AMDはこれまで、ZenベースのEPYCプロセッサをサーバー空間に持ち帰っただけでなく、ライバルたちに眠れぬ夜を提供していたことで、非常に素晴らしい旅をしてきました。
AMDの旅は決して終わりではありませんが、同社はサーバーCPU市場シェアで最初のマイルストーンをまもなく達成するようです。
AMD EPYCサーバーのCPU市場シェアは2020年に過去10%を超える勢いで推移–第2世代EPYCに対する強い需要が続く
DigiTimesが発行したレポートでは、AMDは2020年までにサーバーCPUの市場シェア10%を突破すると予想されています。
10%はそれほど重要ではないように見えますが、2017年に第1世代EPYCプロセッサーを発売したとき、AMDは市場シェア0%から始まったことに留意する必要があります。
AMDが2020年までにサーバー共有を最大10%以上にまで上げることができれば、IntelのXeonラインナップにより大きなプレッシャーをかけることになります。
AMDの第2世代EPYCサーバープロセッサは、最近、Dell、IBM、Nokiaなどの主要ITプレーヤーから大量の注文をうけており、市場オブザーバーによると、チップベンダーは2020年末までにサーバー市場の10%以上を獲得する可能性が高いとしています。
DigiTimesより
AMDは間違いなく、第2世代のEPYCプロセッサの多くの注文と取引を確保しており、今後登場するスーパーコンピューターの中には、次世代のEPYCラインナップを利用するものがすでに期待されています。
AMD EPYCプロセッサーで得られるパフォーマンス効率とコアとスレッドの総数だけで、いくつかの大手プレーヤーがEPYCに移行し、AMDが予想よりも10%早くヒットする可能性があります。
2018年6月に思い出すと、Intelの元CEO、Brian Krzanichは、AMDに15〜20%を獲得させないことが彼らの仕事であると述べていました。
しかし、AMDは3年未満でサーバーCPUの合理的な市場シェアを獲得し、継続的に成長しています。
現在、市場のオブザーバーは、AMDのサーバーCPU市場シェアは5%以上であると述べています。
AMDの2019年第2四半期の公式数値は4.8%の市場シェアを示しましたが、その時点では第2世代EPYCは入手できませんでした。
したがって、1世代のEPYCだけで約5%に達する場合、2世代は明らかにはるかに優れており、1世代の「Naples」チップよりも注文数が10%をはるかに上回ります。
EPYC RomeプロセッサがIntelの部品よりも優れている最大の利点の1つは、EPYC Naplesとのソケット互換性があることです。
そのため、Naplesを使用していたベンダーはすべて、その瞬間からAMD次世代7nm EPYC Romeプロセッサとの互換性を得ることができます 。
AMDはまた、現在設計中の「Genoa」として知られるZen 4 EPYCラインナップを発表しました。
AMDは、デスクトップおよびモバイルCPUポートフォリオよりも、EPYCサーバープロセッサで非常に良い位置にいるようです。
今後数年間でAMDとその長期的なZenロードマップがすべて順調に動作する場合、CPU市場のすべてのセクターを再び支配していることがわかります。
AMDのEPYC RomeはすでにAmazon(AWS)との主要な取引を確保しています
また、Atos BullSequana XH2000スーパーコンピューターに電力を供給する7nm Romeプロセッサーを提供し、米国エネルギー省が構築し、2021年に展開を目指すフロンティアスーパーコンピューターに次世代のEPYCラインが演算能力を供給する予定です。
解説:
Server CPUでシェアを獲得し始めたAMD
ついにServer CPUの分野でAMDがシェアを獲得し始めています。
デスクトップCPUの性能が重要なのはほぼ同じ構成ではるかに利益率の高いサーバーCPUにも使われるからです。
資本主義とは持ったものが持たざる者からすべてを奪っていくゲームであり、一旦市場シェアを獲得し、売上を上げ、お金が集まってくれば、それを再投資してますます豊かになるというサイクルを回すことが出来るようになります。
TSMCというある意味Fabの勝ち組はすでに世界最先端の製造プロセスを使ってそのサイクルを回していますが、その恩恵にあずかり、AMDがそのサイクルを回すきっかけを作ることが出来るようになりました。
あとはAMDがどこを目指すのかによって答えは変わってくると思います。
ファブレス企業であるAMDに取ってリソースを増やすということは人を引き抜くことですが、AMDが人を引き抜いたという話はあまり聞きません。
よほど有名な人でない限りは大きなニュースになりませんのでその関係もあるかもしれませんが、Server CPUで獲得した売り上げからAMDがどんな道を選ぶのかということが今後の大きな注目点だと思います。
それはZen6以降(もしくはポストZenとなる全く新しい設計のCPU)の性能にかかわってくると思います。
よくも悪くも、今のAMDは「Intel製品の互換メーカー」であり、業界をけん引するリーダーにはなっていません。
まずはここから永遠のナンバー2を卒業できるかどうか、それが出来なければ、SandyBridgeに敗れたときのようにまたIntelに大きく水をあけられることになると思います。
おそらく、2017年の第一世代Ryzen登場以前に今の状況を想像できた人はいないと思います。
この世界は本当に面白いですね。