
■事実
中国のチャネル情報サイト「Channel Gate(渠道之家)」の報告として、Intelが2026年第3四半期に旧世代Core デスクトップCPUの供給量を増やす計画であると快科技・VideoCardzが報じました。
対象世代はCore第10世代・第12世代・第13世代・第14世代(第11世代は対象外)です。
特に第10世代・第12世代は最大幅の供給増が見込まれるとされています。
第13世代・第14世代(Raptor Lake系)は今四半期後半にかけて大量供給が継続し、中国本土市場への出荷も含まれるといわれています。
中国の大型セール「618」商戦終了後、実店舗のDIY小売店に対してはDDR4プラットフォームを主力販売ラインとするよう推奨されているとの情報があります。
DDR5プラットフォームの供給自体は継続され、計画から外れるわけではありません。
Intelは本件について公式に確認していません。
背景として、DDR5メモリ価格の急騰が挙げられる。Tom's Hardwareの調査によれば、32GB DDR5キットは2025年半ばの80〜120ドルから2026年3月時点で300〜500ドル(約3〜4倍)まで上昇しています。
DDR4メモリも高騰しており、32GB DDR4キットは2025年半ばの55〜70ドルから2026年3月時点で250〜350ドル(約4〜5倍)に達しています。
第13・14世代CPUを巡っては、2026年4月頃にDigiTimes発の報道として「AI PC不振を背景に10%超の値上げが行われる」との観測も出ていました。(供給再開報道とは逆方向の動きだった時期もあることに留意)
第13・14世代(Raptor Lake / Raptor Lake Refresh)はLGA1700ソケットを採用し、DDR4・DDR5の両対応マザーボードが存在しています。
Intelの次世代デスクトップ向けCore Ultra Series 4「Nova Lake」は新ソケットLGA1954を採用し、2026年末〜2027年始めのCES 2027での投入が見込まれています。
Intelは2027年に向けてLGA1700ソケット継続の「Raptor Lake Next」も計画しているとされ、旧世代プラットフォームの延命が既定路線になりつつあります。
表:Intel Core デスクトップCPU 世代別比較(今回供給再開の対象)
| 世代 | コードネーム | ソケット | 対応メモリ | 主な製造プロセス |
|---|---|---|---|---|
| 第10世代 | Comet Lake | LGA1200 | DDR4 | 14nm |
| 第12世代 | Alder Lake | LGA1700 | DDR4 / DDR5 | Intel 7 |
| 第13世代 | Raptor Lake | LGA1700 | DDR4 / DDR5 | Intel 7 |
| 第14世代 | Raptor Lake Refresh | LGA1700 | DDR4 / DDR5 | Intel 7 |
注:第11世代(Rocket Lake)は今回の増産対象に含まれていない

■解説
「新型CPUが出るたびに型落ちが安くなる」という従来のDIY市場の常識が、今のメモリ危機下では通用しなくなっている、という文脈で読むと分かりやすい。
今回の動きは単なる「型落ち在庫処分」ではなく、DDR5価格が高騰しすぎた結果、DDR4を選べる旧世代プラットフォームそのものに存在価値が戻ってきた、という珍しい現象。
LGA1700は12〜14世代でDDR4・DDR5どちらも選べる希少なソケットになっており、そこが今回「延命」される最大の理由。
ただしDDR4も高騰しており(3〜4倍程度)、「DDR4に逃げれば安泰」という単純な話ではない点は強調しておきたい。
中国本土は自国製DRAM(CXMTなど)の供給拡大も進んでおり、他地域よりDDR4/DDR5の価格圧力がやや緩和されやすい市場的特殊性がある。
4月頃に「値上げ」報道が出て、7月には「増産」報道が出るという流れ自体が、メモリ危機下で需要動向がいかに読みにくくなっているかを象徴している。
Nova LakeがCES 2027に投入予定、その先にLGA1700继続の「Raptor Lake Next」も控えているため、今回の増産は「一時しのぎ」ではなく、旧世代を数年単位で現役に留め置く戦略の一部と見るべき。
数年前に散々騒がれた第13・14世代の不安定動作問題を思うと、「枯れているどころか、いまだにアップデートが続く現役選手」というのはなかなか皮肉な話ではある。
値下げでは支えられない時代、値上げしない型落ちが最強という逆転現象が起きている。
IntelはAMDと違い過去製品の場合、モデルによってはプラットフォームごと復活させる必要があるのでなかなか骨が折れる形だろう。
すでに時代はプラットフォームの高寿命化を志向しているのかもしれない。
中国国内向けのみというのが中国市場の性質とキャパシティを表している。要は不況下でも一番売れる市場ということだ。