nVidiaがTuringを発表してから何の音沙汰もなかったAMDですが、やはり次の弾を用意していたようです。
プロ向けのGPUに7nm版Vegaを用意しているという話でしたが、ゲーミング向けにも7nm版のVega(Vega20)を出すようです。
それも2018年中に出すとのことですから、これが本当ならばなかなか面白い展開になっていきそうです。
nVidiaはソフトウェアのサポートを前提にして、Tensorコアなどを活用していく予定だが・・・
AMDにはそういう力はありませんので、nVidiaとは別の方向に行くようです。
どうも力業で演算能力を高めて対抗していくようですね。
RTX2080TiのFP32演算性能が13.4TFlopsですが、Vega20は20TFlopsになると言われています。
まだ噂の段階ですが、既に怪物GPUと言われています。
いくらPCのゲームがGeforceに最適化されているとはいえ、演算能力的にRTX2080Tiの1.5倍以上の差ですから、この話が本当ならば面白いことになるかもしれません。
ここで、Polaris、VegaとGTX1080TiとRTX2080Tiのスペックを比較してみます。
VegaのメモリであるHBM2はGDDRと違ってバス幅の広い広帯域メモリであり、概念的に比較しにくいところがありますが、相当するものとして無理やり比較していますので、ご了承ください。
プロダクトネーム | Polaris 10 | Vega 10 | Vega 20 | GP102 | TU102 |
発売年 | 2016 | 2017 | 2018 | 2016 | 2018 |
Graphics Card | RX 480, 470 | Vega FE, 64, 56 | 不明 | GTX1080Ti | RTX2080Ti |
製造プロセス | 14LPP | 14LPP | 7nm | 16nm | 12nm |
トランジスタ数(十億) | 5.7 | 12 | 不明 | 12 | 18.5 |
Stream Processors、もしくはCUDAコア数 | up to 2304 | Up to 4096 | 不明 (噂) | 3584 | 4352 |
FP32演算性能 | 5.8 TFLOPS | Up to 13 TFLOPS | 20 TFLOPS (噂) | 11.34 | 13.4 |
TDP | 150W | Up to 290W | 不明 | 250 | 250 |
メモリ | 8GB GDDR5 | 最大16GB HBM2 | 最大32GB HBM2 | 11GB GDDR5X | 11GB GDDR6 |
メモリ速度 | 2000 MHz (8Gbps ) | 950 MHz | 1250 MHz (噂) | 11GHz相当 | 14GHz相当 |
メモリバス | 256bit | 2048bit | 4096bit | 352 | 352 |
PCI Express | 3 | 3 | 噂 | 3 | 3 |
メモリ帯域幅 | 256 GB/s | 484 GB/s | 1.28 Terabyte/s (噂) | 484GB/s | 616GB/s |
上の表を見ると「え?VegaってGTX1080Tiとそう変わらない性能じゃん」と思った方も多いと思います。
Vegaはスペック上ではGTX1080Tiより上です。
しかし、実際にゲーム用途ではGTX1080程度の性能しかなかったわけです。
この辺がゲームではGeforceの方が有利と私が言っている理由であり、演算能力が同等もしくは少し上でも一段下の性能になってしまうということです。
こうしたソフト面でのハンデを負うと、消費電力でも不利であり、かなりのハンデを負うことになります。
それはVega64、56といったGPUの実際のTDPがとんでもなく高かったことを考えてもわかるんじゃないかと思います。
RTX2000からRTXやDLSSといった、ソフト側へ対応を要求する仕様がさらに増えましたので、この傾向はますます強くなると思います。
今のゲームが如何にGeforceに最適化されているかということの証明でもあるのですが、このため、ゲーム以外に使うならRadeonは十分ありですが、ゲームに使うならばGeforceの方が向いています。
恐らく同レベルの性能をマークしたとしても消費電力で差が付く可能性が非常に高いです。
今回の7nm版Vega=Vega20は製造技術が進んでいますので、唯一RTX2080Tiに土をつける可能性が残っている製品と言えるでしょう。
メモリ帯域幅などは1.28TB/秒であり、もしこれが本当ならば、RTX2080Tiにダブルスコアで差をつけており、ここまで差があるといくらソフト側で最適化されていても力業でひっくり返せる可能性が0ではありません。
もうヤケクソ、最終奥義発動といった感じです。
イメージ的にはnVidiaがソフトハウスと協力して技術を進めているところに、周りの環境を無視した巨大な怪物が現れたという感じでしょう。
私もこの数字を見たとき絶句しました。
高価なHBM2メモリでこれだけの帯域を出すと一体どのくらいの最終価格になるのか想像もつきません。
独占はよくないと私は常にいってますが、いくらnVidiaがRTX2000シリーズを華々しくブチ上げたとはいえ、さすがにこれはやり過ぎというか眉唾なんじゃないかと思います。
これがそのまま製品として出るならば、凄いを通り越して「頭がおかしい」とかそんなレベルです。
ちなみに、AMDは7nmのFabをTSMCに変更しており、製造技術の遅延で今までさんざんAMDの足を引っ張ってきたお荷物のGlobal Foundriesを切ったようです。
ですから、製造的に問題が発生する可能性は極めて低いです。
よって既に計画が動いているならば、実際に出てくる可能性は極めて高いです。
今のAMDの情勢だとやりそうで怖いです。
RTXの場合、RTコアがあればない場合と比較して6倍の差が付くのでレイトレーシングへの対応は絶望的ですが、DLSSをオフにして従来の技術のみで比較するならば、RTX2080Tiに1.2-1.5倍くらいの差をつける可能性が0ではありません。
この程度の性能がマークできるのであれば、使い方によっては「こちらの方がよい」という方も出るでしょう。
コスト的にどうなのかとも思いますが、もしこれがそこそこ安い価格で出るならば、こっちを選択するのも十分ありという感じです。
ソース:wccftech - AMD Confirms New 7nm Radeon Graphics Cards Launching in 2018