失敗していますので、利益に影響が出るような無理はしない会社です。
よってAMDというライバルがいなければ恐らく今もCore i7シリーズは4コア8スレッドのままだったと思います。
私が別の場所で中級者以上でRyzenの特性が理解できる人はAMDを買ってあげてくださいと繰り返していますが、それはこういうことです。
もともとintelは半導体企業で世界ナンバーワンで設計と生産を同時に行っている巨大企業です。
※ 工場を持つとリスクが高くなるため余程体力がない限り維持できません。
AMDが猛追した2017年の決算に関しても業績を向上させています。
intelはコンシュマー向けのプロセッサ事業で多少不利になったところで別の事業からも業績を上げられますので大した影響は出ません。
AMDは設計がまずかったBulldozer(FXシリーズ)を出していた時代はずっと赤字続きでした。
※ 2018年10月20日にご指摘を受けてK10(誤)からBulldozer(正)へ訂正しました。
K10時代に大規模な工場(現GF)を持ったのですが、売却して凌いだほどです。
こういうギリギリのところで戦っているAMDが無ければ競争が起こらず、今でもユーザーはintelが全力を出さない製品を買わされていたと思います。
市場に良い製品が流れてくるにはやはり適度な競争状態が必要ということです。
だからと言って劣った製品を高い金を出して我慢して買えとは誰も言えません。
しかし、優秀な製品が出たらやはりブランドにこだわらずに買ってあげて欲しいなと思います。
まあ、初心者の方や内容をよく理解しないで物を言ってる方はとりあえず「intel」って言っておけば安心なのでそういう声が大きいのは事実です。
私も初心者向けにはintelをプッシュしていますが、Ryzenの特性が理解できるような中級レベル以上の方にはぜひRyzenを買ってあげて欲しいです。
※ 理解していない人が無理に買う必要はありません。あとで後悔する可能性がありますので、わからない人は背伸びして買わないほうがいいです。
健全な競争状態を維持し続けるにはやはりユーザーも考えて行動してあげないとダメなのかなと思います。
ゲーマーの方でも向上心のある人は今回の記事をきっかけとしていろいろと勉強して、何が自分たちのために一番良いのかということを考えていただけるようになったらこのような記事を書いた甲斐があります。
intelとAMDでなんでこんなに差がつくのか?
ここで多くの方は疑問に思うかもしれません。
「管理人はintelの方が優れているって言ってるし、会社の規模にかなり差があるのは分かったけど、AMDのRyzenの方がリードしてるじゃん」
確かに最近はそうなのですが、それ以前が酷かったということです。
もともとAMDの設計はintelの後追いっぽいところがありBulldozer(FXシリーズ)はPentium4とよく似たところがあります。
※ 2018年10月20日 こちらもK10(誤)からBulldozer(正)へ訂正いたしました。
優秀なRyzenシリーズでintelを猛追できる状態になりました。
Ryzenはなんでこんなに簡単にコア数を増やしていけかというと、2コアごとにブロックを分けinfinity-fabricというバス(信号線)でブロック同士をつないで拡張しやすい設計になっているからです。
大雑把な説明ですが、ほとんどの人にとってはこれで十分でしょう。
最近のAMDとintelの状態は設計もありますが、主に製造プロセスの差と言ってもも良いかもしれません。
intel | amd | |||
発売年 | 製造プロセス | アーキテクチャ | 製造プロセス | アーキテクチャ |
2013 | 22nm | Haswell | 32nmSOI | Richland |
2014 | 28nm | Kaveri | ||
2015 | 14nm | Broadwell | 28nm | Carizzo |
Skylake | ||||
2016 | 14nm+ | KabyLake | 28nm | Excavator |
2017 | 14nm++ | CoffeeLake | 14nm | Zen |
2018 | 14nm++ | CoffeeLake | 12nm | Zen+ |
2019 | ? | ? | 7nm | Zen2 |
上の表はintelとAMDの各製品に使われた製造プロセスの比較表です。
2018年と2019年は記事執筆時点(2018-06-14)でまだ終わっていませんので、一部予測も入っています。
この表で比較するとAMDは2014年から2016年までは製造プロセスが進化しておらず、(32nmSOIもほぼ同世代のプロセスのため実際はもっと長い)この時期が順調にプロセスを進化させてきたintelとの差が一番大きくて苦しかった時期となります。
しかし、intelも2015年にBroadwellとSkylakeが重なっていることで予想できる通り、14nmの立ち上げに失敗してBroadwellのデスクトップ版はあまりぱっとしない製品になりました。
Core i7 5775C/Core i5 5665Cと言えば印象に残っている方もいるのではないかと思います。
異変が起きるのはここからです。
2016年のKabyLakeは14nmの次の製造プロセスである10nmの立ち上げに失敗して予備プランとして走っていたものです。
その後のCoffeeLake世代になっても10nm本来のCannonLakeと言われるコアが上手く製造できずに14nmのプロセスを二回改良して凌いでいます。
丁度2013頃のAMDと同じ立場になっているのがわかるのではないかと思います。
製造プロセスとはCPU内の配線の最小幅を名称としてつけていますが、2019年にAMDは7nmのZen2を発売する予定です。(現時点でサンプルはすでに出回っているかもしれません。)
一方intelは10nmを立ち上げに成功したという話はいまだに聞こえてきません。
※ ただし、intelの10nmとAMD(Global Foundries)の7nmは同程度の性能と言われていますので注意です。
intelは優れた製造プロセスで他社より優れた製品をいち早く出すという戦略で業界のトップを走り続けてきた会社です。
ここに来て、intel以外の会社(工場)が初めて製造プロセスでトップに立つかもしれません。
現時点でCPUの性能競争は歴史的な局面になっていると言ってもよいでしょう。
今年と来年は面白い年になると思います。