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シェーダーコンパイル地獄、終わりの始まり──MicrosoftのAdvanced Shader DeliveryがAMD RDNA 3以降に対応

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シェーダーデータストリームを光の流れで表現したGPUチップのビジュアル

■事実

Advanced Shader Deliveryとは

MicrosoftとAMDが共同開発したDirectXの新機能で、ゲームのダウンロード時に事前コンパイル済みシェーダーを配信する技術です。

従来はゲームの初回起動時にシェーダーコンパイルが実行され、数分単位の待機と「シェーダースタッター(カクつき)」が発生していました。

ASDではダウンロード時点でそのGPU・ドライバー環境向けのコンパイル済みシェーダーが届くため、起動時の待機がほぼゼロになります。

NVIDIA・AMD・Intelの3社すべてがサポートしており、開発者向けのAgility SDK経由でゲームへの組み込みが可能です。

2025年8月に技術発表、Avowedで最大85%の起動時間短縮を実証済みです。

2025年10月にASUS ROG Xbox AllyおよびAlly Xハンドヘルド機で先行導入されています。

今回の拡大:AMD RDNA 3以降がパブリックプレビュー対象に

2026年5月、MicrosoftはASD対応をAMD RDNA 3・RDNA 3.5・RDNA 4アーキテクチャへ拡大すると発表しました。

対象GPUはRX 7000シリーズ・Radeon 700Mシリーズ・RX 8000シリーズ・Radeon 800Mシリーズ・Radeon RX 9000シリーズでする

AMD Software: Adrenalin Edition 26.5.2ドライバーのリリースと同時に対応が有効化されました。

Forza Horizon 6と007 First LightがASD対応タイトルとして新たに追加されました。

測定結果

Forza Horizon 6(Forza ホライゾン 6)のロード時間はASD有効で約4秒、無効では約90秒です。(1分30秒)

削減率は約95%。シェーダースタッターも大幅に抑制されます。

Microsoftは計測環境としてAMD Radeon RX 7600 GPU + AMD Ryzen 7 5800 CPUを使用したと記載しています。

利用要件

項目要件
OSWindows 11 24H2以上
Xbox Gaming Services37.113.11003.0以上(Microsoft Store > ライブラリから更新)
Xbox Insider HubPC Gaming Previewプログラムへの参加が必要
GPUAMD RDNA 3 / RDNA 3.5 / RDNA 4
ドライバーAMD Adrenalin 26.5.2以上

現状の制限と今後の予定

現時点ではXbox PCアプリ(Xbox Insider)経由のタイトルのみ対応。Steamなど他のストアへの対応は未確認です。

NVIDIAはGeForce RTXユーザーへの対応を「2026年中」と予告しています。

QualcommのAdreno X2 GPUへの対応も準備中と表明しています。

IntelはLunar LakeおよびPanther Lakeプラットフォームで既にサポートドライバーを提供済みです。

Microsoftは「今後数ヶ月以内にさらなるWindowsデバイスとIHVハードウェアへ拡大する」と声明しています。

 

■解説

シェーダーコンパイル問題はDirectX 12/Vulkan移行後のPC特有の宿痾で、コンソールが固定ハードウェアのため持たなかった問題をPCは長年抱えてきた。

ASDの本質は「IHV・ゲーム開発者・ストア」の3者が連携してコンパイル作業を事前に分担する仕組みであり、だからこそ技術発表から実用化まで時間がかかった。

90秒→4秒という数字はミドルクラスのRX 7600での結果。上位GPUがコンパイルを速くこなせていたことを考えると、この技術が恩恵をもたらすのはむしろミドル以下のユーザー層だ。

現時点でXbox Insider(事実上のベータプログラム)参加が必須という条件は、一般ユーザーには少し敷居が高い。正式対応が待ち望まれる。

SteamへのASD対応が明言されていない点は重要。PCゲーマーの大多数がSteamユーザーである以上、Xbox PCアプリ限定では普及に限界がある、

NVIDIAの対応が「2026年中」という曖昧な表現にとどまっている点も気になる。AMD+Microsoftが先行しているのは、ROG Xbox Allyという共通プラットフォームで実証実験を積んできた成果だろう。

XboxとAMDの協力関係は、コンソール(Xbox Series X|S)とPC向けGPUという両輪がある以上、こうした部分での連携は自然な流れだ。

シェーダーコンパイル中の数分間に何をしてたか——お茶を淹れ、SNSを眺め、遠い目をする。その時間がなくなると知らされても、最初はちょっと寂しい気がするのは筆者だけだろうか。(苦笑

「PCゲームはコンソールより優れているが、起動時だけは劣っている」という長年の矛盾が、ようやく技術的に解消されつつある。

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