Intelを除いて、世界中のファウンドリーは次世代のリソグラフィーと製造プロセスで急速に動いています。
サンタクララのチップ大企業は他のものよりも明らかにトランジスタ密度の優位性を持っていますが、マーケティング部門はしばしばこの事実を「忘れて」いて、実際よりも物事を直接的に描き続けています。
※ サンタクララのチップ大企業とはintelのことだと思います。
現在、TSMCは5nmのリスク生産を開始し、OIP(Open Innovation Platform)パートナーとプロセス設計を検証しました。
詳細については下記をご覧ください。
TSMCの5nmプロセスは7nmと比較して1.8倍のロジック密度と15%の性能向上を実現
TSMCは、5nm設計インフラストラクチャの提供を発表しました。
その結果、プロセスの詳細を知ることができました。
TSMCは、デザインパートナーと共同で、シリコンテストビークルを通じて5nmデザインを検証しました。
シリコンテストビークルは製造業者が彼らのデザイン選択を確認することを可能にします。
TSMCの5nmは、当面の間はプロセッサではなく、主に5GおよびIoTアプリケーションを対象としています。
同社は、Process Design Kitが生産設計に使用可能になったことを確認しました。
これらは設計プロセスの構想から検証および承認までの全範囲を網羅しています。
さらに、ファブは5nmがついにリスク生産に入ったことを確認しました。
これは昨年TSMCによって公開された計画によれば予定通りに正しいです。
5nmプロセスでは、TSMCの7nmと比べてCortex A72コアで1.8倍のロジック密度と15%の性能向上が可能です。
現時点では、TSMCがここで言及している7nmプロセスについては不明です。
同社の第1世代の7nm(Apple A12とQualcomm Snapdragon 855に搭載)はDUVリソグラフィを使用し、N7 +プロセスに基づく7nm +ノードはEUVリソグラフィを使用します。
私たちの意見では、TSMCはここでは前者のDUV 7nmを参照しています。
今日の2番目のニュースでは、TSMCの7nmオーダーの量が増えています。
受注の大部分は携帯電話メーカーからのものであり、この増加によりTSMCの7nm製造プロセスが100%の生産能力を利用することが予想されます。
より良いニュースとして、DigiTimesはまたTSMCが先月末にEUVを使用して作られた7nmチップの量産を開始したことを提案します。
チップの出荷は今年後半に開始され、新しいiPhoneのプロセッサの注文は3Qで生産が開始されます。
考えですか? 下記のコメント欄であなたが何を考えているかを私たちに知らせてください。 最新の情報をお知らせします。
ソース:wccftech - TSMC 5nm Risk Production Starts; Process Delivers 15% Performance Gain
解説:
今年は世界的に携帯の5G通信開始元年となりますが、波に乗るモバイルデバイスを象徴するように、モバイル機器の主要ファウンドリであるTSMCが5nmのリスク生産を開始したというニュースが飛び込んできました。
これによってまたintelは周回遅れになること確定です。ついにTSMCが世界で最も進んだファウンドリとしての地位を確たるものにしてしまいました。
もっとも出荷されるデバイスの製造を抑えるということがどういうことなのかよくわかるのではないかと思います。
これで2019年は7nm+で2020年は5nmということになります。
5nmは7nm比で15%の性能アップとなるようです。
こちらはEUVの7nm+ではなく、7nmとの比較になります。
これらの製造技術はアップルのA12とSnapragon855の製造に使われることになるようです。
リードするスマホ勢と引き離されるintelという構図をきちんと押さえないと、「痛い人」扱いされますので最新のIT系トレンドに敏感な人は必ず抑えておきましょう。
こうした状況の中、intelがどこに向かうのかは非常に興味のあるところです。
すでにintelは2016年からARMの製造を受けています。
参考リンク:第196回 なぜIntelがARMプロセッサの受託製造を始めるのか
ボリュームゾーンのモバイル市場とIoTデバイスはすでにARMに抑えられて、工場の稼働率を上げるためにはARMを生産せざるを得ないということです。
現在intelは自社製品のショートを起こしていますので、おそらくは最新のFabは使っていないのではないかと思いますが、今後TMSCに差をつけられるということはAMDやnVidiaにも差をつけられるということになります。
OS自体はLinuxやFreeBSDなどのPC-UNIX系列のOSがありますので、あとは性能に極端な差がついた時点でintelにとっては虎の子の利益率の高いサーバーもARMに抑えられてしまう可能性があります。
※ 一応ARM版Windowsもありましたね。
生先端の製造プロセスが抑えられないというのはこのようなリスクがあるということです。
PCの世界では声高に主張する人はいませんが、すでにパンドラの箱は開いているということになります。
2015年にリリースされる予定だったAMDのProject Skybridgeというものがあったのですが、これはx86とARMを同じチップに乗せるというものでした。
参考:AMD「Ambidextrous」ロードマップ発表、x86とARMのピン互換を実現
このSkybrigeは計画自体が頓挫したようですが、こんな風に直接的ではなくてもじわりじわりとARMの圧力は増してきているということです。
時を同じくしてARM用サーバーCPU「X-Gene」シリーズが立ち上がっており、このx86 VS ARMという対決の構図が2015年近辺に一度ありました。
この時はintelの勝利に終わりましたが、昨年あたりから再度、「Arm Neoverse」というサーバー用の新ブランドを展開しており、こちらも7nm+や5nmといった最新のプロセスの恩恵を受けて世代ごとに30%の性能向上を謳っています。
参考:ARMがサーバー専用の「Neoverse」を発表! インテルとの争いはサーバー分野でも
このNeoverseを仕掛けているのはAmpere Computingという会社でCEOはなんとintelの元幹部という実にアメリカらしい話になっています。(笑
※ さらに補足すると、この会社の本社もサンタクララにあり、実際に見える距離なのかどうか迄はわかりませんが、intel本社の目と鼻の先ってことになりますね。欧米人は本当にやることがエグイです。ここまで来るともう本当にケンカ売ってるとしか思えません。
当サイトの読者の皆さんはこうしたトレンドは抑えておいてください。
マイクロソフトが今のところ大して売れてなさそうなARM版Windowsから撤退しない理由もなんとなくわかるのではないでしょうか。
まあ、CPUがx86からARMになったのを機にサーバーOSから弾きだされてしまったら大変なことになりますからね。
CPUがARMになれば参入が容易になりますので、今まで静観していた会社、特に利幅の薄い完成品を売っていたDellやHPなどは一斉にサーバーCPUをやりだすかもしれませんね。