上のタイトルを見て最近の若い人は、intelが単体GPUなんて出していたのだろうか?といぶかしく思うかもしれません。
ハイ、最近の若い御仁は知らないと思いますが、昔、昔のそのまた昔、intelは一度だけ単体GPUを販売したことがあります。
その名も「i740」です。ググればwikiが出ますが、ここではリンクなどは貼りませんので知りたい人は各自で見てください。
このi740はintelの製品ということで当時かなりの期待をされていた単体GPUだったのですが、残念ながら単体GPUとしては当時のATi(現AMD)とnVidiaが出している製品群に対してかなり劣っていて、発売されてからはあまり話題になることもなく消えていきました。
しかしその後、intel800シリーズの内蔵GPUとしてチップセットに内蔵され、SiSやVIAの統合グラフィックチップセットを脅かしました。
今のintel製の内蔵GPUのご先祖様であり、世界で一番普及したGPUのご先祖様ともいえるので一概にダメな製品だったとは言えないのですが、まあ、あまり高性能な製品ではなかったがゆえに常に性能を求める自作ユーザーからは「ダメな子」、「失敗作」として黒歴史になっています。
「intel i740」で検索すると「黒歴史」というワードが候補として現れますので、おそらく当時のことを知っている人は少なからずわたくしと同じことを思っていたのでしょう。
そのintelが最近のnVidiaやAMD Radeonの快進撃に触発されたか、また単体GPUの製品を出すという話が出ています。
正直、この話を聞いた時、私は「うん、やめたほうがいいんじゃないの」と思ってしまいました。(笑
多分昔のことを知っている人はみんな同じことを考えた思います。
まあ、でもまじめな話、一番数の出るGPUというのは結局CPUに内蔵されているGPUだと思うので、現在PC向けで一番成功しているGPU製品はintel製品と言えなくもないでしょう。
ですのでintelのGPUがダメという意味ではありません。
昔話をすればイマジネーションテクノロジーズ(旧ビデオロジック)のPowerVRなんて懐かしい名前だと思いますが、現在でもintelのAtomやPlayStationVitaの内蔵GPUとして採用され生き残っています。
単体GPUとしては名前を聞かなくなったGPUでもこんな風にSoCの一部となって細々と生き残っているチップもあります。
昔のGPU群雄割拠時代を知っている人にとってはずいぶん懐かしい名前ではないでしょうか。
Geforce Nowの様に高性能なGPUパワーを低遅延のネット環境で時間貸しするようなシステムが現れていることも考えあわせると、単体のGPUよりも明らかにこうした内蔵のGPUの方が未来は明るいと思います。
ノスタルジックに浸るのはこの辺にして、intelがかつてAMDのGPU部門のリーダーだった社員の手によるゲーム用単体GPUを出すという話が出ています。
リンク先でこの話を見ると、当初はデータセンターでストリーミング処理用に開発されていたGPUがついでにゲーム用にも使えそうだから、やってみるというようなニュアンスが含まれているように聞こえるのですが(笑、英語力の無い私の気のせいだと思います。
私は昔のi740を知っていますので、頭の中でintelのGPU=低性能という図式がすでに出来上がっています。
だからかなりの偏った先入観を持っているわけですが、目指すものはGeforce Nowのようなストリーミング系のシステムであるというように読み取れます。
このGPUは「Arctic Sound」というコードネームで2020年頃には発表されるようです。
この「Arctic Sound」がKaby Lake-Gの様にダイとダイを接続して今の単体GPUと同等以上のシステムを目指すものか、それともGeforce Nowの様にGPUパワーを時間貸しする低遅延ストリーミングサービスを提供するブリッジみたいなものなのか、それとも純粋な単体のGPUなのかは私の英語力でははっきり読み取れませんが、いずれにしてもintelが単体のGPU市場に目を向けていて、参入することだけは噂のレベルではなくはっきりしているようです。
Kaby Lake-GではHBM2メモリとVegaのグラフィックスコアを1パッケージにしたにも関わらず、単体GPUのミドルクラス程度の性能しか出せなかったわけですが、この辺も「Arctic Sound」がゲーム用GPUとして使われる遠因になっているようです。
正直な感想ではintelが今更GPU市場に戻ってきてもRadeonやGeforceにはかなわないんじゃないかなーと思わないでもないです。
特に2020年と言えば順当にいけばnVidiaが7nmで製品を投入する年になると思いますので、またかなりの性能アップが行われるかもしれません。
その中で純粋にゲーム用として開発されてないGPU出したところで果たして勝てるものなのかどうかというのは疑問を禁じえません。
しかし、かつてはnVidiaもチップセットを出していてプラットフォームホルダーだったわけで、かつてあった様々なメーカーが吸収・合併・倒産によって消えていき、現在は生き残ったほんの一部のメーカーだけが製品を出しています。
このように極端に統合が進んでライバル関係が減ったPC業界の現状を見ると、ライバルが増えて競争が激しくなるのはよいことだと思います。
最近はPCもすっかりスマホやタブレットにIT機器の主役の座を奪われていますので、是非市場が活性化してほしいところです。
まあ、こういった冒険的な試みはPC業界の巨人で、資金力のたっぷりあるintelにしかできない芸当でしょう。
2020年に向けて発売されるはずのintel製単体GPU「Arctic Sound」に期待しましょう。
上手くいけば、nVidia,AMDに続く第三極となるかもしれません。
ソース:OC3D.NET - Intel reportedly plans to release dedicated Arctic Sound graphics chips in 2020 / fudZilla - Intel's Raja is working on a desktop GPU