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IntelファウンドリーのCFOが2027年損益分岐点に自信——18Aの歩留まり改善加速、先端パッケージング受注も「数十億ドル規模」に急拡大

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アリゾナ砂漠に広がる最先端半導体製造施設の俯瞰写真

■事実

Intelのファウンドリー部門が2027年の損益分岐点達成に向けて、当初の想定を上回る手応えを得つつある。

CFOのデイビッド・ジンスナーがモルガン・スタンレーのカンファレンスに登壇し、18Aプロセスの状況、14Aのロードマップ、そして想定外の規模に膨らみつつある先端パッケージング事業について言及した。

深刻な赤字が続くIntel Foundryの現状

まず財務面の前提として、Intel Foundryは現在も四半期あたり約25億ドル規模の営業損失を計上している。

2025年通年では売上178億ドルに対し、営業損失は103億ドルにのぼった。

外部顧客からの売上はまだわずかで、2025年第4四半期の外部ファウンドリー売上は2億2200万ドルにとどまり、大部分はいまだにIntel内製品向けの社内売上が占めている。

こうした状況のなか、Intelは「スマートキャピタルモデル」を採用し、製品部門がIntel Foundryと外部ファウンドリー(主にTSMC)のどちらに発注するかを競争原理で判断させ、コスト規律を維持する仕組みを導入している。

ジンスナーCFOは損益分岐点に達するための外部収入の条件として「年間で低位から中位の1桁十億ドル規模(数十億ドル)の外部売上があれば達成できる」と説明しており、ハードルは当初よりも低く設定されていることを示している。

その収入源には18Aウェハ、先端パッケージング(EMIB/Foveros)、UMCおよびTowerとのパートナーシップによる成熟ノード、Intel 16などの旧世代プロセスが含まれる。

18Aプロセスの歩留まり改善と外部顧客への波及

18Aプロセスで製造されるPanther Lake(Core Ultra Series 3)は市場に投入され、特にバッテリー駆動時間において高評価を受けている。

ジンスナーCFOは「Panther Lakeは需要に対して供給が追いついていない状態」と述べ、製品としての出来を評価した。

歩留まりは月あたり約7%の安定したペースで改善しており、これは新プロセスのラムプとして半導体業界の標準的な改善速度に乗ったことを意味する。

18Aプロセスの生産はアリゾナ州チャンドラーのFab 52で行われており、ゲート・オール・アラウンドトランジスタ(RibbonFET)とバックサイド電力供給(PowerVia)を両立した世界初の量産プロセスとして、業界内で注目を集めている。

ただし現時点の歩留まりはまだ目標コストラインに達しておらず、ジンスナーCFOは「2026年末に目標水準、2027年には業界標準水準に到達する見込み」と述べた。

外部顧客への展開については、当初Intelは18Aを外部に開放せず、14Aを外部顧客向けの本命ノードと位置付けていた。

しかしジンスナーCFOは今回、18Aの強化版である18A-Pについて外部からの問い合わせが入っていることを明らかにした。

18A-Pは電力特性を顧客側でチューニングできる派生プロセスで、AppleのMシリーズSoCおよびNVIDIAの将来チップへの採用が検討されていると報じられている。

Appleはすでに18A-PのPDK(プロセス設計キット)0.9.1を受領しており、PDK 1.0または1.1の受領後に大規模テストへ移行する予定とされている。

14Aロードマップは当初計画を維持

一部では14Aプロセスが2028年生産開始にずれ込むとの観測も出ていたが、ジンスナーCFOは当初ロードマップを維持していることを改めて確認した。

14Aは社内向けに2027年のリスク生産開始を予定しており、外部顧客が希望する場合も同じタイムラインでの対応が可能だとした。

量産(ボリューム生産)は2029年を予定しており、外部顧客との正式なサプライヤー決定は2026年末から2027年初頭にかけて行われる見込みだ。

14Aは18Aからの技術的継続性が高く、第2世代GAAFETと第2世代バックサイド電力供給を採用する。

ジンスナーCFOは「18AでのFinFETからGAAFETへの移行など大きな変更と違い、14AはすでにPDKの成熟度が高く、顧客からも18Aより早期に多くのフィードバックが得られている」と述べ、外部顧客獲得への自信を示した。

なお14AではHigh-NA EUV(高NA極端紫外線)リソグラフィの採用が計画されており、これにより初期コストは上昇するが、それを上回る性能向上が実現できるとIntelは見ている。

先端パッケージング事業が「数十億ドル規模」に急膨張

今回の発表でもっとも注目を集めたのが先端パッケージング事業の見通しの大幅な上方修正だ。

ジンスナーCFOはかつて投資家に対し、パッケージング受注を「数億ドル単位(hundreds of millions)」と説明していた。

しかし今回のカンファレンスでは「数十億ドル規模(billions)の案件に近づいており、実際に成約に近い状況にある」と大幅に修正した上で、2026年後半にも顧客ラムプが始まる可能性があるとした。

Intelの先端パッケージング技術であるEMIB(Embedded Multi-Die Interconnect Bridge)は、大型シリコンインターポーザーを使わず、小型のシリコンブリッジを基板に埋め込んでチップレット間を高密度接続する技術だ。

TSMCのCoWoSと比較して、インターポーザーが不要なため構造がシンプルで歩留まりが高く、超大型パッケージへの対応でも優位性があるとされる。

さらに発展型のEMIB-TはTSVを追加したもので、2026〜2027年に量産ランプを予定しており、最大12倍のレティクルサイズスケーリングに対応する。

現在、Apple、NVIDIA、Qualcommとの間でEMIBの採用交渉が進んでいると伝えられており、NVIDIAについては次世代AIアクセラレータ「Feynman」へのEMIB採用が検討されているほか、2026年3月のGTC 2026でなんらかの発表がある可能性も示唆されている。

またGoogleが2027年のTPU v9へのEMIB採用を計画しており、MediaTekもIntelのEMIB-Tを活用するための技術者採用をすでに開始している。

TSMCのCoWoS先端パッケージングはNVIDIAやAMDの大型受注で枠が埋まっており、後続の新規顧客が割り込みにくい状況が続いていることが、IntelのEMIBへの関心を押し上げている構図だ。

以下の表にIntel Foundryの主要プロセスロードマップを整理する。

プロセスリスク生産量産主な用途外部顧客状況
Intel 18A2025年(済)2025〜2026年Panther Lake、Clearwater Forest18A-Pに引き合いあり
Intel 18A-P2026〜2027年未定外部顧客向けApple・NVIDIA等が評価中
Intel 14A2027年(社内)2029年Nova Lake等2026年末〜2027年初に決定見込み

■解説

今回のジンスナーCFOの発言を一言で表すなら、「自信はついてきたが、まだ証明はこれから」というところでしょうか。

財務的な現実を直視すると、Intel Foundryは今も四半期ごとに約25億ドルの穴を開け続けている部門です。

2025年通年の営業損失は103億ドルにのぼり、これは単純計算でIntelが毎年1兆5000億円規模を溶かし続けていたことを意味します。

そこからの反転を目指しているわけですから、「2027年損益分岐点」という目標は達成できたとしても「ようやくゼロになる」という話に過ぎません。

ただ今回のポジティブな点は、歩留まり改善が月7%という「業界標準ペース」に乗ったことです。

以前のIntelは歩留まり改善が「不規則だった」と自ら認めており、それが外部顧客獲得の障壁になっていました。

予測可能な改善ペースになったことで、顧客も将来の製造コストを計算できるようになり、交渉が進みやすくなったはずです。

パッケージング事業の「数十億ドル」への上方修正は個人的には今回の最大のサプライズでした。

ウェハ製造に比べてパッケージングは技術的なハードルが低く、かつTSMCのCoWoS逼迫という追い風があります。

AppleやQualcommが採用を検討しているのは、TSMCへの発注が難しくなっているからという側面も大きく、Intel側の実力だけで評価されているとは言い切れません。

それでも「顧客が来ている」という事実は重要で、パッケージングでの実績を積み上げることがウェハ製造の外部顧客開拓にもつながる可能性があります。

14Aについては、今回の「2027年リスク生産維持」という発言は投資家向けの安心材料という性格も強いと見ています。

High-NA EUVの採用でコストが上がる中、外部顧客がどこまで14Aに魅力を感じるかはまだ不透明です。

そして忘れてはならないのが、IntelはPCおよびサーバーCPUメーカーとして今もAMDとの競争の渦中にいるという点です。

13〜14世代CoreのVmin問題など品質面での信頼回復が未完の中で、Nova Lakeが「安定して動く製品」として評価されることが、実はIntel Foundryの外部顧客獲得よりも先に解決すべき課題かもしれません。

ファウンドリービジネスは長い目で見る必要があり、今回の発表は「2027年損益分岐点に向けて現実的な道筋が見えてきた」という段階です。

GTC 2026でのNVIDIA関連の発表も含め、2026年後半にかけての動向を注視していきます。

 

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